どこにでも水ある暮らし風涼し まきえっと
◎(泉)本当に日本は、どこへ行っても水があります。有り難いことです。
◎(幹夫)当たり前のことへの感謝、忘れないようにしたいものです。
〇(あき子)「風凉し」といえる暮らし、どこにでもある日常の尊さを痛感。
◯(道人)「水ある暮らし」の句は何回も作ったことはあるが「どこにでも」が新鮮。「風涼し」が生きて来る。
ひと筋の光の軌跡蛇泳ぐ あちゃこ
〇(珠子)何度か蛇の泳ぎを見たことがありますが、中七がまさに。
〇(仙翁)蛇と光の軌跡、面白いですね。
◎(敏)私も何度も水を渡る蛇を見ていますが、「ひと筋の光の軌跡」との形容には感銘・感心するばかりです。
〇(あき子)「は行」によるリズムの美しさが蛇に焦点を集めています。
〇(めたもん)蛇って意外に泳ぎが上手くて驚いたことがあります。その時の景がよみがえります。
(選外)(道人)最近は見ない記憶の景がリアルに甦ってくる。
滴りのやがて大河へ巌祠 餡子
〇(楊子)大河となる不思議な滴りですね。だから祠があるのかも。
○(幹夫)上句〜中句に共感しました。
〇(藤三彩)類句がありそうだが景は大きいな
○(敏)一滴が大河へと! 実に壮大、ドラマがありますね。
○(アダー女)大河の一滴は山の湧水。それは神の司る自然の摂理。科学的にだけは説明できない神秘の世界ですね。
◎(道人)眼前の巌洞と大河の対比がいい。人間の小ささがより意識される。
天井に頭を擦りつけて燕の子 ルカ
〇(まきえっと)もう少し低い場所でも良かったかもしれません。外敵から守るにはこの高さなのでしょうか?
(選外)(幹夫)中9が気にはなりましたが、着眼に共感です。
ひしめきて子燕見下ろす朝の駅 瞳人
○(泉)つくづく平和な光景です。
子燕やひいふうみいよぅみな生命 めたもん
○(瞳人)ほんとだね
○(幹夫)夫々の子燕が生きている。
〇(藤三彩)かわいらしい、わらべうたのようですね
○(卯平)子燕(ツバメと言う平仮名表示がこの句の中七から鑑賞者好みだが)への詠み手の愛情。その事をとおして生きとし生けるものへの愛情。
○(アダー女)巣から落ちずに大空を飛べるようになったら伸び伸び自由を謳歌しなさいよ。
◯(ルカ)まさにその通り。
◎(まきえっと)「みな命」に重さを感じました。
◎(宙虫)リズム感が命が躍動を呼ぶ心地よさ。
燕の子競い合うのか大きな口 アダー女
○(泉)既に生存競争の真只中です。
丁々発止子燕の口の数 珠子
〇(まきえっと)「丁々発止」を上手に使ったと思います。
ご無沙汰のあのひと思ふ夏つばめ あき子
○(アダー女)春に南国から飛来し子育てする夏つばめ。その元気な姿をみて「あの友は元気かなあ?」とふと思う気持ち。きっとあちらも作者のこと思っているかも。
〇(めたもん)そういえば暑中見舞いの季節だったなぁと思い起こしました。爽やかな一句。
◯ (アゼリア) コロナでなかなか逢いたい人に会えませんね。
音もなく滴り受ける祠かな 仙翁
○(あちゃこ)まさに写真の景。
〇(珠子)水害・干ばつを受けて来た人々の祈りの祠。上五がいいですね。
○(敏)神聖な空気感に満ちています。
移住する親にはなれぬ夏燕 卯平
燕の子忘れず飛べよ親の恩 泉
○(瞳人)うーん、そう思うやつは、いないけど
○(アダー女)そうだそうだ!子を思う親の愛は「海より深く、山より高い」のだ。
石清水僕の育ての親は鳥 宙虫
◎(あちゃこ)中七からの展開が巧み。育ての親の斡旋がいいですね。
〇(仙翁)深い意味がありそうな、面白いですね。
◯(道人)この呟きは石清水の清澄さのなせる術であろう。こういう所に住みたいものだ。
どろどろと祈願太鼓や青葉闇 瞳人
〇(楊子)どろどろが怖さと荘厳さを表しています。
○(アネモネ)祈願太鼓の「どろどろ」がいかにもです。
○(餡子)疫病退散、侵略終結!よろしくお願いします。
〇(あき子)「どろどろ」の光景の中に入っていきたい心情が湧いてくる。
〇(めたもん)どろどろが下五「青葉闇」まで届いています。うっそうとした青葉の境内です。
○(宙虫)祈願の中身、考えてしまう。
滴りや宮崎駿の来た祠 楊子
〇(藤三彩)『千と千尋の神隠し』のような異界を感じさせますね
○(卯平)宮崎駿と洞の関係はおそらく宮崎駿作品にヒントがあるのだろう。気になるのは「来た」。この奥が欲しい。
○(ちせい)興味深い事実だと思いました。人物の換気するイメージが季語を引き立てているかと。
梅雨明けのコンクリートを叩く風 まきえっと
○(幹夫)梅雨明けの風が佳く強調されて詠まれています。
(選外)(道人)今年の異常に早い梅雨明けは「コンクリート」との取合せがピタリ。「風」がいいかどうか。
夏川の釣り糸風に戯れり 仙翁
○(あちゃこ)スッキリと爽やかな夏の景。
〇(藤三彩)風に戯れるような釣り糸でしたらルアーフィッシングのようです。
○(餡子)涼しそうな釣り人。しかし風と遊んでいては獲物はかかりませんよ。
○(敏)一読鮎の友釣り風景が眼前しました。
◯(ルカ)景がよく見えてきます。
子燕よ空は広いよ自由だよ 餡子
○(泉)いよいよ本格的な生存競争の始まりです。
◎(瞳人)そこで生きてゆくのが、また、大変だけど
山国の橋の定点燕の巣 道人
◯ (アゼリア) 同じようなこと考えましたが、定点ー思いつきませんでした。
そこそこの巣にほどほどの燕の子 ルカ
〇(めたもん)庶民の家の軒先に来た燕でしょうか。ほろ苦さとユーモアがあります。
〇(まきえっと)「そこそこ」と「ほどほど」がいいですね。
○(宙虫)みんな平均的に子育てしてる燕たち。
夏燕人間は巣に持ち込めない ちせい
◯(道人)巣に持ち込めるはずのない「人間」に視点をズラしたのがいい。人間の切ない願望かも。
滴りや旦の夢を奉納し 卯平
◎(あき子)「旦の夢」に希望を感じます。奉納する姿と季語が響き合う。
◯ (アゼリア) 夢の奉納ー楽しい発想ですね。
僻村は宇宙に近し河鹿鳴く めたもん
○(餡子)人工物の無い見渡す限り自然。河鹿の声を聴きつつ、天空に吸い込まれて行くような感覚。良いですね。
〇(珠子)発想にびっくりしましたが確かにそうかもしれません。河鹿が宇宙との交信をしているかのよう。
◎(仙翁)僻村と宇宙、いいですね。
○(敏)なんとも壮大なスケールに唖然とするばかりです。
◎(アダー女)なんかそんな気がする!辺鄙な村は夜はきっと満天の星空。河鹿の鳴き声も暗い夜には美しくもミステリアスだし・・・
〇(あき子)宇宙のうねりの中、河鹿の鳴声が響いてくる。
◯ (アゼリア) 確かに鄙びた処ほど宇宙や霊界に近いような気がします。
○(宙虫)どこか冷たい視線も感じる、不思議な句。
(選外)(道人)中七下五の壮大さに共感。「僻村」がやや堅いかも。
囮鮎騙し休ます太公望 藤三彩
二礼二拍手水神に汲む清水 珠子
子燕の一同右に倣ひ鳴く 幹夫
○(泉)やはり子燕です。ユーモラスな俳句だと思います。
つばくらの駅舎せはしく出ては入る アネモネ
○(幹夫)子燕に餌を運ぶ親燕ですね。
○(餡子)私の乗り降りする駅にも。燕が毎年巣を作ります。駅員さんが板で支えを作ってあげています。利用者の皆に楽しみにされています。
○(瞳人)どうして、駅に巣つくるの、好きなのかなあ
ガレージのオイルの匂い燕の子 あちゃこ
〇(楊子)現代を詠んだところがいいです。もう太い梁はありませんから。
○(卯平)車庫の燕の巣。ガレージと燕の子は当たり前だが「オイルの匂い」がここでは燕の子と上手く合っている。
◎(珠子)オイルの匂いとの取り合わせ・視点に惹かれました。例えば、耕耘機や軽トラの置かれた開けっ放しのガレージ。飛び立とうとして騒ぐ二番子の声が聞こえるようです。
◯(ルカ)燕の巣はいつもそんなところに。
◯(道人)燕は人間が好き。そして逞しい。
〇(めたもん)中七「オイルの匂い」によって農具などの機械を入れる「ガレージ」が浮かびます。
○(ちせい)機械でも弄って居たのかもしれません。
湧水は自然の摂理涼しさよ アダー女
洞窟に古代の壁画夏つばめ 泉
〇(楊子)かもしれないところを断定して詠んだところがいいです。強さがあります。
○(アネモネ)想像力がかきたてられます。
〇(仙翁)古代の壁画と燕、いいですね。
○(卯平)上五中七のような景は古墳であるかも知れないが、具体的な古墳名は承知しない。ネットで調べると北海道に「フゴッペ洞窟」があるらしい。だとすると北海道と夏つばめの関係には違和感がある。これもネット情報だが道南のニセコ町の牛舎には燕が来るらしい。地理に疎いので実感が掴めないが、ニセコ町とフゴッペ洞窟がある余市は近いのだろうか。詠み手に聞いて見たい。一つひとつの句材の発見は面白い。
◎ (アゼリア) アルタミラのように旧石器時代まで遡って、ロマンがあります。
(選外)(藤三彩)洞窟に燕が巣くっている、壁画を保護しなくては
したたりや祠の奥のがらんどう あき子
◎(楊子)なにかありそうが祠の奥ですが、それは人の心がそう思うだけ。したたりの音が響くだけです。
◯(ルカ)奥の奥には何かがひそんでいます。
滴りやマリア観音洞の奥 アゼリア
○(あちゃこ)マリア観音洞とした発想がぴったりはまった一句。洞の奥に神秘性を感じます。
○(アネモネ)下五の「奥」に行きつくまでのリズムがなかなかです。
◎(藤三彩)キリシタン禁制の時代を彷彿とさせる
◎(餡子)熊本や島原辺りでは、隠れキリシタンの多い村があったでしょうね、表は弁天様を祀り、奥にはマリア・・然もありなん。
今月の写真
二枚目・三枚目の写真
熊本県上天草市の教良木ダム周辺の光景。
湧水は「祝口観音の泉」。
100mほど徒歩で登ると祝口観音がある。
そばには「祝口観音の滝」も。
祝口観音滝、祝口観音堂 | 天草旅ポータルサイトTRAVEL GUIDE AMAKUSA (amakusa-guide.com)
広島は昨日から雨になりました。梅雨末期の大雨に似て来ました。また、災害が心配です。それにしても、安倍元総理の突然の死には、本当に驚きました。当たり前のことですが、明日のことは分かりません。