歳晩のワクチンを待つ街灯り 珠子
〇(春生)ワクチン接種できるようになるのは東京都民、いや国民の願いですね。昼夜を問わず、待っています。
◎(瞳人)もう、それしかないな
〇 (多実生) 人類はひたすら新型コロナのワクチンを待望しています。
〇(宙虫)日に日にこの句の感覚が強くなる。二度目の緊急事態宣言で消えゆく街の灯。
歳晩のエスカレーター無口なり まきえっと
◯(アネモネ)写真に忠実。「無口なり」が面白い。
○(餡子)こんなにも無人が強調された写真もない。一番人が出る歳晩なのに、どういうことだろうかとエスカレーターも訝しんでいる。
(選外)(卯平)中七、下五の類似は否めない。必然的に季語が不安定。
山眠る骨組みで昼餉を食べる人 ちせい
◎ (多実生) 季語との対比、人間生活の活気の象徴建築工事現場の昼餉を巧く切り取りました。
音のない星の一つと化す寒暮 餡子
◯(アネモネ)リズムかいいと思いました。
◯(道人)地球が省略されているが、今の時期ならよく分かる。
○(敏)コロナ禍に脅える現在の世界(地球)を象徴しているのでしょう。
○(あちゃこ)3枚の写真は、まさにこの句の世界。化すはやや説明的かな。
◎(珠子)やや説明調かなとも思いますが、あの三枚の写真にはみごとに人影がありませんでした。まるでSF映画のようなコロナ禍の街を切り取っています。地球という星にあたたかいざわめきが戻ってくるのはいつ?
〇(まきえっと)「星の一つと化す」がいいですね。
〇(宙虫)人工的な音が消えると静寂を感じる。
凧の糸たぐれば父のいない朝 宙虫
◯(アネモネ)とても詩的な表現だと思います。
〇(楊子)昔の想い出を詩として表現できる巧みさは真似できません。
◯(道人)昨年の正月は、元気なお父さんだったのでしょうか。
〇(幹夫)心情がとても佳く詠まれている。
〇(藤三彩)糸の切れた凧のやうな父は何処へ
◎(卯平)父との思い出。悼句として詠み手は永久に刻むだろう。
○(メイ)たぐればから、父への思いに無理なくつながる。
〇(めたもん)父との凧揚げの思い出。しかし、たぐるとそこに父がいない。子供時代への喪失感、悲しみ・・、深読みし過ぎでしょうか。
〇(ちせい)童話の雰囲気があると思いました。
◎(まきえっと)凧揚げは父としました。懐かしいなぁ。
極月の無人の街の低き空 ルカ
○(卯平)全て「ケ」の世界。だが、それらの相互作用で鑑賞には耐えうる。
○(餡子)私も、3枚の写真から、この句のようなことを感じました。無人。
除夜の鐘消えて地球の回る音 めたもん
◎(ルカ)本当はない音。でも除夜の鐘が消えた後なら音が聞こえても不思議はない。
〇(瞳人)何か、聞こえてきそう
〇(楊子)シーンとした年越しに、地球の回る音が聞こえる気がするから不思議です。
◎(道人)コロナ禍の世の不気味且つ静かな除夜を「地球の回る音」でいい留めて余韻あり。
◎(幹夫)除夜の鐘の余韻が詠まれており大いに共感しました。
◎(泉)説明は出来ないのですが、魅力的な俳句だと思います。
○(卯平)原因~結果ではあるが、結果が大きい。その事で誹諧味を満たしている。
○(餡子)人工の物は姿を消し、自然物のみが生き残る・・・。人間もウイルスと同じ生物の一種にすぎないのだと言うこと。
◎(敏)百八つの鐘がつき終わった後の静けさの中に感じ取った、悠久の地球の自転運動。煩悩をすべて取り除かれたこその感覚でしょうか。
○(仙翁)近くの寺が、年末火事になりました。
〇(まきえっと)静けさを感じます。
◎(宙虫)去年の大みそかの鐘は確かにこうだった。
夜もすがら初荷の届く錦町 春生
◎(ちせい)届いたのは御節だったのかもしれませんが夜もすがらが大晦日から新年への雰囲気をよく伝えていると思いました。
寒灯の一斉動く銀の都市 卯平
◯(ルカ)銀の都市が魅力的。
◎(メイ)写真から受けた印象がそのまま句になっています。
◎(仙翁)都会の光は、何処か冷たい感じがしますね。
(選外)(道人)語順がやや気になるが、年末の夕暮れのビル街を表現した「銀の都市」が素敵。
冬木立さあ踊ろうとざわめける メイ
〇(春生) この句の場合「 あ踊ろうと 」という擬人化が効いていますね。
〇(瞳人)なに踊るのよ
○(泉)童話のような、ユーモラスな俳句だと思います。
○(あちゃこ)冬木立を明るく詠んで共感!願望も含めて。
〇 (多実生) 冬木に吹き付ける季節風、さあ踊ろうと見た鋭い感性です。
ひと気なきターミナル駅去年今年 道 人
◯(アネモネ)「ターミナル駅」がなかなかです。
〇(ちせい)反省点よりも良き思い出がよみがえったのかもしれません。
人類が試されしまま年暮れる 多実生
○(餡子)兎に角すべてが初めての経験。手洗いうがい3密に気を付けろしか方法がない・・・。頼るのはワクチンの開発。これもどっか不安。
〇(珠子)人間の驕りをあざ笑うかのように。コロナウィルスは年を越して更なる猛威。
新しき年匂い立つ街無明 あちゃこ
ビル煌々冬の都会の闇深し 仙翁
◯(ルカ)ビルの灯りは煌々と、都会の闇との対比が見事。
峠から無人の街へ雪ばんば 敏
◯(ルカ)今年はたくさん来てほしい。
◯(道人)せっかく人間に会いに山中より飛んで来た綿虫も、人っ子一人いないコロナ禍の街にはさぞ面食らったことでしょう。
○(卯平)「雪ばんば」だからこの句は一行詩になった。
〇(めたもん)コロナで人の消えた夜更けの街でしょうか。やって来た雪ばんばは、こんな街をどう思うでしょうか。
〇(珠子)雪ばんばはまるで初雪のよう。風にのって人通りの絶えた街へ。
〇(宙虫)ゆるやかな風の流れを感じる。
冬ざれの日本に街の灯煌々と 泉
冬青空市電はビルに飲み込まれ 楊子
◯(ルカ)冬の町の景が浮かびます。
○(メイ)昔、市電は道路の真ん中をのんびり走っていたのに。
〇(めたもん)市電がビルの街角を曲がってガタゴトという音と共に消えて、残される真っ青な空が印象的です。
聖樹止み祈りを聴き合う冬欅 藤三彩
○(あちゃこ)中八が気にはなりますが、祈らずにはいられない思いは私も同じ。
階上にほうら聞こえる年の暮 幹夫
たちまちの足場解体昏れ早し アネモネ
◎(春生)刻々と変化するのが都会の特徴です。
〇(藤三彩)外国人労働者がいないと解体現場は進まない。
○(メイ)薄暗くなっても手早い動作。
〇(珠子)足場解体の手際よさにはほれぼれとします。ちょい悪そうな若者がマジメに働いているが嬉しくてついつい立ち止まって見てしまいます。
〇(まきえっと)てきぱきと仕事をしている様子と時間の経過が伝わってきます。お疲れ様です。
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