小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第369回小麦句会結果発表

2017年11月09日 22時18分15秒 | 1日句会

お待たせしました。

結果発表です。

その前に・・・・・。

 

選句のメールにて次のようなご意見を頂きました。

多分、次の私のコメントについてでしょうが。

「一応、この1日句会は「写真吟行」として俳句を募集しています。

写真の内容をそのまま写す必要はありませんが、写真からひろがるイメージで作ってもらうことをテーマにしています。

選句についても、写真とのつながりなどを考慮した選句をしていただけたら、この句会を運営する側もうれしい限りです。」

 

ご意見

「これは私の感想なのですが、選句についての宙虫さんのコメントの意味が、今ひとつ良く分かりません。他にも戸惑っている人がいるかも知れません。

そこで、あえて私の意見を書くことにしました。

写真とは全く関係の無い俳句がある、という意味なのでしょうが、写真を詠むのではなくて、写真から広がる世界を詠む、というのが最初からの宙虫さんの御意見だったと記憶しております。

あまり、「縛り」をかけない方が、良いだろうと思うのですが?失礼しました。」

 

この件について、個人的にメールのやりとりをすると、お互いのなかで混乱をする可能性がありますので、この場で回答させていただきます。

 

写真俳句の投句方法については、何ら最初から姿勢は変わっていませんし、写真をベースに皆さんのご自由な発想の句を投句していただいています。

ご意見のとおり、「写真とは全く関係ない句がある」と私も感じることはもちろんありますが、私のこのコメントにはそのようなことは一切書いていません。(申し訳ありませんが、メールの主の深読みなのかなと思います。)

写真をベースにできたものであるのなら、私や参加者皆が掴み切れない発想でできた句かもしれないので、決してNOだというつもりはありません。

この点は、まったく変わっていません。以上が投句についてです。

 

もし、そのような句(別にどれというわけではありませんが)に選をいれる人も写真から、その句にたどりついたものが見えるのであれば、選評のなかで少しでも触れてもらえたら、この句会の参加者たちともっと感想を共有できるのではという思いからのコメントです。これが選句についてです。

 

どこに「縛り」があるのでしょうか?兼題やテーマを持った句会は、この程度の「縛り」はあって当然だと思いますが、これが「縛り」と言えるかどうか。

以上です。

 

では、今回の句会の結果発表です。

 

その前に

 

♪瑠璃さん、初めての句会へようこそ♪

いかがでしたか?

楽しめましたでしょうか?

近々次の句会の告知がありますので、また参加お待ちしています。

(注)投句の送付先が句会ごとに違いますので、おまちがえなきよう。

 

 

 

★結果発表

 

出稼ぎの宿に届きし里の柿   アゼリア

◎(ルカ)昭和の風景。「ひよっこ」を思い出しました。

○(まきえっと)小さな幸せを感じます。

◎ (多実生) 郷愁をそそられる事と思います。

◎(餡子)3枚の写真から、ドラマが生まれました。いいですね。都会の空から故郷の空へ思いを馳せる。木賃宿?に宿泊の出稼ぎの父。 古里から庭の柿の実が・・・。泣けてきます

○(瑠璃)出稼ぎの宿に柿が届いたという事ですね。家族の愛を感じぐっときました。

◯(あちゃこ)稲刈りが終わると出稼ぎへ。慣れない土地の温かい人情は、心にしみますね。ノスタルジーを感じます。

〇(道人)高度成長期の昭和の匂う「里の柿」ですね。   

○(泉)出稼ぎ労働者に取っては、故郷の柿が届くと、本当にうれしい事でしょう。

◎(幹夫)頑張れ出稼ぎのお父さん!

◯(宙虫)色合いがいい句ですね。昭和ですね。

〇(春生)故郷を懐かしむ

 

河豚鰭に熱燗香る行雲(くも)かたち   藤三彩

〇(道人)木賃宿で河豚のような容の雲を眺めながら、独り鰭酒とは粋ですね。  

 

晩秋や超高速で鳥が行く  ちせい

 

ゆく秋や雲の行方を追ひかけず   道人

○(敏)晩秋のアンニュイでしょうか。雲の流れには気を向けずひたすら「今」を見つめる作者がここにいます。

○(まきえっと)追いかけもしないし、追いかけもられない。自由気まま。

○(アネモネ)いかにも秋の雲ですね。

◯(宙虫)気儘な秋の雲だし。追いかけない方が得策。

 

秋天に出会う一泊三千円   宙虫

◯(ルカ)どこでも空は迎えてくれる。

○(餡子)今日の宿探し。空を見上げたらたまたまこの看板が目に入ったということでしょうか。昔のユースホステルは500円だったような気がします。 

○(ちせい)季語は「秋天」。安い宿。でも季感はばっちり味わえる。

○(泉)一泊三千円は安いですね。嬉しさがこみ上げて来ます。

 

黄落やレンズに手繰る旅の空  珠子

〇(仙翁)レンズに手繰る、面白い表現ですね。

○(まきえっと)秋の空の写真を撮っているひとをよく見かけます。

◯ (アゼリア) レンズに手繰る〜上手と感心します。

〇(道人)旅の一齣。大空を借景にして、見事な黄落にピントを合わせた瞬間に生まれた句でしょうか。  

 

空高し如意棒腰に孫悟空   仙翁

◯(あちゃこ)雲の間に見え隠れしているような?ずっと空を見ていたい。

 

 (選外)(ちせい)季語は「空高し」。テーマパークでしょうか、ちょっと句意がとれなかった。

 

陽の光青・黄・紅・散る落葉  多実生

 

本館に続く回廊鰯雲    まきえっと

〇(珠子)こういう旅館は多くて、ひどい方向音痴の私はお風呂から部屋に戻れないことしばしば。鰯雲のころは旅に出たくなります。   

◎ (アゼリア) 確かに別館があれば本館があるはずですよね。鰯雲の季語が効いていると思いました。

○(アネモネ)リズムがなかなかです。

〇(春生)しばらく立ち止まって鰯雲を眺めているの

 

秋空や女心のころころと  餡子

◎(アネモネ)「ころころと」には笑いました。

 

天高しふわり黒猫降って来る    瑠璃

◯(ルカ)シュールですが、秋の白日夢。

◎(仙翁)黒猫が降ってくる、面白い光景で、ありそうな。

○(敏)麗らかな秋の一日、草原の中に寝そべっていたときに見た白昼夢のひと齣でもあったのでしょうか。つむっていた目を急に開けたときに飛び込んできた日が、黒く思えることはままあることですが。

○(ちせい)季語は「天高し」。猫のしなやかな肢体は塀とかから急激に降って来る。ユーモラスだと思いました。

◎(あちゃこ)不穏な?句の最後はハテナ が付いている感覚。発想が斬新!

◎(道人)今回は雲にまつわる秀句が多いですね。この句も秋天に浮かぶ雲を「黒猫」と捉え、しかも「降って来る」と表現する感性には驚きです。「ふわり」は佳いと思います。

 

恋人の写真ピンぼけ火恋し  アネモネ

 

朝飯は新米ですと木賃宿  泉

○(まきえっと)何よりもご馳走です。

〇 (多実生) 毎年ささやかな楽しみと小さな幸せです。

◯ (アゼリア) 今本当に新米が美味しいですよね。今日も元気に働けそうです。

○(餡子)これも、今見ている空から故郷の空を思い出したのでしょう。何の因果か自分は木賃宿住まい。それでも故郷の田んぼでは豊作だろう。 その新米が出るという。泣けてきます。

○(瑠璃)新米はおもてなしになると思いました。(笑)ユーモアを感じました。

◯(あちゃこ)木賃宿にしては、豪勢な!ギャップが面白いですね。

〇(道人)シンプルな取り合せの妙。800円なら時期的に新米でしょう。  

◯(宙虫)こういうところでこその季節感だと思う。

◎(春生)宿の主のもてなしですね。 

 

群れて飛ぶ鴎八里の秋高し    幹夫

〇(道人)景が大きい。リズムも良く中七が巧い。

 

秋晴れを知らず眠れる穴の中   仙翁

○(まきえっと)気が付いたら夕方だったことを懐かしく思います。

〇 (多実生) 土竜の様ですが、色々な条件や事情でこんな気分の人もいるでしょうね。

◎(瑠璃)秋晴れも関係なく眠っている動物に対して羨ましい気持ちを作者は感じたのかもしれません。

◯(あちゃこ)陽から暗へ。穴の住人は誰でしょうか?蒲団の中かな?それとも?

 

シングルの値段の高さ秋が逝く  ちせい

○(泉)改めてシングルの値段は高い、と思いました。旅は二人で行く方が良いですね。

 

チョコレート家まで三駅の秋の空  瑠璃

○(アネモネ)チョコレートが面白い。

 

ふた葉より育て上ぐるも渋柿(しぶ)に候ふ   瞳人

〇(珠子)鵯や鴉と分け合いながら完熟のとろとろまで待てばよろし。その昔、頂いた栗のあまりの大きさについつい庭に埋めてしまった私。大胆に枝を払い落しつつも30年余、更に太くなる幹が怖くなりとうとう切り倒しました・・・。

〇 (多実生) 柿は甘柿の種でも実生では渋柿で、甘柿は接げ木しかない様です。

○(瑠璃)後は吊し柿にするしかないですかね(笑)

◎(藤三彩)子育ては無償の愛とは言え、また「栴檀は双葉より芳し」は希なことで親が思うようには子は育たないという諧謔

◎(宙虫)下五がここまでの時間を表現できていて面白い。複雑な気持ちですね。この青空に堂々と実をつけていることでしょう。

 

素泊まりの旅館持ち込む月あかり   藤三彩

〇(仙翁)一人旅でしょうか、月明かりが嬉しそう。

○(敏)同様の侘びしさを、ビジネスホテルで泊った際に度々経験したものです。

◯ (アゼリア) 持ち込む月あかりーロマンチックで素敵です。

◯(宙虫)建付けのよくない旅館のような気がする。なかなか寝付けそうにない夜。

 

鳥渡る独りの宿の固き窓   ルカ

〇(仙翁)固き窓、いかにも窓の開くことはなさそうな。

○(敏)写真にあるような種類の旅館の窓は、固く閉ざされているのが普通です。見えぬ窓の向こうに自在に飛ぶ鳥の姿を幻視しているのでしょう。

◎(珠子)あの安宿を「固き窓」で表した力はさすがです。 

◎(まきえっと)固き窓が何とも秋の寂しさをだしています。 

○(餡子)建てつけの悪そうな宿です。ちょっぴりわびしい一人旅。  

○(瑠璃)一人の宿。寂しさを紛らすため窓を開けて気分転換するも窓が固い。尚更寂しさがつのる感じが伝わってきます。

○(ちせい)季語は「鳥渡る」。「固き窓」に詩情を感じました。

○(アネモネ)「独りの宿の固き窓」いいですね。

○(泉)何だか強い孤独感が胸に迫って来ます。

○(幹夫)「固き窓」の表現が洒落ている。

〇(春生)「固き窓」に雰囲気が出ています。  

 

秋うらら雲睦び合う斜面林  敏

 

別館の予約満杯河豚の旬   アネモネ

○(泉)もう河豚の季節ですね。もちろん、手が出ませんが、想像だけでも・・・。

○(幹夫)そっかあ。もう河豚の季節なんだ。

 

(選外)(ちせい)季語は「河豚」。満杯に意ありと思いましたが、「河豚の旬」に改善の余地ありと思いました。

 

爽やかや象は空を飛ぶつもり   あちゃこ

〇(仙翁)空飛ぶ象、象は夢見ているのでしょう。

○(敏)雲の形を様々な動物に見立てることはよくあることですが、一句はそれから振り返って、象の気持ちを忖度したのでしょう。季語がメルヘンを誘い出しています。

〇(春生)中七「象は空を」が6音ですが、雰囲気は最高です。

 

(選外)(藤三彩)ダンボの空飛ぶ耳。W・デズニーはよく発想を得たものだ

 

せせらぎに流るる秋の旅心 春生

 

天高し吟行兼ねる旅プラン  多実生

○(藤三彩)吟行を兼ねるようなややこしい旅は避けたいな。

 

総選挙終りて虚し鱗雲  泉

〇(珠子)ほっとうに!テレビも新聞も全く見る気がしませんでした。不安いっぱいです。

◯ (アゼリア) 共鳴の句です。

○(ちせい)季語は「鱗雲」。国政の衆院は解散がほぼ当たり前。「虚し」に万感の思いが。

 

台風過雨宿りの宿出て振り返る  餡子

 

青空の街に紅葉迫る音   宙虫

〇(仙翁)色鮮やかな句ですね、どんな音がするのでしょう。

〇 (多実生) 街路樹まで駆け足で紅葉です。

 

宿乞へば老優の笑み秋ローマ   瞳人

○(藤三彩)最近の若いカップルの会話は『ローマの休日』観た?晩年のオードリー・ヘプバーンはユニセフ(国際連合児童基金)に献身されたそうです。

○(瑠璃)老優の笑みに秋のローマで出会うなんて素敵です。

 

相方は虫の音ばかり一つ家に  敏

◯(ルカ)虫の音、少しずつ消えてゆきます。

◯(あちゃこ)寂しがりやが此処にも一人。でも、どこか満足気です。

○(藤三彩)「老後のひとり暮らしの寂しさは君にはわからないだろう」と言われていますがそのうち直に感じる時がくるのでしょう

 

昭和の香染みつく喫茶霧霽れる  珠子

◎(敏)昭和という強烈な時代の印象を宿した場末の喫茶店。店主も客の姿も自ずと想像されます。「霧霽れる」がその存在感を強調しているようです。

◯ (アゼリア) 雨都母なんて店名も昭和っぽいし、隅にジュークボックスがありそうです。

○(藤三彩)昭和のネジマキ時計が掛かるおでん屋、幻と言われたパン屋も昔看板娘の閉店の張り紙。喫茶店も幻になるか

 

秋天に翼の如き雲ひとつ  ルカ

〇(珠子)秋の雲は心にしみてきます。やなせたかしの「さびしいカシの木」のカシはこういう雲に遠くへ連れてってと頼んだのだなあ。 

◎(ちせい)季語は「秋天」。雲に魅力を感じた。「翼」と言う形、そして秋天。

○(アネモネ)「翼の如き雲」の比喩がいいです。

○(幹夫)秋空に一朶の雲の景が佳く詠まれている。

〇(春生)「翼の如き」がいいですね。 

 

標識は日英中韓鳥渡る   アゼリア

〇(珠子)オリンピックに向けて標識がじわじわと変わっていきます。自前の勘と体力のみで厳しい旅をする鳥の潔さ。  

○(ちせい)季語は「鳥渡る」。国際的な標識。鳥も異国からやって来る。

◎(泉)最近は外国人の観光客が多いですから、標識の文字も多くて大変ですね。

 

父母も祖父母もゆきし秋遍路    道人

◯(ルカ)祈りの旅、遍路。何だか切なくなりました。

○(餡子)遍路の経験はありませんが、こういうやどにも泊まるのでしょうか。3代続く遍路。私もいつか行ってみたいですけど・・・。

○(藤三彩)同行二人(どうぎょうににん)の人生にはお大師だけではなく祖先も見守ってくれているのでしょう

 

秋晴や威風堂々の連隊旗    幹夫

 

秋天を揺るがすものに国の旗   あちゃこ

○(幹夫)皇国の景に共感。

 

焦点のややぼやし気味木の実降る  まきえっと

〇 (多実生) 高木でしょうか?木の実は見えませんが良く落ちます。

 

(選外)(ちせい)季語は「木の実」。「やや」がいいと思ったのですが「ばやし」は「ぼやかし」かと思いました。

 

白雲や銀杏黄葉の色映えて 春生

○(幹夫)対比の景が素直に詠まれており好感。

 

★★★

それでは、次回告知をお待ちください。

感想などはコメント欄をご自由に。

次回当番は「まきえっと」さんです。

 

 

 



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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2017-11-10 20:20:51
宙虫さん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

広島は秋祭も終って、いよいよ冬支度です。広島カープがCSで敗退したのはショックでしたが、横浜も善戦しました。良い日本シリーズだった、と思います。
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