こんばんは。
冬らしい気温になりました。
兼題:寒
地震以後よく焦がす鍋寒牡丹 宙虫
〇(楊子)あれは今頃だったかなあ。寒かったなあ。
語り継ぐ寒満月の激震地 幹夫
〇(春生)阪神淡路大震災も25年目ですね。何年経っても心の傷は癒えませんね。
〇(珠子)1.17。あの日のテレビ映像に、これは映画なのでは・こんなはずはない・と何度も思いましたが現実でした。一番寒い時期の。あれから25年。
〇(ちせい)季語は「寒萬月」。語り継がれるものに森閑とする時があります。
(選外)(道人)阪神淡路大震災後の真夜の景なのでしょう。
戦争の気配や世界が寒くなり 泉
○(幹夫)ソレイマニ司令官暗殺!昨今、米国VS中東イランの危ない関係が詠まれる。日米安保条約改定から60年が経つ1月19日、盤石の同盟にも油断大敵だ。
◯(アネモネ)ほんとそう。
〇(春生)地球は温暖化、世界は冷戦化。
〇 (多実生) きな臭くなりました。武器を使って争うのは人間だけです。
華僑服務社食材店の寒卵 アネモネ
寒月やJETでGONEといふ手並み 瞳人
○(泉)日本の検察に取っては、痛すぎる失策でした。
鎖骨から鉄骨生まる寒四郎 楊子
寒鯛よ仲間暇かな良い檀家 吾郎
〇(宙虫)昔からの付き合いの雰囲気。寒鯛が少しだけ緊張感を持って。
◯(アゼリア)和尚さん、檀徒を呼んで釣った鯛を捌いて御馳走してくださるのでしょうか?本当に良い檀家ですね。
◎(まきえっと)最近は墓じまいとかありますよね。鯛と檀家との取り合わせが面白いです。
斎場の帰路の港の寒落暉 アゼリア
○(仙翁)景色が浮かびます、落日の悲しいこと。
〇(道人)葬儀も船で往復せざるを得ない小さな島暮しが見えます。
マンホールの蓋の露わに寒満月 敏
○(ルカ) 冴え冴えとした寒満月のひかりを感じます。
寒月光乱歩旧邸貫けり ルカ
〇(楊子)貫くということばの強さが効いています。
◎(珠子)ミステリー作家の住んでいた重厚な家。寒月光が貫くという断定的な措辞に、謎が今解き明かされようとしている感あり。
寒禽の一閃の碧水の黙 珠子
◯(アネモネ)「水の黙」がいいですね。
◎(敏)一読、水辺の宝石にも譬えられる翡翠がよぎりましたが、寒禽とありますので同じように美しい色をもつ瑠璃鶲の飛翔だったのでしょう。いずれにしても鳥の色と水の色とが静かに呼応しており、印象的です。
道場の棚に寒餅ひび割れて 春生
○(幹夫)「師に倣ひ神殿に礼寒稽古」と詠んだことがあり、新年武道場の景に共感。
◯(アネモネ)いかにもありそうな景。
寒の内パジャマ替へられ気付かずに ちせい
背を伝う寒さ生家の真夜の土間 餡子
◎(仙翁)昔の土間は、夏は涼しいが、冬は冷えますね。
◎ (多実生) 昔の家の広い土間と深夜。寒さで背中が曲がりそうです。
◯(アゼリア)思い出しました。あの寒さ。
〇(ちせい)季語は「寒し」。生家の真夜の土間は懐かしいだけではないのかもしれません。
力出す仕事は寒を吹き飛ばす 多実生
○(泉)寒いからと言って、座っていてはダメですね。
この寒林を抜ければ会えるやも知れず 仙翁
○(敏)「何に」「誰に」会えるのか、色々と想像出来るところが、いいのでしょうね。
○(ルカ)寒林は何かの例えなのでしょう。
コンビーフくるくる開ける缶寒い 藤三彩
◎(吾郎)今にも指先を切りそうな緊張感が野崎の真骨頂だったのに残念。「寒い」が心情的にも効いてる。ショーケンの真似して食べたよなぁ。
○(あちゃこ)日常の何気ない一瞬。
寒烏磔られてただのトリ あちゃこ
二杯目の醒めたコーヒー寒暮かな 道人
寒風に晒す小さき背夢を見る まきえっと
テーマ:足りない
オプチミスト青菜ひとつの七日粥 珠子
○(泉)七日粥を作る、という意欲があるだけマシです。
祭壇に懺悔の言葉冬三日月 まきえっと
〇(道人)懺悔の言葉は永久に足りないものなのでしょうか。
選外(吾郎)懺悔と告解が違ったり、仏教とキリスト教では相当ニュアンスが異なることなど、勉強になりました。
さざ波の滋賀に一と夜を絵双六 アネモネ
〇(宙虫)静かな夜。滋賀のことをよく知らないが、絵双六がいろいろ想像させてくれる。
◯(アゼリア)絵双六、でどーんと落とされたような、軽妙洒脱な句と思いました。
チケットは完売雪へと変わる街 あちゃこ
◎(ちせい)季語は「雪」。何か恋人たちを祝福して居る様な雪で。
初氷まだ見ぬ話題酒の空く 藤三彩
まだ少し言葉至らぬ火事見舞 敏
◎(餡子)経験ありませんが、どんなに慰めても、言葉が足りないでしょうね。 お気の毒です。火の用心ですね。
意欲失せ風に任せる枯れ芒 多実生
猿引の猿ご祝儀を欲しげなり 春生
○(あちゃこ)そんな気がしますね。
寒三度使役に消えしビタミンか 吾郎
○(泉)「三度」(みたび)ですか。見事な回文だと思います。
九人に満たぬ野球部冬夕焼 餡子
◯(アネモネ)冬夕焼けの空が鮮やか。
○(泉)頑張れ!と応援したくなりますね。
○(敏)山の分校の野球チームが想像されます。
〇(藤三彩)弱小チームなのか少数精鋭チームなのか
〇(楊子)弱いながらも、冬もたんたんと自主練習をする部員の姿が尊い。
〇(仙翁)足りない人数でも、頑張っている姿が見えます。
〇(珠子)わが地区の少年野球チームも合併に合併を重ねて何とか存続。季語が元気をくれます。
〇(道人)こういう野球チームは応援したくなります。「冬夕焼」がピタリと嵌って味わい深い。
〇(まきえっと)画像が浮かびます。あと何人必要なんだろう。
笹鳴やまた削らるるバスの便 アゼリア
◎(春生)利潤第一主義の流れの中で、ますます過疎化が進みます。
○(餡子)よくわかる景です。身につまされます。ちっちっと鳴いている声に、寂しさが。
○(敏)人口激減集落のバス停時刻表を見ての感慨のように思いました。
〇(藤三彩)生活に支障が出そう。一方で運転免許証のシニアー返還もあり大変そう
〇 (多実生) 笹鳴きに過疎の村が見えます。遂に、廃線も近い?
○(ルカ) 中七がいいですね。
三種でも七草粥と朝餉かな 仙翁
〇(瞳人)七草を全部言える人はいませんよ、ね
煮凝りや思い出せない名がひとつ ルカ
◎(アネモネ)共感です。
○(吾郎)そのうち記憶の箱が溶け出します(笑)
◎(楊子)気になってじっとして考えているようすが見えます。うっすらとイメージだけはわかるのですが。煮凝りとの取り合わせがとてもうまいと思います。
◯(アゼリア)たったひとつだなんて羨ましい限りです。
初声は日課のパン屑せがむこゑ 瞳人
〇(藤三彩)スズメや冬鳥がえさ場に群がって騒いでいる。お父さん、期待されていますよ
〇(仙翁)小鳥でしょうか、いいですね。
〇(ちせい)季語は「初声」。鳥でしょうか。もしかしたら魚の口の音だったのかもしれません。
小正月二百六歩の万歩計 楊子
○(吾郎)ゆっくり休む家の人々。二百六歩が実にいい。
〇(宙虫)この中途半端な万歩計の数字。動きが鈍い気分が出ている。
○(あちゃこ)私も似たり寄ったり。
〇(まきえっと)ウォーキングイベントが終了した私のこととびっくりしました。
鍾乳洞を出て北風が戦時色 宙虫
〇 (多実生) 無風で温度一定の鍾乳洞。無風から北風の落差。
○(あちゃこ)唐突に何かを感じる事があります。戦時色もその一つ。
人里に餌を求めて痩せた熊 泉
○(幹夫)テーマ「足りない」は餌が足りない。一方、丸っこくてふっくらして愛らしい外見が似ているからといって、「クマのプーさん」と呼ばれたら習近平は拗ねるらしい。痩せて飢えた熊同様、太った中国熊も、北国の猛獣ロシア熊も空恐ろしく、軍事上の大きな脅威だ!
〇(春生)熊にとって、厳しい現実ですね。
〇(瞳人)どんぐりが少なくなったせいだ、だれが悪いいんだろ。
足りなくてアーモンドナッツを食べる冬 ちせい
冬満月辻のコンビニ消灯す 道人
○(幹夫)テーマ「足りない」は人手が足りない。セブンイレブン24H営業を止めたオーナー、アルバイトが集まらずコンビニの人手不足も深刻化している。
◎(泉)24時間営業は大騒動になりましたが、深夜は閉めるべきでしょう。
○(餡子)働き手が足りず、コンビニも、ファミレスも24時間営業をやめるところが増えるようです。若い人には困るのでしょうか?じじばばには必要ありませんので、夜はきちんと皆さん休むことが大事です。
〇(珠子)エネルギー問題&働き方改革問題。深夜営業をやめられる世の中になればなあ。冬の美しい満月を見上げましょう。
夜明かして一枚足りぬ花歌留多 幹夫
○(餡子)よくあります。カルタやらトランプやら・・・。座布団や絨毯の下、ソファーの隙間など探してみましょう。
〇(楊子)トランプではなく花歌留多が色っぽい気がします。さてあの人はどこへ。
雑詠
2020初湯の湯気のミルク色 珠子
子供って笑顔を運ぶどんどの火 まきえっと
◎(藤三彩)どんど焼きに家族や地域の人々が集まる。なかなか最近は見られない光景
ほめ合へり槙の庭木の雪吊も アネモネ
〇(藤三彩)庭の観賞はダメ出しではなくて褒め合うこと。樹木も喜んでいるのだろう
柿落葉掃き清められし木の周り ちせい
行くと縄なうよ器用な罠得意 吾郎
〇(仙翁)最近、野生の動物がよく出ます。面白い回文ですね。
○(道人)季語は「縄なう」(藁仕事)なのでしょうか。遊び心のある独特の回文句。
年越しの百合根を植える命拾い 藤三彩
糸切歯をなくし黄色い冬の薔薇 宙虫
初空や薩摩隼人の一番湯 幹夫
○(餡子)やはりそうですか。一番風呂は主(男)ですか。
〇 (多実生) 小説の一場面の様な光景です。
〇(珠子)初湯一番のりで、我こそは薩摩隼人と思っておられる?そう思わせてくださる家人に感謝ですね。今年も健康でありますように。
〇(ちせい)季語は「初空」。古湯だったのでしょう。古さの陰に人間の努力あり。
○(ルカ)薩摩隼人という言葉が生きてます。
神域に日矢恋う二輪寒椿 道人
〇(宙虫)恋うがいささか気分を削ぐが材料をよくそろえた句。
人影の縮んで縮んで花八つ手 敏
〇(春生)「縮んで縮んで」がおもしろい。
◎(宙虫)遠ざかっていく人影の黒い色が印象的。
○(あちゃこ)リフレインが効果的。
○(ルカ)なぜか納得させられました。
〇(まきえっと)「縮んで縮んで」をいろいろと想像させます。
暖冬と言えどお日様有難し 多実生
貼るカイロぺりりと余命温いまま 楊子
〇(宙虫)余命が温いという表現が面白い。
〇(瞳人)余命、そういうことを思う年でしょうか。
◎(あちゃこ)カイロと余命の取り合わせが絶妙です。
冬の蝿写経の寺の花頭窓 春生
〇 (多実生) 写経と冬の蠅の落差が滑稽。
〇(珠子)外はまだまだ寒いからもう少し暖かいところに隠れていなさい。花頭窓がいい。
〇(アゼリア)蠅の飛ぶ音だけが聞こえる静謐な本堂の隅で写経に集中してしている様子が伝わってきます。
年酒の酔ひいや増しぬRADETZKY 瞳人
(選外)(藤三彩)『ラデツキー行進曲』はヨハン・シュトラウス1世が作曲した行進曲とのこと。二日酔いの悪酔いのようです
選外(吾郎)勢いに乗ってかなり飲みそう(笑)
白息や地球は水素で活きていく あちゃこ
〇(藤三彩)世界の人口は増加するばかり、限られた地球の資源を大切に利用しようというSDGs (持続可能な開発目標)に目を向けている
〇(道人)詩情豊かな季語「白息」と「水素」の取り合せにインパクトあり。現代の環境問題を詠って中々風刺が効いた句。中八がやや残念。
〇(まきえっと)元素記号の1番目ですね。この無機質感が好きです。
表札の傾き直す雪の朝 仙翁
◯(アネモネ)寒さが伝わってきます。
○(敏)最近の填め込み型の陶製の表札ではなく、豪農の門扉に釘で吊された木製のそれが目に見えてきました。
〇(瞳人)そういうことに、無頓着なひと、そうではいられない人、さまざまですね。
〇(楊子)なんということのない描写ですが惹かれました。けっこう雪が積もったのですね。
◎(道人)何気ない日常の動作を平明な言葉で表記して、重たい雪国の冬の生活がリアルに伝わって来る。
〇(ちせい)季語は「雪」。偶然直ったとは言え、雪の功名とはすごい。
◎(ルカ)シンプルですが、忘れ難く、味わい深い佳句だと思います。
〇(まきえっと)寒さが伝わってきますね。
風邪薬選ぶ元気のあるうちは ルカ
○(幹夫)甚く納得。
○(吾郎)かなり深刻な状況を体験された方の処世術、なにごとにも早めの対応が○。
縫初めや里帰りの子の衣(い)のほつれ 餡子
〇(春生)母親の気遣いが出てます。
○(吾郎)実にこの時期らしい一句。最近はほとんど見かけない感じですが。
◎(アゼリア)親は本当に有難いですね。
繭玉提げ九条の会に署名する アゼリア
○(餡子)お正月から、浮かれずに、しっかりと政治を考えるのはいいことです。うんざりすることが多く、萎えてしまいますが。
○(吾郎)映画「64」の餅花のワン・シーンを思い出しました。
明日は来ること疑わず日記買う 泉
◎(幹夫)生きてるだけでまるもうけ。
○(敏)誰しも明日は来るものと信じて日々を過ごしています。それがぷっつりと途切れるのが人生なのでしょう。
◎(瞳人)大路の春をうたがはない人を思い出しました。
〇(仙翁)無常を忘れ、人は生きてゆくのでしょうね。
(選外)(道人)当たり前のことだけれど、読み手にとって新しい発見であり、新鮮な気分になります。
次回をお楽しみに。
広島は暖冬が続いています。このまま春になるかな・・・?中東情勢といい、武漢での感染症といい、明日のことは分かりません。日本も自然災害が多いですから。無病息災に感謝です。