二回に分けて発表!
今月の写真
熊本市西区河内町の塩屋漁港
塩屋恵比寿大明神、かなりお顔が風化。
本日、8月9日午前8時50分現在、台風6号が接近中の熊本市。
写真の漁港の先の会場を通過予定。
いまのところ、晴れ間が見えたり、風も昨夜のほうが強かったり。
まだこれからなので安心はできないが、混乱はまったくない。
★結果発表
大阿蘇を丸洗ひして梅雨明くる 幹夫
〇(瞳人)丸洗いでは済まない、昨今の大雨ですね
〇(楊子)伝統的な詠みかもしれませんが「丸洗い」という表現がいいです。
◎(泉)スケールの大きな俳句だと思います。
◯(道人)梅雨末期の肥後の雨は烈しい。阿蘇外輪山内を丸洗いして梅雨が明けると雄大な阿蘇五岳の滴りが見えるようだ。スケールの大きい句。
〇(藤三彩)スケールの大きな景。
◎(珠子)大阿蘇・丸洗い。スケールの大きさ・おおらかさに惹かれます。暴力的な雨のニュースが続きましたが、「丸洗い」からはほどよい梅雨の雨量が伝わってきます。
○(あちゃこ)あの阿蘇が丸洗いされるほどの豪雨にみまわれたのでしょう。少し大袈裟な中七が効いています。
◎ (多実生) 丸洗いの表現が巧く面白い。
〇(あき子)大胆な絵柄、梅雨明けの清々しさが気持ちよい。
〇(春生)中七「丸洗ひして」が大阿蘇の大雨を的確に捉えている。
◎(アネモネ)中七の「丸洗ひして」が上手い。
椋鳥に膨らむ大樹一番星 アゼリア
◎(楊子)「椋鳥に膨らむ」という街路樹をまさに見たことがあります。言い得て妙な表現です。季語も涼やかです。
○(幹夫)日中は地上の虫などを啄み、動き疲れた椋鳥も、夜はゆっくり羽を休める。景がよく思い浮かびます。
西日濃き海に浮きたる神の島 春生
○(幹夫)日出ずる海洋国家、神の島「ニッポン」である。
○(あちゃこ)一枚の夏の絵葉書。神の島の斡旋がいいですね。
〇(まきえっと)海に浮いている島が「神の島」と見えたのですね。きっといいことが起こりそうです。
○(ちせい)神島には人間をそそるものがあるのでしょう。
帰らざる故郷何処晩夏光 卯平
土用凪瀬戸内海は絵のごとく 泉
〇(瞳人)ここ、六甲東端でも、瀬戸の凪は毎夕、必ず来るのですね
大西日輪郭だけの花街立つ 楊子
○(餡子)どこの花街でしょうか。輪郭だけというのが花街とマッチしています。
〇(カンナ)発想が素晴らしい。
〇(藤三彩)かつて遊郭のあった街。繁盛していた置屋もあったことだろう。
(選外)(卯平)大西日と花街の景は共感。輪郭が必要か。花街立つは花街跡がくっきりなると言う意味か。全体としてぼんやりとした景を鑑賞者は消化できない。
朝曇階段下りる爬虫類 ちせい
◎(仙翁)下りる爬虫類,が面白いですね。
〇(あき子)爬虫類は天気に左右されないで、黙々と階段を下りる。
○(卯平)「階段下りる」と「階段下る」では爬虫類の所在が異なるだろう。爬虫類が具体化されると解消されるかも知れない。がここでは朝曇と爬虫類の関係はおや?と思った。
○(宙虫)爬虫類の登場が面白い。
(選外)(道人)やや季語に寄りかかり気味だが、爬虫類も今日の猛暑を察知して活動が低下するのだろう。焦点の当て方が面白い。
戦没者慰霊碑蟻の列乱れ 珠子
〇(あき子)人間も蟻も、生きてる限り戦うことから逃れられないのか。
○(あちゃこ)8月の思いや祈りが伝わります。
○(卯平)景としてはよく見れる。が句としての立ち姿には少々違和感。「乱れ」の位置が工夫できないか。
◎(春生)「蟻の列乱れ」に作者の心の乱れを移入している。
◎ (アゼリア) 戦死の伯父の慰霊祭に参加することが祖父の一番大切な行事でした。蟻の列乱れに遺族のいつまでも癒えない悲しみが表現されていると思いました。
○(宙虫)黒い色が不気味な世情を映す。
大夕焼け将軍からかうチャップリン 藤三彩
○(ちせい)チャップリンの熱演に大夕焼けがより一層でかく見えたのかもしれません。
大夕焼日本は核を持たぬ国 カンナ
○(泉)核を持つことと、核を使用することとは、全く別次元の問題です。
〇(珠子)その通り。
〇(春生)季語「大夕焼」が戦禍の大地を彷彿しており、再び戦争をしないという日本の覚悟が表現している。
○(アネモネ)本当はさらにその先に進まないといけないんでしょうね。
戻れない旅路に刻む海晩夏 あちゃこ
○(幹夫)敗戦間近、特攻機を連想した。
○(仙翁)刻む海がいいですね。
◯ (アゼリア) 季語が効いていると思います。
置き去りの気怠さ沖に沈む夏 まきえっと
◎(カンナ)気怠さが沖に沈む?はっきりしない文脈が新しい感じがします。
〇 (多実生) 日が落ちても続く暑さ。
○(仙翁)置き去りの気怠さ、いいですね。
父母の家は影絵のなかに夏の果 あき子
〇(カンナ)上五、中七が切なさのある季語と響き合う。
◯ (アゼリア)解体した父母の家は影絵の中の家のようで共感の句です。
〇(めたもん)「夕焼」という季語を使わないところがミソですね。
○(宙虫)季語がいまひとつながら、情感が伝わる。
(選外)(卯平)句材としては魅力がある。「影絵」と「夏の果」に近似の世界を感じる。「なかに」が整理できれば定型に納まるだろう。
夕薄暑烏賊釣り船の出払つて アネモネ
〇 (多実生) 烏賊釣りは夜、沢山の電球を並べた船の帰港は朝。
◎(ちせい)出払った後の寂寥を思います。イカ釣り船の運命を思います。
(選外)(卯平)景としては明確。但し「夕薄暑」が醸す季感と「烏賊釣」が醸す季感がハウジング起こしていないか。
暁の夏影を曳く大欅 仙翁
〇(まきえっと)「夏影を曳く」がいいですね。
断捨離に残す本選る窓夕焼 めたもん
〇(瞳人)ほとんど、毎日みたいな本の断捨離です
〇(楊子)特選と迷いました。「断捨離」が言い古された言葉なので別の言葉がないかなあと。
〇(カンナ)断捨離の切なさが夕焼と響き合う。
○(卯平)なるほどと納得する句。「断捨離に残す」か「断捨離で残す」か。その曖昧さはあるが窓夕焼の景は魅力的。最後の選。
飛魚ひかるEEZのこちら側 宙虫
○(泉)EEZはややこしい。しかし、いろいろと手を打ちますね。
◎(道人)時事用語EEZ(排他的経済水域)を俳句で使って俳諧味あり。「飛魚ひかる」が絶妙。
夏の星果ては知らぬと謂ふ寝顔 瞳人
落暉呑み竜宮城も熱帯夜 餡子
〇(瞳人)うーん、そう来たか
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。乙姫様も不眠症ですね。
○(あちゃこ)ファンタジーの中に暑い暑い暑い夏がみえますね。
〇 (多実生) 落暉呑みが上手い。
〇(めたもん)確かに今年の暑さでは、竜宮城も熱帯夜かもしれません。
夕焼けて浮き立つ富士のシルエット 多実生
道の辺に奧津城一基夕焼けぬ 道人
〇(藤三彩)奥都城(おくつき)とは、上代の墓、神道式の墓のことだそう。
○(ちせい)作者の主観がしっかりと奥津城を見詰めている。
電柱は十字架のごと大夕焼 泉
〇(まきえっと)確かに。
○(餡子)夕焼は、様々なものを、幻想的にします。
◯(道人)電柱が十字架に見え、林立する電柱が墓標に見える時ってありますね。私の場合は決まって夕焼時です。
〇(藤三彩)何処の電柱かわからない。ゴルゴタの丘だったりして
〇(めたもん)十字架に見立てた電柱。夕焼は人間の精神的な何かを刺激します。
〇(春生)写生のしっかりした句である。大夕焼けの中に立っている電柱を十字架に見立てた感性のすばらしさ。
夕凪が暑い一日長くする 多実生
○(泉)夕凪は本当に暑いです。
◯(道人)風のない夕方から熱帯夜にかけてのうだるような暑さと意欲低下が客観的にうまく詠われている。
◎(まきえっと)長くすると感じたところがいいですね。
炎天を押し上げ道祖神元気 餡子
◎(あちゃこ)時空を超えて変わらぬものの強さを感じます。負けるもんか。
太陽の沈むや高鳴る祭笛 春生
海釣りの父と子の黙星流る アゼリア
〇(楊子)日常の釣りの詠みでしょうが、静かにつづく生が感じられます。
〇(カンナ)誰もいない海の写真から物語が生まれた。
〇(珠子)夕方からの釣りがいつの間にか星の夜に。言葉は無くても長い時間一緒にいられる父と子の関係。
〇 (多実生) 経験はないが釣りは無口でしょうね。
○(仙翁)無口だが、いい親子のような気がします。
◎(あき子)「黙」一字に大切なことが言いつくされているように思えます。
◎(卯平)この父と子の間に流れる様々な思いは多様な物語を醸す。「黙星流る」にこの子への父親の慈愛を感じる。例えばこの子、不登校などで躓いている子か。それを色々と小言を言わず黙って海釣りに誘い出す父。星流るに父の思いを感じる。母では「黙星流る」の景には至らないだろう。
〇(めたもん)魚釣りをする父と子の間のかけがえのない時間の流れを感じます。いいですね。
〇(春生)この親子の姿は一生忘れられない映像である。
○(アネモネ)釣果はどうだったんでしょう?
○(宙虫)父と子の関係が流れ星に見える。
明易し呼吸荒々しい大樹 まきえっと
○(仙翁)呼吸の荒々しい大珠、重し老いですね。
縁先へ徳利連れて星涼し 瞳人
〇(カンナ)外飲み良いですね。
星合の夕べ明るく西の空 アネモネ
〇(珠子)上五中七がなめらか。今年の新暦七夕はこんな夕べでした。
八月や石碑の由来が読み辛く ちせい
○(餡子)作者と同じでした。知りたいですね。
戦場へ続く岸壁西日濃し 道人
○(餡子)この戦場・岸壁は、いろいろに取れますね。15日も近くなってきました。 多くのことを含む句だと思います。
◎(幹夫)天動説が信じられている昔は、水平線の向こうは断崖絶壁だと多くの人が思っていた。濃き流血の如き西日・・・今、海の彼方は、戦争に明け暮れる奈落の底だ。
〇 (多実生) 生々しい想いの現実。
〇(あき子)戦争は遠い世界のできごとではなくて、すぐそこから続いている。西日濃しが悲しい。
○(卯平)かっての「岸壁の母」ではないだろう。今や日本の岸壁も戦場への一里塚となりつつある。西日濃しに詠み手の思い。このような抑制された時事句は詩情を感じる。
○(ちせい)ウクライナなどを思いますが、西日の濃さが岸壁を照らして居ます。
◯ (アゼリア) 対岸の火事ーと見過ごす訳にはいきません。明日の我が身かと思います。
○(アネモネ)「西日濃し」に余韻があります。
◎(宙虫)戦争から逃れることのできない世界が哀しい。
大夕焼空襲のあの夜のこと カンナ
釣り船の盆東風に揺れ浮き沈む 藤三彩
つづく
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます