部屋から見ている日差しは柔らかく、手の甲に当たる日差しは力強いです。
兼題:春
藤村の『春』うつうつと蜆煮る 宙虫
○(餡子)むかーしに読んだ『春』ですが、鬱々がズバリ。
○(あちゃこ)取り合せと展開の鮮やかさで頂きました。
◎(珠子)「うつうつと蜆煮る」に籠められた言葉にならない重いもの。
〇(まきえっと)「うつうつ」の言葉の選びがよいと思います。
春の雪一寸お喋りしませんか 幹夫
◎(アネモネ)このお誘いいいですね!すぐのっちゃいそうです笑
○(アダー女)お喋りに誘っている相手は友人?恋人?いや「春の雪さん」のような・・・
○(卯平)キャンディーズの歌を思い出させる。春の雪の明るさは女同士の「お喋り」を誘う。
◯(道人)そんな気になりますね。
〇(珠子)そうしましょう。紅茶を入れますね。
春隣井戸端会議の長いこと 泉
○(カンナ)情景が浮かぶ。
春立ちぬ蒸気機関車煙り上げ 藤三彩
合格は二次志望校春の虹 楊子
〇(幹夫)一喜一憂は束の間。捨てる神あれば拾う神もあろう。「春の虹」の季語にも納得。
○(泉)学校は勉強する場所ですから、本人の心掛け次第です。
〇(珠子)二次志望校でよかったのだと思う日がきっとくるはず。虹が出た!
立春大吉手相観に手をほめられて アネモネ
〇(幹夫)お墨付きもらって当に立春大吉!
〇(瞳人)この誉め、には仕掛けありです、「浅草・御厩河岸」のごとく
(選外)(卯平)句材は面白い。が一読してのすっきり感が伝わらない。中七下五を推敲すれば面白い句になりそう。
前略は春で始まる葉書かな 卯平
◎(吾郎)サラッとした風情の軽やかさ、春ですね
春立つや目覚め欠伸の尻重し 瞳人
〇 (多実生) 春眠暁を覚えずで、その通りです。
◎(ちせい)春眠暁を覚えずの朝寝を想起しました。
鳴り止まぬ爆撃の音春の闇 カンナ
〇(春生)ウクライナのことでしょう。早く戦争が終わってほしいですね。
現世の影運び行く春の川 仙翁
◎(楊子)「うつしよ」と読みました。明るいイメージだけで詠まれがちな「春の川」にも複雑な詠みができることがわかりました。
◎(宙虫)春の次第に強くなっていく光が生み出す影。ゆるやかな流れに見える陰影がいい。
○(アダー女)現世の影とは?この世に生きる我が心の闇のこと?それを春の明るい川が流し去って行ってくれるような。いや自分だけでなく人々の水に流してしまいたい陰の部分を春の川はみんな流し清めてくれるような気がします。
〇(めたもん)最初は象徴的表現のようでうまく入り込めなかったのが読んでいるうち味わいが深くなりました。
〇(珠子)影であり形であり、そして陰であり闇でもある。しかし春が来たのだ。
〇(まきえっと)春の頼り気ない日差しが「現世の影運び行く」と合っている感じがしました。
口紅はピンクとろとろ春兆す あちゃこ
〇(瞳人)ほんと、春恋し、です
絶え間なく朝の水場に春の鳥 多実生
○(宙虫)生き物たちが活発に動き出す。精気が少しずつみなぎっていく。
○(仙翁)今、朝に沢山の小鳥が鳴き、飛んでいます。
○(あちゃこ)春の爽やかな景が見えます。
春怒濤下駄の跡あり真砂女の恋 アダー女
○(藤三彩)銀座一丁目の「卯波」の真砂女は真っ赤なルージュを引いていました。「九十年生きし春着の裾捌き」真砂女
○(餡子)鴨川の海岸でしょうか。浜辺に残った下駄の跡。恋に生きた久女。強い人だなあ。と思いつつ怒濤をみている作者。
◯ (アゼリア) 真砂女には下駄と割烹着が似合いそうです。
(選外)(卯平)一度選をして外した句。「真砂女の恋」と春怒濤は説明的では。下五「真砂女の忌」でも上五の季語との重複感は感じないだろう。しかし「春怒濤」と無理しなくても素直に「砂浜に下駄の跡あり真砂女の忌」としても真砂女の人生は「下駄の跡」に託されてはいないか。確かに彼女の人生は「春怒濤」ではあった。
手に盛るは締めの日の飯春喪にて 吾郎
〇(めたもん)葬儀のお斎でしょうか。死と食の間にある感触のようなものを感じる句です。
水琴窟しだいしだいに春の音 道人
早春は四季の青春メロンパン あき子
○(泉)意味不明ですが、明るくてユーモラスな俳句だと思います。
○(アダー女)春の希望に満ちた明るさは、確かに四季を一生に例えれば青春ですね。メロンパンがピタリ!久しく食べていないなあ。カロリーがめちゃくちゃ高いと知ってから遠ざけてきましたが、あのパリッとした表皮と中のふわふわ感!食べたい!
◎ (多実生) 早春は四季の青春は素晴らしい、メロンパンも効いています。
◯ (アゼリア) メロンパンは青春の味ですね。
春愁と言うほどでなき気のふさぎ 餡子
〇(瞳人)そういう気分、確かにそうです
イケメンは今日も真ん中春鴉 めたもん
○(卯平)世の男性諸君!イケメンイケメンとチヤホヤされても喜ぶなかれ!。女性たちの本音は交尾に飢えた「春鴉」がイケメン。彼女たちはこうして年下のイケメン男性を弄ぶ、だから真ん中なのだ、と観賞させてもらった。韓国の今の流行の歌手たちを見ているとついこう思ってしまう。後期高齢者へと呼ばれる事に反発している男性の僻みとして聞き流してもらたい。
◯(春生)鷗の世界でもイケメンは真ん中にいるのかもしれません。発想がおもしろいです。
(選外)(道人)嫌われ者の鴉の集団の真ん中にイケメンとは俳諧味あり。春なればこそ。
春寒や欅に鳥の羽根残し 春生
辞書の影パソコンの影春灯 珠子
○(アダー女)春の夜、灯の明かりの下で俳句の勉強をしているお仲間の姿が眼に見えるようです。
◯(道人)遅くまで辞書を片手にパソコン作業。冬灯ではなく春灯で良かった。
○(あき子)影と灯りの室内はしんとして、セピアカラーの静物画のよう。
○(ちせい)面白い詠みぶりだと思いました。
今月の星座占い春ショール まきえっと
〇(めたもん)季語「春ショール」と「星座占い」との距離感が良くそこに味わいがあります。
春の雪野菜たっぷり煮ぼうとう アゼリア
○(吾郎)これは旨いに違いない──と
早春や灰色バリカン充電中 ちせい
(選外)(卯平)灰色の「ケ」が早春という「ハレ」と共鳴していないのでは。バリカンを充電している景と「早春」「春浅し」「冴返る」などの景とのコラボは面白いとは思う。これらの季語のどの本意本情と共鳴させれば詠み手の自己が投影されるか、句材は斬新。推敲次第で面白い一行詩へと導かれるのではないか。
テーマ:旅
くたくたの手袋旅の荷の上に まきえっと
○(泉)旅行は疲れます。慰めの言葉が見つかりません。
○(吾郎)冬の旅、ご苦労様でした
○(アダー女)冬の旅にずっと一緒だった手袋。「くたくたの」の措辞に相棒の手袋への感謝がしみじみ伝わってきます。
春休み各駅停車の旅に出る 泉
ちょい旅の二両列車や春二番 楊子
○(カンナ)一泊か日帰りの気ままな旅に、春二番の季語が合っている。
〇(アネモネ)リズムに惹かれました。
○(あちゃこ)わが故郷のローカル線を見るようです。軽みと二のリフレインも面白い。
◯ (アゼリア) 取り合せが上手と思いました。
ほろ苦き菜花のさそふ酔ひ心地 瞳人
○(藤三彩)菜花を湯がいて辛し和えにしました。桝酒でひとり呑みました。
越前蟹リュックに連れて母帰宅 カンナ
◎(幹夫)「リュックに連れて」がまことに佳い。
〇(めたもん)越前蟹のことを話したくて話したくて仕方のない帰宅の様子が浮かびます。
春淺し旅先で買うサロンパス 餡子
○(泉)旅は疲れるし、足腰は痛くなります。サロンパスは必需品です。
〇(楊子)なんといっても「サロンパス」の唐突さに立ち止まります。何を頑張ったのでしょう。神社の長い階段を登ったのでしょうか。あの匂いと春浅しが合うような気がします。
○(カンナ)何を買うかと思いきやサロンパスとは。季語との取り合わせが面白い。
〇(アネモネ)サロンパスがいい味出してます。
○(卯平)上五の「春淺し」の「し」のキレに弱さを感じ、更に「淺し」の旧字体が重たく感じる。が、中七下五の景と早春の景には春の愁いも感じられ詩情を共有する。欲言えば中七「で」を消したい。鑑賞者であれば「サロンパス買ふ旅先や春浅し」などとしてみたくなる。
◯(道人)サロンパスの意外性と軽いタッチが早春の旅らしい。
〇(めたもん)サロンパスがいいですね。何といっても旅ではよく歩きますからね。
〇(珠子)久しぶりの旅でちょっと張り切りすぎました。三年間のコロナブランクの大きさを思い知りました。
○(ちせい)ユーモラスだと思いましたが、深刻なエピソードが隠れているのかもしれません。
〇(まきえっと)旅先でレンタでサイクリングをしたら次の日は大変でした。思い出しました。
寒明の湯へ煙り匂へる地獄谷 藤三彩
曲がり屋のたしかな背骨冴え返る あちゃこ
○(宙虫)歴史を背骨に見せて、曲がり屋に暮らした人々のことを考える。
◎(アダー女)遠野で昔見ました。その屋台骨はがっちりした建築で、L字の一角には馬小屋もありましたね。「たしかな背骨」という擬人化も上手く「冴え返る」の季語も広い屋敷内の凜とした雰囲気をよく伝えていてお見事。
○(仙翁)曲がりやに背骨、面白い繋がりですね。
○(あき子)旅先で曲がり屋を見学した時の「たしかな背骨」を思い出しました。冴え返るが効いてます。
(選外)(卯平)馬小屋と母屋が一体となった景。「たしかな背骨」は曲がり屋の説明では。実際旅先でこの景を観たのであれば詠み手独自の発見があったのではないだろうか。曲がり屋を句材とした事は共感する。
(選外)(道人)南部曲がり屋の柱はしっかりしている。まだまだ春遠き南部の春が「たしかな背骨」に凝縮している。
決まりない春旅たるは稲荷巻き 吾郎
○(仙翁)決まりない稲荷巻き、面白いですね。旅は自由です。
○(あちゃこ)稲荷一つリュックに入れて当てなき旅へ。いいなぁ。
残雪や足湯にほぐれゆく五体 珠子
○(カンナ)ほぐれゆくをひらがなにしたのがよかった。残雪のある足湯の情景が浮かぶ。
〇(アネモネ)いいなあ。ほっこり感が伝わっきます。
〇 (多実生) 健康もやる気も足からで、足湯は納得。
四温かな上高地の宿予約せり アダー女
◯ (アゼリア) 羨ましいです。
春光や父の遺品に吾の旅便り アゼリア
〇(瞳人)パリから出した葉書を亡父も残してくれていました
◎(あき子)作者が書いた旅の絵葉書を大切に持っていてくれた父上への万感の思いが、やわらかな春光のなかに伝わってきます。
〇(春生)しみじみとします。大事にしていたんですね。話かったですね。
(選外)(卯平)背景を読ませる句。だからこのような句には心が揺らぐ。但し「吾の旅便り」が整理できないか。僭越ながら失礼を顧みず鑑賞者の勉強として、ー父○○忌ー「吾よりの絵葉書褪せし夕桜」などとしてみた。
乗り継ぎを待つやバス停日脚伸ぶ 卯平
○(藤三彩)まだ寒いのですがシルバーパスを入手しました。バス停の行き先、乗換などの路線図に目が移ります。
水鳥の留まる自由それも旅 仙翁
○(宙虫)Uターン、Iターン。帰らない自由もあることに気づく。
◎(道人)今の日本の働き手も水鳥のようなもの。所属する会社に留まるのも辞めて転職するのも自由。よく言われるように人生は旅みたいなもの。
◎(あちゃこ)進むも退くも留まるも命がけの自由と言えるでしょう。下五の様々な旅への広がりがいいですね。
◎(まきえっと)下五の「それも旅」がなんともいえないです。
春遅し流れ膨らむ千曲川 めたもん
◎(泉)雪解け水で増水した千曲川。雄大な風景です。
〇 (多実生) 千曲川では有りませんが、比良の高嶺の雪も消えから始まる教科書の一節を思い出しました。
西行のそのきさらぎの月の旅 あき子
○(藤三彩)「願わくは花の下にて春死なんその如月の望月の頃」西行法師(釈迦の入滅2.15 陰暦2.16法師入寂)H3ロケット発射中止(2.17)
○(あちゃこ)西行へ思いを馳せる旅。西行の詠んだ望月は2月15日。釈迦の命日とか。翌2月16日に西行は亡くなった。下五は旅の月?
雪を踏む旅の荷物の重さかな 春生
○(幹夫)「踏む」がいいですね。北国への旅なのでしょう。
○(宙虫)雪の少ない地域に住んでいるとこの実感がなかなか得られない。
○(吾郎)荷物の重さは冬が堪える
◎(仙翁)雪に荷物、重そうですね。人生の旅でしょうか。
早春の旅や地獄湯極楽湯 道人
〇(楊子)地獄と極楽は表裏一体。生と死も表裏一体。さて春の旅にでかけましょう。
多喜二忌の多喜二の小樽雪しまく アネモネ
◎(瞳人)「多喜二」二つはどうにも重いけど、この忌日、エリーが特高に連行されるという「マッサン」の、あの場面、懐かしく思い出させてもらいました。
◎(餡子)丁度今日20日が多喜二忌。雪のちらつく小樽倉庫のあたりが目に浮かびました。胸苦しい句です。
◎ (アゼリア) 季語が効いていると思いました。
○(ちせい)ちょっと幻想的な感じも。タイムトラベルして居る様な。
〇(春生)苦難に満ちた多喜二の人生を思えば思うほど憤りが迫ってきます。
鳥雲となってホテルの部屋のノブ 宙虫
木の根開く自然を見たり山の旅 多実生
旅人がゴミ掃除して菜の花忌 ちせい
◎(藤三彩)司馬遼太郎1923年〈大正12年〉8月7日 - 1996年〈平成8年〉2月12日)生誕100年と命日の「菜の花忌」に因みタイムリーな取り上げ方。サッカーW杯でも選手やサポーターが試合後のゴミ拾いをするのが日本人の美徳として捉えられています。司馬遼太郎の日本人とは日本とは何ぞの主眼にも惹きつけられる句でした。
〇(瞳人)司馬さん館に行く途中、歩道沿いに菜の花が咲き出すころです
(選外)(卯平)上五中七の景は納得。但し司馬遼太郎の生涯とゴミ掃除の関係は不明。理を前提にすれば彼の著作が戦後の我が国の歩みの陰について整理したことを「ゴミ掃除」と言えばなるほどとは思う。司馬遼太郎は旅することで己の思想を浄化した魅力ある旅人だった。旅が彼の思想を昇華し、彼の著作が我々を旅に誘う景は共感。一行詩としてはまだ推敲の余地はあるだろう。
料峭や失せてしまひし旅ごごろ 幹夫
雑詠
バレンタインデー我とわが身を愛したい あき子
○(卯平)最近は自分チョコの時代とか。コンビ二のバレンタインデーチョコも最近では買う人がめっきり少なくなった。
ふるさとは海猫哭くばかり避難灯 あちゃこ
〇(楊子)なんらかの災害を社会詠ではなく詩にしています。
結び目にひかり絡ませ春立てり まきえっと
〇(楊子)固い結び目にひかりを絡ませることで立春の緩むかんじがよく出ています。
○(吾郎)もやい結びか、セイルオン!
◎(めたもん)結び目に春を見付ける視線が繊細で新鮮です。上五、中七での切れが軽いことも句に合っていると思います。
○(あき子)ささやかな結び目にも春立つのを見のがさない、その視点が美しいと思いました。
○(ちせい)春光の眩しさを思います。紐は雄弁に春を語って居ると思います。
(選外)(卯平)綺麗な句。但し「ひかり」と「春立てり」が近似していないか。詠み手はそこを消したいと思い「ひかり」とひらがなにしていると思うが、音読すると春光で良いではないかと観賞してしまう。「ひかり絡ませ」に作者の眼目があるだろう。が、観念の世界から脱していないのでは。更に何の結び目であるかを明確にすることで一行詩に導かれるのではないか。
春の雪去った快晴まだ脳裏 多実生
嫁ぎし子にほのと似通う女雛かな アダー女
冴返る波打ち際のうつせ貝 道人
〇(幹夫)「うつせ貝」がいいですね。「冴返る」との取り合わせにも共感、綺麗な俳句です。
◎(卯平)「うつせ貝」と季語「冴返る」の間の詩情に惹かれる。但し「空貝」の方がより詩情が拡がると観賞した。「虚貝」では少々重たくなり「冴返る」の季語が浮いてしまうだろう。景が明確で詩情を豊かにする。二回目の選で特選とさせていただいた。
○(餡子)うつせ貝が良いですね。この場合、季語がもう少し温かみの有る方が好きですが・・・。
〇(珠子)波打ち際に打ち上げられた空になった貝。身はどこかで抜けてしまって、しかし二枚の貝殻は離れずに。それが切ない。
種まきに良い雲ふわり日之影町 宙虫
○(ちせい)直射日光ばかりでもいけないのかもしれません。
◎(春生)「日之影町」は実際に存在するのか、想像上の地なのか、考えてしまいますが、そんなことはそんなに問題ではないのですね。この俳句、愉快です。
舟券のどれも紙屑空つ風 アネモネ
(選外)(卯平)類似類句は数多。「舟券」が「馬券」でも「車券」でも成り立つ。車券の句は余りない。俳句ポストに「負け車券嚔に釣られ空に舞い 大和としより」が夏井いつきの選で入選しているようだ。ダフ屋を詠むのも面白いだろう。
春菊や恵みゆたかに雨の畝 幹夫
神聖な凍て夜も予定内線し 吾郎
○(宙虫)凍える夜なのに抜けられない。夜の職場内なのだろうか。内線で求める人とのつながり。
淡雪を行くあの頃の記憶来る 珠子
〇 (多実生) 想像では卒業まじかの淡雪。
(選外)(アダー女)淡雪の降る街を歩きながら、遠い昔、淡雪の中を歩いた記憶が蘇ってくる。淡雪からは矢張り恋人との思い出としか考えられません。「雪の降る街を~雪の降る街を~想い出だけが通りすぎてゆく~」高英男の歌声が懐かしい!
炭酸が尽きても買はぬ春北風 ちせい
(選外)(藤三彩)春北風をどう読むのか(はるきた・はるきたかぜ・はるならい)。ハイボールも焼酎割も炭酸が必需なのだが値上がりして買わないのかそれとも自家製の機器を買い求めたのか?炭酸と春北風の取り合わせはう~ん・・・
鳥帰る遅れがちなる二羽三羽 餡子
〇(アネモネ)景がユーモラスに伝わってきます。
○(仙翁)確かに、遅れているような鳥がいますね。
◯(道人)北へ帰る鳥の群と人間社会のヒトの群を暗喩で象徴化したような句。どんな集団にも少しは臍曲がりや置いてけぼりの少数派がいるものだ。
沈黙を培いたるや草木の芽 仙翁
〇 (多実生) じっと我慢の長い冬、沈黙の表現が良かった思います。
春落葉マスクそろそろ外そうか カンナ
○(幹夫)新型コロナウイルスも5月8日には「コロナウイルス感染症2019」の新名称で5類に移行予定だとか。マスク着用の強制力も減少しそうですね。舞うものどうしの取り合わせに共感です。
踏絵した夜の礼拝やイエス像 泉
白鵬の断髪解ける春の雪 藤三彩
○(カンナ)季語との取り合わせがよいと思います。
反古にする立春大吉起請文 卯平
○(藤三彩)落語の噺に「三枚起請」(さんまいきしょう)。年期が明ければ一緒になると吉原女郎が契る。ですがねー
反射着を光らせ春の郵便夫 めたもん
○(泉)「反射着」という観察が良いと思います。郵便配達、ご苦労様です。
〇(楊子)春のいい知らせを運んできそうな郵便夫ですね。
○(仙翁)交通事故が多いので、配達する人は気を付けましょう。
○(餡子) 春ののどやかな景。柔らかい気持ちになりました。
○(あき子)反射光の中に「春の郵便夫」が現れて、春の便りを運んでくるのでしょうか。
〇(まきえっと)反射着がいいですね。春ののどかな風景が目に浮かびます。
〇(春生)郵便夫さんも大変です。事故も多いようです。
防犯カメラの死角に嗤う春の蛇 アゼリア
◎(カンナ)何かの隠喩なのか? 俳句に詠むのは難しい、日常を逸脱した特異な世界を上手く詠んでいる。
◯(道人)今や防犯カメラは大都会から限界集落に至るまで張り巡らされている。どこのカメラかは分からないが冬眠明けの蛇が悠々と防犯カメラに写っているのも珍しくないのかも知れない。滑稽味溢れる句。
○(餡子)今やどこにでもあり、どこからも監視されている世。蛇なら上手く躱せそうですね。
落椿母校の庭の片隅に 春生
茹汁の真青を流し花菜和え 楊子
〇(アネモネ)中七「真青を流し」が上手い。
○(吾郎)リアルな絵心、綺麗
○(あき子)鮮やかな色の描写から、春の喜びがあふれてくるようです。
◯ (アゼリア) 黄と青のコントラストが鮮やかです。
〇(まきえっと)「真青を流し」がいいですね。
譬ふれば朧に然り女ジョーカー 瞳人
○(卯平)朧が女ジョーカーとは恐れ入った。面白い句。
☆次回をお楽しみに。
広島はいよいよ春らしくなって来ました。雨が降るたびに、春が近いことを感じます。季節は変化して、現実も変化します。新型コロナの規制緩和が決まりましたが、まだまだ油断は禁物だ、と私は思っています。