小麦句会 on blog

俳句「麦の会」の句会のひとつです。 ネット句会を月二回行っています。 この句会は誰でも参加できます。

第340回小麦句会結果発表

2016年08月24日 22時26分33秒 | 15日句会

こんばんは。

オリンピックが終わって、台風も過ぎて。

秋の虫が鳴いている静かな夜です。

9月にはパラリンピックが始まります。また寝不足になりそうです。

お待たせいたしました。

兼題:降

秋の蝉降参してもいいですか  瓦すずめ

○(藤三彩)不思議な感触。頑張って、鳴き疲れて後は子孫を残すのみか。

○(敏)秋蝉の声はもの悲しい。勝負にこだわっているのが切なくなった。たぶん、白旗の揚げ時だと感じた作者の呟きかも知れません。

○(仙翁)今は、ツクツクボウシが盛んに鳴いています。

 

降格や夏のボーナス気に掛かる  泉

 

ひねもすを降りみ降らずみ厄日過ぐ  とっきー

○(藤三彩)結局何もしていない。だけれども台風のような禍や俺々詐欺には遭わず一日が無時に過ぎる安堵。

○(珠子)これくらいの厄日は理想です。そうであってほしいと思います。

○(呆夢)こんなにゆったりした1日を過ごしてみたいです。

 

無人駅降りれば既に赤とんぼ  多実生

○(アネモネ)奥多摩に行くとこんな景に出会ってはっとすることがあります。

○(仙翁)この田舎では、田んぼに赤とんぼがたくさん飛んでいます。

○(ちせい)季語は「赤とんぼ」。無人駅を彩る赤とんぼ。駅が秋色と成りました。

(選外)(道人)無人駅と赤とんぼには弱いです。身近な景としては減ってきました。 「既に」が説明的かも。

 

けづり氷の春の雪降るやうに積む   アネモネ

 

星降る夜圭子えん歌を朝明(け)まで  瞳人   

 

降り落ちる蝉の嵐に責められて  仙翁

 

尻振りて台風吹いた照り降りし  吾郎

 

八月の降るを忘れし空仰ぐ  ひなこ

○(春生)中七「降るを忘れし」の擬人化が決まっている。「空仰ぐ」に気持ちがこもっている。    

○(泉)八月は暑くて、雨が降りません。水不足ですね。

 

降りみ降らずみ酔芙蓉の彩淡き  敏

 

石階を二段飛ばしに降りて秋   幹夫

◎(アネモネ)危ない危ない。ましてや下りは・・・。

◎(呆夢)子供のころを思い出す光景です。どんな秋が見つかったのか、知りたいところです。

◯(吾郎)そういうことができたのは20世紀まで(笑)

◯(あちゃこ)秋に向かう躍動感。一段飛ばしもままならぬ身には羨ましい。

〇(ルカ)涼やかな軽やかさ。

○(瓦すずめ)勢いの良さが語のリズムにも意味にもあるとおもいます。

〇(まきえっと)秋なら二段飛ばしもできるかもしれない。

(選外)(道人)長い神社仏閣の石段なのでしょう。恐るおそる石段を見ながら降り立つと、ヤレヤレと同時に一気に視野が広がった。「秋」の止めが佳い。でも下りの二段飛ばしは危ない。  

 

雨降りに梨乗せてくる回覧板  アゼリア

◎(あちゃこ)さらりとした日常の切り取り方が上手いですね。私には無いこの感性大好き!

〇(宙虫)日常のひとこま。ほっとする人間関係がさやしくなる初秋ですね。

○ (多実生) 隣近所との良いお付き合いの風景です。

○(ちせい)季語は「梨」。贈答品と回覧板、同党と見ると俳諧味があると思いました。

 

流れ星降るや荒ぶる岩の山  藤三彩     

 

降るように歓喜の声と汗、涙  呆夢

○(ひなこ)これがオリンピックです。

 

降りることひとつおぼえて星月夜  ルカ

○(藤三彩)元都知事の両氏や政治家や経営者がその座を降りてもこの句のように悟ることはないだろうに。

〇(瞳人)静かなこころです。

〇(宙虫)挫折感も安ど感も一緒に。夜空に自分を投影してみます。

 

照り降りて霧立ちのぼる地球かな   道人

 

公僕の道を降りれば萩の道   宙虫

◯(あちゃこ)萩の道がいい。降りれば が気になります。降り で切れを入れた方がいいのでは?

○(道人)「公僕の道」の終着は「萩の道」なのでしょう。この取り合わせは味わい深い。

⚪(とっきー)公務員ですか?堅いお仕事を辞めて萩の道とは、優雅にということでしょうか。寂しい道ということでしょうか。どちらにしても静かですね。

 

トタン屋根しきりと木の実降らせけり  春生

◎(敏)どの屋根にも一様に木の実は降っているはず。なのにトタン屋根を叩く木の実がたてる音の旺盛なことよといったところでしょう。見事な「トタン屋根」の擬人化です。

 

海猫や降り立つ声の島に満ち  あちゃこ

 

絵日記の噴水降らす十二色    珠子

◎(瞳人)虹色の噴水ですね。

◎(幹夫)十二本の色鉛筆を駆使して画かれた夜の噴水の美しさが詠まれており共感です。

 

雨が降る後の晴れ空秋涼し  ちせい

○(幹夫)秋の涼しさが易しく詠まれており共感です。

 

蜩や潮の匂いの降車駅  まきえっと

○(アネモネ)いいなあ。いかにもの夕暮れの景です。

○(珠子)行ってみたいと思う景のひとつです。「思うだけ」でなく行動しないとね。 

○(瓦すずめ)音と匂いで情景がしっかりと浮かびます 

○(仙翁)いい情景ですね。音とにおいが混じりあって。

○ (多実生) 海を知らない私には潮の匂いはぴんときます。

○(ちせい)季語は「蜩」。海の匂い。降車駅のさまをいろいろと想像してみました。

⚪(とっきー)単線の各駅停車で海を見に行ったのでしょう。潮の匂いと蜩、侘しさの極地です。

(選外)(道人)蜩の鳴きしきる海辺の駅に降り立った作者の心境を勝手に想像しました。ちょっとした鬱屈があるのか、単なる帰省や旅なのか?などなど。

 

テーマ:飲み物

駆けつけてまず一杯の生ビール  まきえっと

○(アネモネ)そう。駈けつけの一杯は生ビールに限ります。

 

からころと昭和鳴らしてラムネ飲む   幹夫

◎ (多実生) ラムネ玉は今でもある様ですが昭和鳴らしてが上手い。

○(瓦すずめ)ラムネ玉の音を昭和の音と捉えたのですね。しみじみと納得しました。

(選外)(道人)「ラムネ」は昭和の代表銘柄です。「からころ」が巧い。 

 

ラムネ飲むぐらりと富士の揺らぎけり  春生

◎(泉)意味不明ですが、「富士が揺らぐ」とは、大きく出ましたね。

○(アネモネ)富士が揺らぐとはまた凄い。把握がダイナミックです。

○(ルカ)実感あります。ラムネ玉の向こうの富士山。

○(瓦すずめ)勢いよく背を逸らして飲んだのでしょうか。その勢いのよさを強く感じます

(選外)(道人)山の日の記念句ととりました。汗だくだくの富士山登山中に飲む「ラムネ」は格別旨いことでしょう。飲んだ後はつい気がゆるんで富士の大景が「ぐらり」      

 

飲みかけの盃ひとつ鬼貫忌  ルカ

○(珠子)冷酒でしょう。静かな独り飲み。  

 

遠花火バイクの動画を撮りにけり  ちせい

 

九月の水飲んでもはずせない首輪   宙虫

○(道人)愛犬との散歩なのでしょうか。9月の暑さは微妙。まだ解放感には浸れない。

 

月見酒飲んで宇宙と交信す  とっきー

◎(春生)雰囲気が良く出ている。「宇宙と交信す」が上手い。

◯(あちゃこ)めっきり月が綺麗になりましたね〜酒も美味しい季節ですね〜宇宙ではなくて誰かと交信するなら恋の歌⁉︎

○(泉)スケールが大きい俳句だと思います。

○(幹夫)面白い視点で詠まれていると思いました。

〇(まきえっと)聞こえますか?

 

幻影よ奇人健児次忌よい嚥下  吾郎

 

五番ホームミルクスタンド秋立てり  珠子

 

口に入る味はとうめい水合戦  瓦すずめ

 

山路来て焼酎グィイと梢から  瞳人     

 

飲み疲れ石に坐したり秋祭  ひなこ

○(泉)楽しい秋祭の様子が、良く表現されています。

○(仙翁)酔っぱらって盆踊りをして、疲れました。

○ (多実生) 石に座したりに田舎の風景が見えます。

○(ちせい)季語は「秋祭」。一服した人に目に映じた秋祭り。

 

喉鳴らし飲むにラムネの玉が邪魔   アネモネ

 

山の日や息飲むジェット上高地  藤三彩   

 

体操の着地決まってビール飲む  泉

○(幹夫)「息を飲む」転じて「一気飲み」と言ったところですね。

⚪(とっきー)着地を決めた人とビールを飲んだ人は明らかに別人。見ているだけの人は気楽で良いですねぇ。

 

梅雨開けて女性の活気ビアホール  多実生

 

喉仏ごくりとひかるラムネ玉  敏

 

病む父に一匙ずつの葡萄汁  アゼリア

○(ルカ)葡萄汁がよいです。

○(泉)「一匙ずつ」という言葉が、重病感を良く表現しています。

〇(瞳人)そうしたかった。

○(呆夢)懐かしい光景です。こんな風にやさしく接していればよかったかも…と40年も前のことを悔やんでいます。

○(春生)素直な詠み方がかえって優しさを伝えている。

 

墓掃除冷えたビールに生き返る  仙翁

〇(瞳人)ご無沙汰のしっぱなしで。

 

盆の夜の怪談ワイン注ぎ注がれ  道人

○(泉)「盆の夜」と「ワイン」との繫がりが、面白いと思います。

 

流星群しんと飲み込む日本海  あちゃこ

◎(とっきー)日本海が良い雰囲気を出しています。

◎(まきえっと)こうなんでしょうね。

◯(吾郎)日本海の流星群か…、そんな感じなんだろうなぁ

○(珠子)美しい日本。経験してみたい大景です。 

○(道人)「しんと飲み込む」で静謐な大景が見事に描かれている。 

〇(宙虫)昔から、満天の星は日本海側のほうがマッチするのかな?

○(呆夢)一度しか見たことがない日本海ですが、しんと飲み込むというのが、いいと思います。

○(敏)大海原に、音も無く吸い込まれていく流星の群れ。雄大なドキュメント映画のようです。

○(ひなこ)雄大な景。

(選外)四季を問わずに来る流星群だが・・・今夏の「ペルセウス座流星群」の動画を観

た。なんと!おたまじゃくしのような火球が燃え尽きる。

 

冷し酒女のうっぷん少し飛び  呆夢

○(アネモネ)いやまだまだ。最初は少しでも徐々に虎!

○(ひなこ)飛びが良いです。この感じよくわかります。

(選外)(道人)俳諧味あり。ただ酔った「女のうっぷん」は怖い。ましてや冷酒の酔いは!

 

詠題

闊達な友の訃向日葵立ちつくす  アゼリア

〇(瞳人)なるべくなら、そういうこと少ない方が。

○(道人)友への追悼句。悲しみの中にも何とも言えない明るさが佳い。 

○(ひなこ)意外と丈夫な人の方が先に逝ったりします。 

 

蓮の花モノクロの寺に色ありき  呆夢

 

流灯の瞬き宿り澪つくし  敏

◯(あちゃこ)川辺に佇む姿や思いも見えて来ます。擬人化された流灯が効いています。

 

吠えぬ犬曳いて八月十五日  珠子

◎(ちせい)季語は「八月十五日」。敗戦日の犬が象徴的に吠えない。元々吠えない犬であればなおさら印象が強いと思います。

◎(ひなこ)犬も項垂れているような。

◯(あちゃこ)年を重ねてきて、終戦の日が重くなりました。吠えぬ犬に様々なイメージが広がります。

○(ルカ)終戦日でなく、八月十五日にしたのがよい。

○(幹夫)「曳いて」だから、老齢の大型犬なのでしょう。吠えぬ犬は貫禄なのか無能なのか?様々な思いの終戦記念日です。

○(瓦すずめ)いつも元気な犬がほえない、そんな終戦日。犬もなにごとかをかんじているのでしょうか。

〇(宙虫)物言わぬこと。これから日本はどこへいくのだろう?

○(呆夢)暑いのか疲れているのかわかりませんが、歩かぬ犬は大変ですね。八月十五日が効いていますね。

〇(まきえっと)いろいろ考えさせられる句です。

 

風鈴が青くて迷う猫の路地  宙虫

○(道人)淡い月の光に照らされ青い影をひいて鳴っている風鈴。猫と風鈴が一体化した幻想的な句です。   

 

浮気するおのこを切断したき夏  瓦すずめ

〇(瞳人)一刀両断、文句は言へず、です。

○(仙翁)とにかく怖い。

 

病葉のすうっと落ちる潔さ  仙翁

◯(吾郎)そうやって消えていきたいもの…だがそうもいかぬのだ、これが

○ (多実生) 葉の落ちる時期でもないのに落ちる病葉、一瞬を捕らえています。

○(春生)下五「潔さ」になんとなく決意が込められている。  

 

土用丑の日つぼ押し棒をつぼに当て   アネモネ

(選外)鰻の高騰、だからと云って中国産はどうも。自手で簡易に行う整体は筋肉断絶の怖れあり。健康体をつくり維持するのはなかなか。

 

底紅や暮れて一と日を振返る   幹夫

(選外)(道人)黄昏時のしみじみとしたひと時。「一と日」と「ひと日」の表記の差の読み方は難しい。   

 

朝市の声無き売り子夏の果て  あちゃこ

 

制服に深き皺あり敗戦日  ルカ

◎(瓦すずめ)お仕事の制服だとおもいました。長年お勤めし続けていたのではないでしょうか。自分が今まで元気でしごとをしてきたことへの感謝があるようにおもいます。

○(敏)今着しているものの皺から、かつての日を思い起こしているのかも知れませんね。

 

助詞としてわとは和と覇を刺し鮑  藤三彩

 

出張り来しこの荷鬼の子仕切場で  吾郎

◎(道人)廃品に喩えられた蓑虫であろうか。切なくも奥深い回文句。 

〇(宙虫)開けてびっくり玉手箱。取扱注意。

⚪(とっきー)鬼の子は蓑虫のこと、秋の季語ですね。そして回文の不思議な世界へありがとう。

 

柔道や汗と安堵の金メダル  泉

○(藤三彩)リオも暑いだろうがこの夏は日本もあつい。深夜放送にいつまで耐えられ

るだろうか。卓球の愛ちゃんの涙には思いが伝わった。

(選外)(幹夫)リオ五輪、メダルラッシュ・・・柔道日本復活の兆候ですね。

 

刺さりたる硝子の記憶原爆忌  ひなこ

○(幹夫)原爆の生々しさが実際的に詠まれており共感です。

○(敏)被災の大きさに関わらず実感した、同質の「刺すような痛み」の記憶と思われます。

○(春生)原爆の悲惨さはいつまでも忘れられない。

⚪(とっきー)硝子の破片が自分の胸に刺さったような痛みを感じる句です。

 

激痩せを少し戻して夏の萩  多実生

◯(吾郎)よかったよかった

○(藤三彩)夏の暑い時ほどホルモン焼きなど食べてスタミナを付け、秋からの動きに備えましょう。

 

夏の蝶栄養たっぷりであるらしい  ちせい

◎(藤三彩)揚羽蝶がしきりと柑橘類の葉を探している。元気なお子を産み落としてくれよと枝を伐採しないで残して置く。

 

遠雷や髪やわらかき児の欠伸  とっきー

◎(仙翁)とても穏やかな雰囲気で、気持ちの良さそうな、いい感じです。

○(ルカ)光景が浮かびます。

○(呆夢)一緒にいる人の目線の優しさがよく出ていますね。

○(ひなこ)これからお昼寝でしょうか。幸せなひととき。

○(ちせい)季語は「遠雷」。柔らかな韻律を感じました。児の欠伸が天にも届くほどです。

〇(まきえっと)懐かしい。だんだん髪がパサパサしてきました。

 

もの思いに耽るひぐらし午後三時  道人

 

ビル街に耳を澄ませば虫の声  春生

○  (多実生) 昨晩は我が家の庭から初鳴き。ビル街でも聞ける季節も近い。

 

蜩の声の先端暮れやすし  まきえっと

◎(吾郎)先端という見立てやよし、好きよ

◎(ルカ)繊細なとらえ方が絶妙です。

◎(珠子)酷暑ではありますが、「暮れやすし」の秋は着実に近づいています。我が家の庭では三年連続同じ日(8月12日)に鉦叩が鳴き始めました。「声の先端」に惹かれました。

◎(宙虫)ありがちな句でもあるけれど、先端がいい。しっとりとした空気がうまく表現されている。

○(敏)「蜩の声の先端」という繊細な把握に、作者のナイーブさが見えます。

○(春生)「声の先端」とは?よく わかりませんでしたが、雰囲気のある句で魅力的でした。  

 

おん疲れいよいよ著し今朝の秋  瞳人 

○(珠子)今だからわかる句ではありますが、こんなことも俳句にできるのだと思いました。 


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1 コメント

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ご苦労様でした ()
2016-08-25 22:38:01
まきえっとさん、句会当番のお役目ご苦労様でした。今後とも、よろしくお願いいたします。

オリンピックも終りましたが、広島は暑さが続いています。今年は特別に暑いような気がしています。来週あたりから、少しは涼しくなると良いのですが・・・。
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