こんばんは。
大変お待たせいたしました。
兼題:来
数多来てゴミを遮二無二寒鴉 敏
○(幹夫)その通り!
節分や恵方巻売るノルマ来て 泉
○(幹夫)ですよね~。
○(アネモネ)それは大変。
マドンナがつぶやき風の来るミモザ 宙虫
◯(アゼリア)マドンナの威力凄いですね。ミモザの黄色が目に浮かびます。
春めくや叉焼厚き来々軒 餡子
〇(藤三彩)「来々軒」は「中華そば」が似合う昔の名前で出ています。
春よ来いプライド高きカフェの猫 あちゃこ
〇(珠子)かなり老齢の雌の猫でしょうか。寝そべったまま上目遣いに客の品定めなんかしちゃって。いえいえ単に暖かくなるまでは動きたくないのです。
〇(宙虫)もともと猫はプライドの高いペット。カフェという洋風な店でなおさら気位が高そうに見える。
○(ちせい)季語は「春」。三毛猫がトラネコか、猫種がどうでもよくなる様な「ブライド」と言う語。
砂子東風来るかと軽くチコ五歳 吾郎
◯(道人)砂子(いさご)混じりの東風とはどんな風でしょうか?と問えばチコちゃんから叱られそうな俳味溢れる回文句です。
梅匂ふ定刻に来る送迎バス アゼリア
○(泉)日本人は几帳面です。もう少し梅を見ていたい?
○(餡子)これは施設のデイケアの送迎ととりました。近所のお宅にも、週に3回きます。そのうちお世話になるのかなあと思いつつお見送りしています。
来場で愛の日のチョコ貰ひけり ちせい
春の雪深しふるさと出て以来 珠子
○(泉)雪国の厳しい冬は、太平洋側の地域では想像も出来ません。
○(吾郎)四季のある日本、様々な光景で思い出すものです、故郷って。
蕾和へ北の朋来る菜の花忌 瞳人
○(敏)2月12日でしたね、司馬遼太郎忌は。この頃拙宅でも菜の花の和え物が食卓にのぼります。「北の朋」がどういった関係か判り難いのですが、気分良く拝見しました。
春来る粒こしよもぎ抹茶あん ルカ
野施行の籾に雀の来ては去ぬ アネモネ
〇(珠子) 野施行という季語は使えないでいますが、鵯に撃退されてもめげずにやって来る雀・目白・四十雀・キジバトたちのために餌を撒いています。どの鳥たちもまさに「来ては去ぬ」。上手に冬を越してほしいものです。
〇(多実生)冬は野生の生き物にとって、厳しく野施業の籾にほのぼのとした光景が見えます。
(選外)(道人)「野施行」は初めて知りました。今の時代なら鳥、とりわけ雀への施しに納得です。
寒波来る背筋にささやく改憲論 藤三彩
○(餡子)これはぞーっとします。防衛装備費も、上限が撤廃されるようです。ひたひたと何かが迫って来る気配がしますが・・・。
◯(アゼリア)悪魔のささやきー言い過ぎかしらーに背筋が寒くなりそうです。
(選外)(道人)徐々に忍び寄ってますね。もし国民投票になったら是非反対投票しましょう!
遠来の燕ならば軒貸さん 敏
○(ちせい)季語は「燕」。この句の場合は主観が淡いですね。既にあるもので済ませるが自分の意志は、はっきり示す。
宿下駄の出船入船春来る 幹夫
〇(多実生)港の宿では船を見たい欲望に駆り立てられます。宿下駄がいいですね。
〇(瞳人)春、きましたね、船宿に、小兵衛とお春の姿も、もうすぐ
〇(宙虫)だんだんこういう宿も少なくなってビジネスホテル形式のホテルに泊まることが多くなってきた。ノスタルジックさに惹かれる。
○(あちゃこ)春を迎えた喜びを下駄の音や動きで表現していて秀悦。
○(まきえっと)漁師さんの寄港でしょうか?風情がありますね。
立春の「来夢来人」の閉店す まきえっと
〇(藤三彩)「ライムライト」あのチャップリンの・・珈琲店も大手が占めてしまう。
霾や風の声なる「夜来香」 道人
◎(あちゃこ)この場合の夜来香は花ではなく歌。香りも歌もステキです。共感。
テーマ:青
屋根覆うブルーシートを覆う雪 餡子
○(泉)災難の上に、再び雪が降る。自然は時に、厳しい一面を見せます。
夜の東風場末の青い布を買う 宙虫
わがままに程があるんだ三寒四温 まきえっと
遠く和歌桑の芽の湧く乾く音 吾郎
◎(道人)桑には和歌が似合います。カ行の音韻で醸し出す懐かしい響きも素敵です。
◯(アゼリア)最初は回文と気付きませんでした。春らしい素敵な句と思いました。
◎(敏)桑の芽吹きの音って聞いたことは無いのですが、回文ながら一句の醸し出すノスタルジックな世界に魅かれました。「桑の芽」で青(緑)を想わせたところ、ベテランならではですね。
○(幹夫)いいリズム!
○(まきえっと)素敵な調べです。春っぽい感じです。
芽柳や祠に緑青噴く賽銭 珠子
○(吾郎)10円玉、しかもギザ10とみた。
◎(アゼリア)緑青噴く賽銭ーリアルで上手と感心致しました。
◯(道人)芽柳と緑青の取合せが味わい深い。古い十円玉の音も聞こえて来そう。
◎ (ルカ)景が鮮やかに遠景きんけいと浮かびます。巧い句です。
◎(宙虫)十円玉なのかな?昔は本当によく見た緑青。最近はなかなか見ない。随分前に賽銭箱に投げ込まれたものなのだろう。芽柳がいい雰囲気。時間を感じる。
○(ちせい)季語は「芽柳」。ああ、持って行かれない銭。無主の祠であろうか。
◎(まきえっと)春の綺麗な景ですね。のんびりとしています。電子マネーになったらこういうのわからないだろうな。
空色の原稿用紙魚は氷に アネモネ
〇(珠子)おしゃれな空色の原稿用紙と、意外な季語との取り合わせがすてき。
◎(餡子)春が来たなあという明るい気分になる句です。
◯ (ルカ)取り合わせがいですね、
○(まきえっと)空色の原稿用紙。何を書こう。
こめかみに忿怒の三筋二・二六 敏
○(泉)二・二六事件。明治維新以来の膨張が、遂に破裂しました。
◯(アゼリア)青年将校の青筋が見えます。
◎(多実生)二二六事件は清張の昭和史発掘を、昨年読み返し考えさせられたばかりでした。
群れず頼らず影連れ試歩の青き踏む アゼリア
◯(道人)余り無理をなさらず、時には頼ることも必要かと。
○(アネモネ) 最終的には自分の意志力ということでしょうか。それもまた寂しい。
〇(宙虫)気概。空回りしないことを祈る。まわりは案外頼ってくれればいいのにと思ってるかも。
○(あちゃこ)大変なリハビリの日々を想像しました。力強い姿が見えます。
重税や申告終えて冴返る 泉
〇(藤三彩)納税額を見てこころが青くなる。秋には消費税増税だし・・共感句。
○(幹夫)青色申告ですね。更にはもうじき消費税増税!
草青む吟行の気が湧き起こり ちせい
〇(瞳人)長岡京址に行きましたが、いまだ、枯芝にて
足の向く村が中吉青き踏む 幹夫
○(餡子)足の向くまま、気の向くまま、いいですね。中吉というのが身の丈に合っていていい。
○(吾郎)気分は中吉、そんなもんです日本人はだいたい。
〇(多実生)郷愁の村は中吉が的を得ていると思いました。
◯ (ルカ)中吉のほどさ加減がいですね。
○(まきえっと)中吉っていうホッと感。
梅つぼみ制服を着る青の刻 あちゃこ
白梅の三つ四つ 四百蕾かな 瞳人
◯(道人)一文字ブランクで、咲き始め頃の梅林の広がりが伝わって来る。
抜き上げて青首大根日に晒す 敏
○(吾郎)抜き上げて~が非常に躍動的で快感。
◯(道人)青首大根の存在感に圧倒されました。
◎(瞳人)おお、この白さ、太さ?
○(ちせい)季語は「大根」。日に晒す喜びは大根にも人間にもあると思いました。
○(あちゃこ)最近ではあまり見られなくなった大根干し。寒天の明るさも見えてきます。
北斎の青溶けてゆく春の空 ルカ
◎(珠子)あの何とも言えない北斎の青・あの青が溶けて春の空とは。恐れ入りました。
◎(吾郎)「甲州石班澤」とかは最初切手で知った。色付きだったけど。暖かくなってくれ早く(笑)
◯(アゼリア)明日しみじみと青空を見上げます。
○(敏)北斎最晩年の作で、竜が天に昇る図がありましたね。あの図柄に「青」が使われていたかどうか思い出せないのですが、他の作品としても、さもありなんと思いました。
○(アネモネ)あの孤独とも思える独特な青が春の空に溶けてゆく・・・イメージのふくらみに得心です。
〇(まきえっと)北斎の青溶けてゆくがいいですね。
目借時茹で上げにイタパセリ 藤三彩
春浅し猫の青春写真展 道人
雑詠
ギブスしてバレンタインの日を遠く アネモネ
〇(藤三彩)トホホな養生に同情いたします。
紅梅や握り拳の力抜け まきえっと
だだっ広い生家の間取り猫の恋 珠子
○(餡子)代々続いた生家なんですね。私も所謂田舎としていた本家(だだっ広かった。)は、もう代が変わって農家も止め、洋風の家になってしまいました。
〇(多実生)私の生家そのもので、猫の出入りは全く自由でした。
○ (ルカ)かつては猫も駆け回っていたことでしょう。
〇(宙虫)昔の家はこうだった。でも、最近の40代や30代の人達の生家って個室があったりして広くないかもですね。間延びしたような恋猫がいそう。
鳥たちにだまされ町は東風のなか 宙虫
〇(珠子)東風が吹いたから鳥が来たのではなく、鳥の囀りに騙されて東風が吹いたということでしょうか。それもよかろうもん。
先ず香り賞でて桜湯いただきぬ 餡子
○(ちせい)季語は「桜湯」。「先ず香り」と言う確かな把握。賞でた後の主体的な行為はむしろ香りに主役を譲って居る。
ゆく雁や我は小さな家の中 泉
〇(多実生)大空を行く雁と小さな家との対比が面白い。
〇(瞳人)燕雀、いずくんぞ、鴻鵠の志を知らんや、ですね
黄水仙励まし合って白血病 藤三彩
合掌し送る出棺春の雲 アゼリア
食べて居る途中で倒され春寒し ちせい
戦力外通知ヲ受クル蜆汁 瞳人
◎(泉)いわゆるリストラですか。それでも何とか生きてゆく。
○(餡子)これはきついですね。テストを受け直して、また、どこかで野球がやれるといいですね。蜆汁に涙が落ちたかも。
○(吾郎)なんか戦時中の手紙のよう。蜆汁がちょっとホットさせてくれる。肝臓は労らにや。
○(敏)漢字と片仮名から、戦時中の兵隊検査を想起しました。おそらく胸の病? に蜆はよろしいのでしょう。
◎(幹夫)球春到来間近。カタカナ表記は電文か?啜る蜆汁の季語がいいですね。
○(アネモネ)戦力外通告。されたひとの心を思うと遣る瀬無くなく切なくなります。
○(あちゃこ)切ない、辛い知らせ。春よ来いの思いの蜆汁。負けないで!
地鎮祭近しそよぎぬ水仙花 敏
凍れるや路上演歌の九段坂 あちゃこ
〇(瞳人)東京大衆歌謡楽団みたい、か
風二月父の返納免許証 ルカ
○(泉)これからは、「返納免許証」が益々増えることでしょう。
〇(珠子)私も40年間のペーパードライバーを今年中に返納予定です。「風二月」が効いています。
〇(藤三彩)近頃の車の電子化について行けないお年寄りには反って危ない。返納は正解。
〇(宙虫)やがて、自分もこんな風な目で見られるのかな?
木の実植う背に白濤の日本海 幹夫
○(敏)近景から遠景、小から大への展開が素晴しく、すがすがしさを感じました。
◯(ルカ)日本海が効いてます。
◎(アネモネ)なんの木の実でしょう。鳥海山のブナの林を連想しました。
(選外)(藤三彩)多分、鳥取砂丘の防風柵を作ったときのお話しにしたいのではないか。出雲の築地松(ついじまつ)ともちがう。
目地貼るはいらない慣い春初め 吾郎
頷けば薄氷仰ぎ見れば雲 敏
○(幹夫)景が見える。
○(アネモネ)志水辰夫のハードボイルド小説の一節のようで素敵です。
◎(ちせい)季語は「薄氷」。巧みな構図のような、当たり前の事実を巧みに詠んだ様なそんな印象を持ちました。
○(あちゃこ)心の動きがさらりと表現されている。表情までみえます。言葉の使い方が見事です。
〇(まきえっと)確かにそうです。でも心に訴えてきます。
蒙古斑残る少年菜の花忌 道人
◎(藤三彩)『菜の花の沖』司馬遼太郎(全六巻)を読み直そうかという気にさせる。
○(ルカ)司馬遼太郎といえばモンゴル。つき過ぎでも、懐かしくこの作家を思い出したくなる今日この頃。
小麦句会も随分と長くなりました。幹事のお二人には、本当にお世話になり、感謝いたします。
あまり無理をされない方が良いかと思いますが・・・?
さて、広島はやっと春らしくなって来ました。冬とは言え、当地では余り寒さも無く、瀬戸内の人たちは恵まれている、とつくづく思います。
宙虫さん、まきえっとさん、お世話様です。これからもよろしくお願いします。