・旅人の話
ヨーロッパのユース、或いはその他の所で、各国の多くの旅人と出逢って来た。一番見かけたのがアメリカ人、その次にカナダ人、イギリス人、オーストラリア人と、如何してか英語を母国語としている国が目立った。そして次にドイツ人、フランス人、オランダ人、北欧人でした。黒人に逢ったのは、スウェーデンのユースの時に1回だけであった。南米人、ソ連及び社会主義諸国の人、そしてアジア人の旅人とは、一度も会わなかった。
『旅をする』と言う事は、経済的裏付けがないと出来ないので、目立ったのは先進諸国、所謂アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアを含む西ヨーロッパの人々であった。そして、後進国の人達は、経済的、政治的に旅が出来ない現状であった。そう言う意味に於いて、日本人に割りと多く出逢ったのは、後進国ではなくなり、先進国の仲間入りになったと捉えるべきなのか。一般勤労者の経済的現状を見ると、日本が先進国の仲間入りになったかは、疑問であった。日本の労働賃金の低さに加えて、円の安さ、持ち出しドルや円の制限、海外渡航の制限等、海外旅行に関してだけでもその環境は、必ずしも先進国と言えるものではなかった。
では、何故先進国でないのに、多くの日本人の旅人と出逢ったのか。これは、『外の世界を見てみよう』と言う維新、富国強兵社会、日中・太平洋戦争、そして敗戦を経てその後の政治・経済が多少安定して来たそのプロセスに於ける日本人の開かれたエネルギーで、その先駆者が小田実氏やミッキー安川氏であり、その影響を受けたのが我々であった。〝一部を除いて〟(学生運動で大学が休講になったノンポリやブルジュア学生)、若者達は金銭的に余裕があって来ているのではなかった。話を聞くと皆それなりに苦労して、覚悟して来ているのであった。又、旅費を稼ぐ為にコペンハーゲンやアムステルダムで会った若者は、片道分の旅費しか持って来ず、こちらでなんとかして旅費を作り、各国を回ろう、と言う決意した気持で遣って来たのだ。
若者達は、仕事を辞めても、学校を辞めても、或は休学しても、金が無くとも、こちらで何でも良いから働いてでも、「外の世界を見てみたい、体験したい」と言う、私と同じ一種の憧れ・夢があったのだと思うのだ。従って日本は、先進国でないがこの様な理由で、4番目位に多くの日本人の旅人と出逢った。
1人で各国を旅する日本人には、私と同じ様なので親近感があった。その次に親近感があったのは、カナダ人でした。彼等は正直でおごりがなく、逆に言えば謙虚さがあり、何となく日本人の意識に一番近かった。だから、私はカナダ人が好きだ。そのカナダ人と今日、観光へ行って来た。
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