高校三年生の自分がHR中に回ってきた紙をじっと見つめている。
「将来の夢…か。」
卒業文集に載せる一言欄のテーマが将来の夢。うちの高校ではそんなに本格的な文集はないのだが、ちょっとしたものがある。
そもそも進路は決まっている。うちの高校では進路希望調査に必ず大学進学と書く。それは暗黙の了解なのだ。できるだけ偏差値の高い大学に行く。それが当然だと教えられていた。
そんな集団に将来の夢を聞いても答えはぱっとしないに決まっている。プロ野球選手だとか、宇宙飛行士などバラエティーに富んだ解答は期待できない。
溜め息をつきながら、教室の真ん中くらいの席から遠めの校庭を細めで見つめた。まだ夏を過ぎたばかり。そう、応援団員と野球部員の夏は終わりたて、いきなり受験と言われても、坊主頭がすぐに生えてこないように切り替えられない。
俺のやりたいことってなんだ…?
ふと高校三年生の俺は先日の文化祭を思い出した。まばゆいスポットライト。定員オーバーの体育館。みんなが俺の名前を叫んでいる。求められたステージに涙をこらえながら進んでいく。お辞儀をするとカラーテープが四方から飛んでくる。
思いだし泣きを何度したことか。俺のすべてだった。今思えばキャパを完全に超えている。俺レベルの人間なんて、一般的な部活で言えばたまに面白いことをいって2、3人を笑わせることがいっぱいいっぱいの平部員だろう。
そんな俺が1000人相手に演技を行う。そんな俺が埼玉中の応援団長と舞台裏で握手をかわす。大集団の涙の中心に俺がいる。
「早く回せよ、もうチャイム鳴っちゃうじゃん。」
前の席のやつの机とんとん攻撃で我に返った。そうか、あの時が俺のクライマックス。あれが人生の頂点。今の俺はドラクエでいうスライムベスくらいなもんだ。
しかし、
そう、
胸騒ぎは抑えられない
俺はもう一度あのスポットを浴びたい。
もう一度何かを超える感覚を味わいたい。
生きているって思いたい。
惰性でいきたくない。
みんなの喜びの中心でいたい。
みんなをもっと笑わせたい。
ほんの数秒の脳内思考だったが、そのとき俺の人生は決まった。
前のやつにささっと渡した紙にはこう書いた。
「将来の夢、応援団長」
「将来の夢…か。」
卒業文集に載せる一言欄のテーマが将来の夢。うちの高校ではそんなに本格的な文集はないのだが、ちょっとしたものがある。
そもそも進路は決まっている。うちの高校では進路希望調査に必ず大学進学と書く。それは暗黙の了解なのだ。できるだけ偏差値の高い大学に行く。それが当然だと教えられていた。
そんな集団に将来の夢を聞いても答えはぱっとしないに決まっている。プロ野球選手だとか、宇宙飛行士などバラエティーに富んだ解答は期待できない。
溜め息をつきながら、教室の真ん中くらいの席から遠めの校庭を細めで見つめた。まだ夏を過ぎたばかり。そう、応援団員と野球部員の夏は終わりたて、いきなり受験と言われても、坊主頭がすぐに生えてこないように切り替えられない。
俺のやりたいことってなんだ…?
ふと高校三年生の俺は先日の文化祭を思い出した。まばゆいスポットライト。定員オーバーの体育館。みんなが俺の名前を叫んでいる。求められたステージに涙をこらえながら進んでいく。お辞儀をするとカラーテープが四方から飛んでくる。
思いだし泣きを何度したことか。俺のすべてだった。今思えばキャパを完全に超えている。俺レベルの人間なんて、一般的な部活で言えばたまに面白いことをいって2、3人を笑わせることがいっぱいいっぱいの平部員だろう。
そんな俺が1000人相手に演技を行う。そんな俺が埼玉中の応援団長と舞台裏で握手をかわす。大集団の涙の中心に俺がいる。
「早く回せよ、もうチャイム鳴っちゃうじゃん。」
前の席のやつの机とんとん攻撃で我に返った。そうか、あの時が俺のクライマックス。あれが人生の頂点。今の俺はドラクエでいうスライムベスくらいなもんだ。
しかし、
そう、
胸騒ぎは抑えられない
俺はもう一度あのスポットを浴びたい。
もう一度何かを超える感覚を味わいたい。
生きているって思いたい。
惰性でいきたくない。
みんなの喜びの中心でいたい。
みんなをもっと笑わせたい。
ほんの数秒の脳内思考だったが、そのとき俺の人生は決まった。
前のやつにささっと渡した紙にはこう書いた。
「将来の夢、応援団長」
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