南房総館山・なぎさの自然詩

春の海岸と布袋石


春らしい陽気になると決まって強風が吹く南房総ですが、例年に無く強風の日が多い気がします。
しかも今年は北風の強い日も多くて、風の穏やかな日を数える方が早い感じです。
そんな荒れ模様の南房総の海岸でも気温が上がるにつれて、海浜植物もどんどん花開き砂丘が色鮮やかになってきました。
風が強いと海岸に行く頻度が下がってしまって、久しぶりに海岸を歩くとミヤコグサが満開になっていて驚きました。


更にトベラの花も咲き、甲虫が花の蜜を吸っていました。
顔を近づけると良い香り。
この香りが大好きで、毎年楽しみにしています。


ハマエンドウもたくさんの花が咲いて花畑のようです。
どこか遠くへ行かなくても身近な場所で時間を気にせずに花を眺め、誰もいない海岸でその空間を独り占め出来るなんて、かなり恵まれている環境です。


春に吹く強風は様々な生き物を運んできます。
紫色のアサガオガイは泡のような浮袋で海面を漂いながら暮らす貝ですが、黒潮に乗り房総半島近くまで来てから強風で館山湾内に運ばれたようです。
このアサガオガイに付着していたエボシガイは、iNaturalistで調べたところルリエボシというフジツボの仲間だと分かりました。
アサガオガイとルリエボシは生きている状態で砂浜に漂着していたので、写真を撮った後リリースしました。


同じ海岸の波打ち際近くにあった布袋石。
白い石灰が付いていました。


死んでしまったイルカの骨はほとんどが分解されて無くなってしまうのに、耳小骨やアブミ骨の形が残るのは音を伝達する為に密度が高くなっているからだそうです。


そして海岸には冬季に別の場所で過ごしていたシロチドリが繁殖の為にやって来ました。


シロチドリは砂浜のくぼみや流木や海藻などの漂着物の近くが安心するようです。
海の上を飛ぶ姿は悠々として見えますが、臆病な性格っぽいです。

春の海岸にはカモメやカモ等の渡り鳥達が無く静かな雰囲気を感じていました。
普段見かけるアオサギやコサギ、イソシギやイソヒヨドリも繁殖シーズンとなり、いつもの場所からいなくなりました。
それと入れ替わるようにシロチドリやコチドリが海岸に現れて子育て準備に忙しそうにしています。
いつもと同じ海岸のように見えて、そこに暮らす生き物達は様変わりしていて、すっかり季節は夏の気配がしています。






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