南房総館山・なぎさの自然詩

若葉色の館山湾で微睡むカモメ


前日からの暴風雨が過ぎて穏やかな館山湾です。
潮の引いた砂浜を歩くとキラキラ光る海と青い空がとても綺麗でした。


砂丘にはハマヒルガオの若葉がいきいきしています。


コウボウムギの花が咲き始めました。
コウボウムギは海浜植物の中でも花の咲く時期が早く、春を感じる植物です。
茶色く枯れた葉は去年のもので、隣には若葉も出てきています。
少しずつ砂丘が海浜植物の緑で覆われ始めました。


春の訪れを感じる海岸ですが、暖かくなると海岸整備が活発になってきます。


重機で砂浜を平らに慣らし、漂着物を全て片付け、流木などはその場で野焼きし、何も無い海岸に変わっていきます。


重機の跡の残る海岸でしたが、潮の引いた広い砂浜ではカモメ達が休憩中でした。


嵐の様な天候を一晩中耐えていたカモメ達の大変さは計り知れません。
カモメの群れを双眼鏡で見ていたら幼鳥が1羽、片脚を上げているのが分かりました。
脚で立つことが辛いようで直ぐに砂浜で寝そべりました。
これは恐らく釣り糸が脚に絡まってしまっているのだと思われます。
細くて強い釣り糸はカモメの脚を壊死させていきます。
このカモメの幼鳥が、この先も無事に生き続けられるのかと考えると涙が出そうになりました。
温かな日差しの中で気持ちよさそうに寝ていたので、邪魔しないようにそっとしておこうと思ったら、親子がそこへ近づいて来ました。
何かを投げる素振りが見えたので、カモメが逃げるから近づかないようにお願いしてそこを離れました。


その後あのカモメの群れは全て飛び立ち、沖へ消えていきました。


カモメのいなくなった後には重機の跡の残る何も無い海岸…。
海岸を利用する生き物にとって、人間とはどう見えているのか、考えさせられる出来事でした。



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