念坊ひとり旅

　　　　一行詩
裏山に恋が落ちてゐし残り雪
春山路ありあふ星の君がこそ

　　　　川　柳
意に背き反転こうかい新紙幣

念坊ひとり旅

　　　　一行詩
春乱逆冬へ戻れば夏へ行き
一ト雨にライラック気を引きつけん

　　　　川　柳
人災にノートルダム寺院破戒も

念坊ひとり旅

　　　　一行詩
雪囲の解かれて耐えた枝弾む
なにもかもやはらかなりし春のひよ

　　　　川　柳
内閣のブラックホール未公開

念坊ひとり旅

　　　　一行詩
春雨が一山をほぼ浸透す
春の雨樹皮を幾条にながれゆく

　　　　川　柳
臭いもの早く片付け風注意

念坊ひとり旅

　　　　一行詩
涅槃雪余命の一ト日代えがたく
春の雨いけるものゐて土ゆるぶ

　　　　川　柳
タンス預金忘れていたと婆の寝言