ロシア日記

~ペルミより愛を込めて~
日本語教師と雪のダローガと足跡

~サンクトペテルブルグ~
雪の上の足跡

ロシアで読む太宰治

2013年12月12日 | 日記
 外は猛吹雪です。
気温はマイナス20度を超えてしまいました。
私も風邪っぴきの大病人になり何日も仕事を休んでしまいました。

 振り返れば、今年ももう年末、世間では忙しい師走なのですね。
ロシアの片田舎のペルミにいると日本の師走のような慌ただしさは一切感じず、少し物足りない気もします。

 私は、あの寒いけど熱燗が美味しい世紀末みたいな賑わった雰囲気が好きなので、懐かしく思い出します。

日本酒、熱燗、おでん、忘年会、目の覚めるような街角のイルミネーション、忙しく歩く人々の足並み

 太宰治の小説で、新橋の屋台で男が美味しそうに海老の鬼がら焼きを食べる描写を思い出し、どうしてもあれが読みたくてあの空気感を味わいたくて題名を忘れた文章を必死になって探したら出てきました。『食通』でした。

 いつか新橋のおでんやで、若い男が、海老の鬼がら焼きを、箸で器用に剥むいて、おかみに褒ほめられ、てれるどころかいよいよ澄まして、またもや一つ、つるりとむいたが、実にみっともなかった。非常に馬鹿に見えた。手で剥いたって、いいじゃないか。ロシヤでは、ライスカレーでも、手で食べるそうだ。

 太宰はチェーホフが好きでした。だから、これもロシアのことで締めたのかな。