本日のバレエ鑑賞は、かの有名なプーシキンの『バフチサライの泉』の詩から作られたバレエです。
バレエ鑑賞のいいところとポイントは、前もって物語のあらすじを勉強してから行くことです。そうでないと私のような素人には美しい人々がぴょんぴょん飛んだりクルクル回ったりしているだけの鑑賞で終わってしまうからです。せっかく観に行くのならちゃんと物語を把握して、今は「ヒロインが悲しんでいるところだな」とか「王子が求愛しているところだな」とかそういうのをわかって見たほうが数倍楽しめると思うのです。
そしてバレエ鑑賞のいいところは、その国の言葉がわからなくても台詞がないのでロシア人の観客と対等な気持ちで見れていると思えることです。他の国に住むということは、言葉が通じないで心の奥底まで悔しい思いをして時に苦しむことが多々あるからです。
ということで今回も『バフチサライの泉』を見るにあたり、ウィキペディアでお勉強してから行きました。
ポーランド貴族の娘、マリア・ポトツキーは、愛する婚約者もいてとても幸せに暮らしていたが、そこへギレイ率いるタタール軍が侵入し皆殺しにされる。マリアの美しさに打たれたギレイは彼女を宮殿に伴う。それまでギレイから一番愛されていた寵姫ザレマは怒り狂う。
バフチサライの宮殿で暮すようなった後もマリアは故郷を偲び、ギレイに心を開くことはなかった。マリアへの嫉妬で激情に駆られたザレマはマリアを刺し殺してしまう。怒りのあまりギレイはザレマを処刑する。
バフチサライの泉に傍らで物思いにふける彼の脳裏からマリアやザレマの面影が消えることはない。
原書はこれです。
Гирей сидел потупя взор;
Янтарь в устах его дымился;
Безмолвно раболепный двор
Вкруг хана грозного теснился.
Всё было тихо во дворце;
Благоговея, все читали
Приметы гнева и печали
На сумрачном его лице.
Но повелитель горделивый
Махнул рукой нетерпеливой:
И все, склонившись, идут вон.
Один в своих чертогах он;
Свободней грудь его вздыхает,
Живее строгое чело
Волненье сердца выражает.
Так бурны тучи отражает
Залива зыбкое стекло.
(以下続く)
うつろなる目付のギレイは坐しけり
琥珀の煙管をくゆらせつつ。
恐れ多き汗(カン)の傍らに
集う無言の従僕たち。
音ひとつなき宮殿にて
みな仰ぎてこそ知れ
彼の人の陰鬱たる顔に出づるは
怒りと悲しみならんと。
されども君主は誇り高し
荒々しく手を振るや
一同頭を垂れて立ち去りぬ。
大広間にただひとり
ほっと一息つくままに
なおも険しきその額や
騒ぐる心を示すらん。
うす暗き嵐の雨雲の
入り江の水面に映ゆるごとく。
途中、踊り子の一人に日本人らしきバレエダンサーが出てきました。遠くからだったのでよくは見えませんでしたが、黒い髪と小柄な体系が日本人を思わせました。ここペルミはバレエの水準が高くバレエ学校にも日本人の留学生がいます。だからそこの卒業生かもしれません。
バレエの一番いいところは、本物の非日常を味わえるところだと思います。この上なく優雅だからです。
けれど一度、舞台裏からバレリーナたちが踊っているところを見たことがあるのですが、その締まった筋肉で踊る躍動感は、真に体を極限まで酷使し訓練を重ねた者のある姿という印象を受け、優雅さはまったく感じませんでした。
厳しい鍛錬を積み重ね、遠くから観る観客に優雅さを与えるというアントニムが生まれるのです。
バレエ鑑賞のいいところとポイントは、前もって物語のあらすじを勉強してから行くことです。そうでないと私のような素人には美しい人々がぴょんぴょん飛んだりクルクル回ったりしているだけの鑑賞で終わってしまうからです。せっかく観に行くのならちゃんと物語を把握して、今は「ヒロインが悲しんでいるところだな」とか「王子が求愛しているところだな」とかそういうのをわかって見たほうが数倍楽しめると思うのです。
そしてバレエ鑑賞のいいところは、その国の言葉がわからなくても台詞がないのでロシア人の観客と対等な気持ちで見れていると思えることです。他の国に住むということは、言葉が通じないで心の奥底まで悔しい思いをして時に苦しむことが多々あるからです。
ということで今回も『バフチサライの泉』を見るにあたり、ウィキペディアでお勉強してから行きました。
ポーランド貴族の娘、マリア・ポトツキーは、愛する婚約者もいてとても幸せに暮らしていたが、そこへギレイ率いるタタール軍が侵入し皆殺しにされる。マリアの美しさに打たれたギレイは彼女を宮殿に伴う。それまでギレイから一番愛されていた寵姫ザレマは怒り狂う。
バフチサライの宮殿で暮すようなった後もマリアは故郷を偲び、ギレイに心を開くことはなかった。マリアへの嫉妬で激情に駆られたザレマはマリアを刺し殺してしまう。怒りのあまりギレイはザレマを処刑する。
バフチサライの泉に傍らで物思いにふける彼の脳裏からマリアやザレマの面影が消えることはない。
原書はこれです。
Гирей сидел потупя взор;
Янтарь в устах его дымился;
Безмолвно раболепный двор
Вкруг хана грозного теснился.
Всё было тихо во дворце;
Благоговея, все читали
Приметы гнева и печали
На сумрачном его лице.
Но повелитель горделивый
Махнул рукой нетерпеливой:
И все, склонившись, идут вон.
Один в своих чертогах он;
Свободней грудь его вздыхает,
Живее строгое чело
Волненье сердца выражает.
Так бурны тучи отражает
Залива зыбкое стекло.
(以下続く)
うつろなる目付のギレイは坐しけり
琥珀の煙管をくゆらせつつ。
恐れ多き汗(カン)の傍らに
集う無言の従僕たち。
音ひとつなき宮殿にて
みな仰ぎてこそ知れ
彼の人の陰鬱たる顔に出づるは
怒りと悲しみならんと。
されども君主は誇り高し
荒々しく手を振るや
一同頭を垂れて立ち去りぬ。
大広間にただひとり
ほっと一息つくままに
なおも険しきその額や
騒ぐる心を示すらん。
うす暗き嵐の雨雲の
入り江の水面に映ゆるごとく。
途中、踊り子の一人に日本人らしきバレエダンサーが出てきました。遠くからだったのでよくは見えませんでしたが、黒い髪と小柄な体系が日本人を思わせました。ここペルミはバレエの水準が高くバレエ学校にも日本人の留学生がいます。だからそこの卒業生かもしれません。
バレエの一番いいところは、本物の非日常を味わえるところだと思います。この上なく優雅だからです。
けれど一度、舞台裏からバレリーナたちが踊っているところを見たことがあるのですが、その締まった筋肉で踊る躍動感は、真に体を極限まで酷使し訓練を重ねた者のある姿という印象を受け、優雅さはまったく感じませんでした。
厳しい鍛錬を積み重ね、遠くから観る観客に優雅さを与えるというアントニムが生まれるのです。