体外受精では精子と卵子が受精して、それを培養する胚培養士さんという方がいます。この培養がうまくいかないと胚移植そのものが成り立ちません。不妊治療をする上で失敗が許されない、きわめて重要なお仕事をされている方々です。
でも、医師や看護師の存在は当たり前のように認識していても、胚培養士さんの存在は希薄。クマ子も初診説明会の時に院長先生の説明で初めて「胚培養士」さんという存在を知りました。
それもそのはず。医師や看護師とは通院で必ず会うけれど、胚培養士さんとは会う機会がそもそもないのです。
1回目の胚移植の際、手術室に胚培養士さんがいらっしゃったのですが、クマ子は手術台の上、胚培養士さんはクマ子の胚に注力されているので会話はおろか、顔すらわかりません。
そんな胚培養士さんとお話する機会がありました。
先日、浅田レディースクリニック品川院の胚培養室の様子が一般開放されていたのです。どんなところでクマ子たちの胚を管理して育ててくれているのだろう・・・とちょっぴり興味があったので見にいってきました。
さぞかし窓のない実験室のようなラボなのだろうと思っていたので実際に見てびっくり。
ここは丸の内のおしゃれオフィスかいな。
そう思わせるような培養室でした。ラボまでの通路は森の中を進んでいくような感じになっていて、箱根美術館の森の中の回廊を思い出させます。フロアの角部屋に位置するラボは壁2面が全面窓ばり。眼下には品川の街が広がっています。
緑を基調にした開放的な空間はまるでカフェのよう。思わず「メニューください」と言ってしまいそうな雰囲気です。ここでコーヒー飲みたい・・・。
「ここはKomorebi Terrace(こもれびテラス)というコンセプトになっているんですよ。」
ぼーっと見ていたクマ子に、白衣を着た女性が話しかけてきました。彼女は胚培養士さん。見学に来た患者さんに説明をされていました。落ち着いたトーンでにこやかに説明する胚培養士さん。こんな穏やかでひだまりのような空間にいたら、自然と人もそうなるのね。
このKomorebi Terraceは患者とそこで働くスタッフとがほっとする空間であるようにデザインされたんですって。最先端の培養室は「生命をはぐくむ森」がコンセプトで、森の木々や動物をモチーフに生命力が表現されているらしい。
わかる。働く環境って働く人間にとって精神的な影響が大きいですもん。クマ子はかつて窓のない一室でスタッフと働いていたことがありますが、その時の閉そく感といったらもう・・・。そういうところで働くと自然と指揮は下がるし、性格もくらーくなります。
いやあ、こんな空間で私の卵ちゃんたちを管理して育ててくださってるとは。ここなら安心して私の卵ちゃんたちを預けることができます。
培養室は毎週水曜日に時間限定で一般開放されているそうですよ。機会があればご覧になることをおすすめします!