体外受精の採卵日を翌日に控えた夜。クマ子は今までにない緊張感に見舞われていました。
今まで何度となく体外受精について聞いたり調べたりしてきましたが、現実に自分がするなんて。
なんだかまだ信じられない気持ちです。
所定の時間に自分で皮下注射をしていると、それを見ていたクマ吉が横で恐れおののいています。
「ぎゃあああ!!自分ではりさしてるううう!!!」
ビビリな彼にとってクマ子が自分のお腹にためらいなく針をぶっさしている様子が狂気の沙汰に見えたようです。
「あ、大丈夫大丈夫。これ痛くないんだよ。脂肪に刺してるだけだから。」
そう言っても顔面青ざめてるクマ吉。
治療するのがクマ子側でよかったよ。もしクマ吉がこういう治療するとなったら気絶してると思う。
そう思うと、女性って腹が座ってるというか図太いというか、、。やっぱり出産できる体になってるだけあるなあ、なんてことをおもったりして。
体外受精前日は午後11時以降は食事は禁止。当日も絶飲食で採卵が終わるまで何も食べられないし、飲めないのです。
全身麻酔をしてから採卵するのですが、この麻酔を効かせるために絶飲食が絶対なんですって。
明日は朝8時10分にはクリニックにはいらなくてはなりません。その時間の品川駅は超ラッシュタイム。
かつて品川で勤務していたとき、毎朝8時のあの人の多さに辟易しながら通勤したものです。そんな中を飲まず食わずの状態で、、、、大丈夫かな。
そんなことを思いつつ、明日の持ち物準備です。
持ち物はこんな感じ:
☆夜用ナプキンをつけたショーツ
☆夫の精液
☆すぐに食べられる甘いもの
☆500mlのスポーツドリンク(もしは糖分のあるジュース)と水を最低1本ずつ計2本
麻酔から目が覚めたらまず水分をとってちゃんと尿がでるか確認して、糖分を取ってから帰宅だそう。
リュックサックに全てのものを用意して準備完了!あとは明朝夫にまた精液を取ってもらったら完了です。
忘れないようにしなきゃ!
食べ物屋飲み物はコンビニで買えますが、夫の精液は代わりがないですからね。
「まるで遠足に出かけるような荷物だね」
そう言って笑うクマ吉。
「クマ吉、明日朝早くから申し訳ないけど、協力よろしくお願いします!」
「わかってるさ」
そう言って笑う夫。
さあ、寝よう。明日が私たちを待っている。