写真は借り物です。この個体はグレードがGTのため、サイドプロテクトモールが付いていませんが、それ以外はほとんど同じ。
学生時代、速い4ドアセダンが大好きで、ランタボも憧れの1台でしたが、クルマ仲間が新車で買ったのをちょい乗りさせてもらったことしかなかった。
ある時、ゴルフディーゼルを譲ってくれた友人が起業資金捻出のためコレクションを放出することとなり、その中の1台にランタボがあったのです。
外装は初期型のインタークーラーなし、フェンダーミラーのドノーマル、内装は前席左右ともレカロ風のバケットシート、ステアリングはナルディーのクラシック、オーディオもアルパインのワンボディの上質なものが付いていました。
エンジンはMCA-JETのヘッドを持たないEC仕様の2,000ccに、ミッションはラリー用のクロスレシオのものに載せ替えられていて、当然、サスペンションやLSDもラリー用を装着済み。タイヤはインチアップしたピレリP6、エアコンも付いていて…と、上手くまとめられた1台。
ノーマルの1800の方がエンジンは軽い感じで回ったと思いますが、この2,000ccのトルク感はすごかった。
何せノーマルレシオのデフにクロスミッションだったから、ローで80km/h近く引っ張れるセッティング。出足はタクシーに置いて行かれても、敵がセカンドにシフトアップした頃には一気に背中を押されて挽回します。次いでセカンド110、サード130とシフトアップが忙しい。ローでの加速感は途中から急に盛り上がるので、ジェット機が離陸する感じとでも表現したら、分かってもらえるでしょうか。
まさに羊の皮を被った狼的な、私の大好きなパターンで、クルマ好きの友人たちからは常に「手放す時は教えてくれ」と狙われていましたよ。
しかし、メーカーオプションのクイックなステアリングは前輪につけたネガティブキャンバーと相まって『超』重たいし、常時セカンド発進しているようなものだから固いクラッチもつらく、軽快に街中を足代わりに走るって訳にはいかない。交差点で左折時には締め上げられたLSDからゴッゴッゴッと唸り音。さらに某CG誌風に言うと、『高性能はロハでは手に入らない』。燃費はお世辞にも良いとは言えず、確かリッター10キロを超えたことはなかったと思います。
だから、峠を攻めることも、長距離ドライブに連れ出すことも滅多になく、思い出を作る前に、友人から懇願されてわずか3か月で手放してしまいました。
ただ、あの角ばった端正なセダンスタイルは、今でも素敵だと思っています。
そうそう、先日、車庫の中からこのクルマ専用のフロアマットが出てきたんですよ。付けてあげるのを忘れていたんでしょうかね…