世態迷想・・抽斗の書き溜め

虫メガネのようであり、潜望鏡のようでも・・解も掴めず、整わず、抜け道も見つからず

世界は仮面を被っている・・

2017-07-21 | 国々の正義・・・

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世界は、戒めを忘れてしまうことで成り立っている。

パンドラの箱の神話が生まれた何千年前から、

人々はひたすら希望に未来を託しているが、

幾多の欺瞞と悪徳と暴力に溢れた世界から解放されたことがない。

 

📌

人々の口から何万回も平和が叫ばれただろう。

争いを目前にして、一番簡単な対応は平和を口にすることだ。

だが、絶え間ない紛争と殺戮が易々とその口を覆ってしまう。

どうやれば実現できるかの問いに対して、人類は何千年も答えに窮している。

 

平和という言葉には、その為に戦うという自己矛盾が隠されている。

平和の実現を叫びながら、

その方策は大概、脅迫と暴力が正義に転化されている。

平和は出口が見つからない迷路で、その知恵が狼狽している。

 

歴史家とか評論家の論述で解明されても、

ある社会とある社会の摩擦がこの後の世紀でも減るとは思えない。

正義が一元的でないからだ。

人間たちの愛は、殺戮的な排他の衝動に負け続けている。

 

📌

ある日、少年は図書室で処刑された女性の写真を見てしまった。

アヘン戦争かアロー戦争時と思われる中国大陸で撮られた古い写真だった。

捕らえられた女性の全裸体がXに組んだ木に張り付けられており、

その乳房は両方ともえぐられていた。

人間の人間に対する残虐さを初めて知って、彼の心身は硬直した。

 戦争行為は背景を背負って始まり、噴き出し、残酷に限りが無い。

どの時代にあってもどの地域を巡っても、大虐殺が起きている。

殺戮の正義があちこちに転がっていて、

その主役たちが歴史上の人物になってしまう。

自らの正義を宣って殺して殺して、自らは天寿を全うする者もいる。

報道されない殺戮が、山ほど歴史に潜んでいるに違いない、

地表は大量死の積層である。

生き物のなかで人間はそれほど安価なのだろう。

 

📌

文明はなんと多くの殺し方を発明してきたか。

効率的な殺人兵器が開発され、地球全域に売り渡されている。

しかも、高い利益の産業として社会の正面に存在している

 

戦いの場面では、まさに暴力が主役となる。

理性がそれを嫌悪しても、暴力の発揮を強制される。

戦争とは、暴力の総合戦である。

属する社会に公認された殺戮ほど、無慈悲なものはない。

兵士も装備も暴力の優位を保つために駆使される。

 

指揮官は、その残虐や破壊を、作戦または戦略と言い換える。

無数の残虐が発生して、人間が破壊されて、いずれ終局する。

誰も免罪されるはずもないのに、残虐に優れた側が勝者と呼ばれ、

新たな支配が生まれ、愛と理性の人間の姿にすり替わる。

 

様々な弁明が用意されるが、戦略的な残虐さは常に優位を占める。

最も大きな罪は、支配を企んで戦闘を仕掛けた側にある。

なぜなら、人に潜在する残虐さを誘発してしまうからだ。

オセロゲームより甚だしく,人の価値の罠は入れ替わる

死刑囚が死刑執行人になり,さらにそれが逆にもなる

 

📌

戦場に限らず、状況優位を得た人間たちの恐ろしさ,

深奥に隠し持つ悪が露出してとても不気味である。

人間には残虐を計画的に行う残虐さがある。

屍が山のように積み上げられ、腐臭とともに埋められている。

人間は何回も何回も繰り返している、今も地球のどこかで。

 人間が作る地獄的な場面がどういうものであるかを、具体的に知りたければ、

フランクルの「夜と霧」にある。

これに劣らず人間のサディズムは、中国の文化大革命にも容易く現れている。

人は、保身の口実があれば、こうも簡単に変心するものか。

テロ集団の、殺戮だけを目的にした無差別な攻撃。

そこに生まれる加害と被害との底知れない隔たりには、言葉を失う。

人間の変貌は、加害者の方に顕著に顕れ、餌食になるものは全く無力である。

人類の歴史に繰り返し起きている事だ。

 

📌

兵士も市民も戦争の死に様は、ただ無残である。

手足は千切れ、顔に鉈を打ち込まれたような惨たらしさは、

攻撃した人間の恐怖に比例している、

もしくは残酷さにとりつかれた者の瞬間が読める。

狂気と理性は全く触れ合わない。

その無残を知っていても、戦争を仕掛ける。

限りない不安と憤怒の混沌から、この後も何百年も抜け出せない。

戦争が愚かな結末を迎える事を知っていても、人は戦争に挑む。


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