世態迷想・・抽斗の書き溜め

虫メガネのようであり、潜望鏡のようでも・・解も掴めず、整わず、抜け道も見つからず

灰色

2024-06-04 | 雑々と過って惑う
📌
 

骨格も内臓も 灰色なる老いを知りてか 歩み合わせよ

 

混み合った 医院の椅子の 素っ気なさ

 

混み合いで むしろ和らぐ 受診待ち

 

高齢と 呼ばれて久し また師走

 

誰もいぬ 病院廊下 我ひとり

 

📌

あの時、遺体の額に手を当てその冷たさに、母の生命の果てたことを実感した。

 

衰弱した病床の父との最後の目の会話も焼き付いている。

言いようのない寂しさと静かさを覚えた。

 

あれから40年は過ぎてしまった。

その私が80余歳となっている。

生命の限りを思う日々である。

 

そうではあるけど、親への想いに過ぎ去った時間は邪魔をしない。

写真と共に様々な親の顔、祖母の顔がすぐそこに浮かぶ。

疾うに存在しないのに情が重なって重なって過ぎっていく。

情感とは不思議なものである。

そして、また年が暮れる師走が来てしまった。

 

僕もいずれ、娘や孫にそういう想いを誘うのだろうと思う。

僕はそれを察知もしない、後の者だけに思い出す情感が過ぎる。

それが一番だ。

それで充分だ。

霊があるなんかと祈ったりしないでくれ。

 


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