環境教育な日々

環境教育事務所 野の塾工房たまご代表の後藤清史のブログ

11月1日 体験活動についての研修プログラム

2013年10月31日 | 環境教育


2009年から2012年まで担当した宿泊型自然体験研修(プログラム)の講座内容を当時の受講生に周知したいと思い解説を含め公表する。
この研修では企画及び運営のほか、講師として当日の講義を担当した。但し、2009年と2010年は施設担当者と企画及び当日の運営を共同で行った。2011年と2012年は、運営面での協力を施設に担っていただいた。

一泊二日で実施された研修は、教員志望の学生を対象に約1年間行われるセミナーの1つの講座として計画されたもので、セミナー受講者のみが参加していた。
参加者数は、初年度は100人程度であったが、セミナーの募集人数が毎年増え2012年度は250人規模になっていた。そのこともあり、初年度(2009年)実施プログラムをベースに毎年改良を加え実施していった。

参加者予見:参加者は大学生を主体とした教員志望者、男女混合、クラス編成、クラス単位で行動、既に4回程度受講済み、中学校教員と小学校教員の希望者を区別しクラスを編成。希望別のクラス間の交流は特にない。
      

《2009年》100人参加想定 
ねらい:体験活動における目的の重要性を理解し、適切な活動を選択出来るようになる。
※活動時間を優先し、食事は全部食堂利用とした。 
 1日目 
  午前;宿泊施設入所
     ①アイスブレイク
      活動班決定
   昼食(弁当)
  午後;②自然をテーマにしたポイントハイク
      ハイクでの体験の振り返り…各自の体験を活動班毎に共有する
     ③「自然の言葉」を使った作詩活動及び発表
   夕食(食堂)
     ④1日目の振り返り…活動班単位での振り返り
     ⑤ファイヤー体験…全体の象徴として一体感を演出
     ⑥フリータイム
 
 2日目
  午前;⑦自由参加型早朝プログラム
   朝食(食堂)
     ⑧講義「なぜ、体験活動なのか」
     ⑨宿泊型体験活動の立案
   昼食(食堂)
     ⑩宿泊型体験活動の立案(発表)
     ⑪全日程の振り返り
     ⑫まとめ
     宿泊施設退所


  ①アイスブレイク(緊張ほぐし活動):主体的な参加を促すと共にクラス所属意識を解体し、個としての交流を促す。また、全体としての場の共有意識を持つ。志望教員にこだわらない班員の構成を作る。
   クラス⇒個⇒個が集合した全体⇒個が所属するグループ(活動班)

  ②自然をテーマにしたポイントハイク:自然体験型プログラムの体験を通じ、グループ行動や五感による認知を体験する。また、「問い」により自然への興味を引き出すと共に、自然体験プログラムの教科と関連した展開を提案。また、ハイクで行動を共にした班単位で個の体験を振り返ることにより、個々の経験(視点)の違いについて体験的に学ぶ。

  ③「自然の言葉」による作詩体験:振り返り活動のバリエーションとして、また、グループワークとしての教科の活用提案。他班との体験の共有。
   班活動⇒全体の活動へ

  ④1日目の振り返り:他者の視点(体験や考えなど)を通じて自己の体験を見つめるとともに、個としての交流を促す。

  ⑤ファイヤー体験:全体の象徴としての炎を体験する。セレモニーとしてのファイヤーの活用を提案。
   全体⇒分散⇒集合(全体)

  ⑥フリータイム:交流、生活時間として設定した。しかし、セミナーでのクラスのホームルームとして使用された。

  
  ⑦自由参加型プログラム:任意に提案されたプログラムに参加者が集まり展開される予定であった。しかし、クラス活動として予定されていたものが実施された。

  ⑧講義「なぜ、体験活動か」:体験活動の意義や体験学習法について解説。

  ⑨⑩宿泊型体験活動の立案:宿泊プログラムの立案を通じ、グループワークとして個々の資質を高めると共に、活動における目的や各アクティビティーの繋がりの重要性に気づく。

  ⑪全日程の振り返り:内省と共有により、他者の視点から学ぶ体験。

  ⑫まとめ:活動班の解体及び、質疑応答。



《2010年》150人想定
ねらい:体験活動における目的の重要性を理解し、適切な活動を選択出来るようになる。
※主催者及び施設希望による野外炊飯体験と施設希望によるキャンプファイヤー体験が導入されたことにより、プログラムの改訂を実施。
 1日目
  午前;宿泊施設入所
     ①アイスブレイク
      活動班決定
   昼食(弁当)
  午後;②自然をテーマにしたポイントハイク
      「自然の言葉」を使った作詩活動を簡略化
     ③活動班での野外炊飯
   夕食(自炊)
     ④キャンプファイヤー体験
     ⑤フリータイム
 
 2日目
  午前;
   朝食(食堂)
     ⑥講義「なぜ、体験活動か」
     ⑦宿泊型体験活動の立案
   昼食(食堂)
     ⑧宿泊型体験活動の立案(発表)
     ⑨全日程の振り返り
     ⑩まとめ
     宿泊施設退所


  ②自然をテーマにしたポイントハイク:「自然の言葉」を使った作詩活動を簡略化すると共に発表方法を全体的な方法に変更して実施。

  ③活動班での野外炊事:調理及び食事によるメンバー間の交流。薪による野外炊飯体験。

  ④キャンプファイヤー体験:キャンプファイヤーの点火法による演出や炎を活用した非日常の演出方法を提案。また、場の象徴としての炎を体験。

  ⑤フリータイム:個の振り返り、生活時間として再度設定した。しかし、この年もクラスのホームルームとして使用された。

  ⑧宿泊型体験活動の立案(発表):発表方法を全体的な方法に変更して実施する予定であったが、共同運営者からの提案により2グループに分けて同時進行で発表。



《2011年》200人想定
ねらい:体験活動の意義を理化し、目的をもって体験活動に取り組む姿勢を養う。
※大人数化への対応するため、プログラムを改訂。
 1日目
  午前;宿泊施設入所
     ①全体でのアイスブレイク
      ※活動班決定
   昼食(弁当)
  午後;②自然をテーマにしたポイントハイク
      ハイクでの体験の共有
     ③活動班での野外炊飯
   夕食(自炊)
     ④1日目の振り返り
     ⑤クラス活動
 
 2日目
  午前;
   朝食(食堂)
     ⑥講義「なぜ、体験活動か」
     ⑦GW「体験活動で大切にしたいこと」
   昼食(食堂)
     ⑧全日程の振り返り
     ⑨まとめ
     宿泊施設退所


  ①アイスブレイク:過去の実施内容に比べ、主体的な参加を促す内容に変更。

  ②自然をテーマにしたポイントハイク:体験学習のプロセスを体験するように変更。

  ③活動班での野外炊飯:プログラム対応のリーダーが、プログラムに専念できるように施設に依頼。

  ④1日目の振り返り:キャンドルの炎を使用し、班ごとに実施。

  ⑤クラス活動:フリータイムを要望の強いクラス活動の時間として設定変更を行った。
  
  ⑥講義「なぜ、体験活動か」:コミュニケーション教育の手段として体験活動に触れると共に、環境教育の基礎養成についての解説を加えた。

  ⑦GW「体験活動で大切にしたいこと」:それぞれの体験活動への思いを意見交流を通じて整理すると共に、意見集約の方法としてワールドカフェの活用法を紹介しt。



《2012年》250人想定
ねらい:体験活動の意義を理化し、目的をもって体験活動に取り組む姿勢を養う。
※大人数対応に、プログラムを改訂。体験活動を使用したコミュニケーション教育の提案。
 1日目
  午前;宿泊施設入所
     ①全体でのアイスブレイク
      活動班決定
   昼食(弁当)
  午後;②自然をテーマにしたポイントハイク
     ③GW「チームで大切にしたい事は」
     ④活動班での野外炊飯
   夕食(自炊)
     ⑤1日目の振り返り
     ⑥クラス活動
 
 2日目
  午前;
   朝食(食堂)
     ⑦講義「なぜ、体験活動か」
     ⑧GW「体験活動で大切にしたいこと」
   昼食(食堂)
     ⑨全日程の振り返り
     ⑩まとめ
     宿泊施設退所


  ①アイスブレイク:緊張解しと主体的な参加を促す事を主眼として実施。

  ②自然をテーマにしたポイントハイク:コミュニケーションツールとしての活動を提案。関わりについての「問い」を付加。

  ③GW「チームで大切にしたい事は」:コミュニケーション教育の体験。それぞれの思いを持ち寄り、2日間活動を共にする班のポリシーを決定。ルール決による居場所づくりの体験として。

  ⑤一日目の振り返り:初年度と同様にファイヤーの炎を分化し、小さな炎と移動しての班毎の振り返りを実施。その後、合図とともにファイヤーのもとにもどるセレモニーとしての動きを紹介。
   全体の体験⇒分化⇒全体の経験へ(集合)

以上が、昨年まで関わった教員志望者対象のセミナーで提供した体験活動についての講座プログラムです。
ここでは、何故そのアクティビティなのかを大まかに述べただけです。
プログラム運営中には、参加者の様々な動きがありました。
活動班を決める際に意図的にクラスで集まる者、その結果他クラスの所属者が1、2名班員となった事がありました。セミナーの担当職員からはアイスブレイクを使用した班分けの限界ではと指摘が…、果たしてそうだろうか?
この班に起きたことは、日常の学校でも起こりえると思う。また、そのようなメンバー構成でのチームビルドについて学ぶ良い機会を彼らは得たのでは無いだろうか。

また、2012年度の一日目の振り返りの際、集合の合図を遠吠えで行いました。私の遠吠えの後に各班から帰ってくる遠吠え。どうだったでしょうか?
学校では合図によく笛(警笛)が使われますが、人を指図する音色があの場に合うかどうか。セミナー担当の職員の方々は戸惑ってられた様ですが、私からの真面目な提案でした。
その後のファイヤーでの「待ち」も同じです。
まだまだ学校教育の現場では理解されがたい運営方法かもですが、何時の日か参考にして頂ければ幸いです。
皆さんの体験活動が、より良いプログラムになることを願っています。