「彎曲し火傷し爆心地のマラソン」。虚子以来の「有季定型」に対抗して俳句の「存在性」をぶっつける。アブストラクトな詩のような俳句をめざす。その主張は一茶の生きざまを継承しようという姿勢に通じる。芭蕉からも現代風の吸収を説く。
「殉教の島薄明に錆ゆく斧」。「有季」を絶対化し「季題」から俳句をつくると「非常に特殊な俳句観、特殊な美意識の強調になる」と説く。自由にのびのび現実を表現する無季であってもかまわない、と。発句を独立した詩にした現代ではそれもそうだナ。
「男鹿の荒波黒きは耕す男の眼」。五・七調の定型も「どういう内質が宿っているのか」を問い、外国人にも通用する表現の中身を重視する。五七調のリズムに慣れ親しんできた者には違和感を覚えるが「破調」もよしとする。「感の昂揚」を俳句表現の土台と説く。
さらにそのおおもとに「土の匂ひ」なるものをすえる。俳句の既成観念を破り、自然と人の生きざまを直眼する「人間主義派」ともいえるが、子どもには分かりづらい。来年の現代俳書カレンダーの表紙は「霧に白鳥白鳥に霧というべきか」。写真上=4丁目の小道、下=南千里のみどりのさんぽみち。
平坦なほそみち迷う冬至の日 龍尾
俳句のつくり方が面白いほどわかる本 中経の文庫 / 金子兜太 【文庫】
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