「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、コートを脱いで句会に出かけた。てらいのないしみじみとしたいい句が並んだ。最高得点句は先生の「ひまごという不思議を抱くや桃の花」だった。愚句の「土蜂の狂うまま掘る兄弟」は得点ゼロだった。俳句の先生に「兄弟で掘るや地蜂の狂うまま」と添削してもらったが、これは体験した人でないとわからない句だろう。
土蜂とも地蜂ともいうが、疎開先の猿投村では、田んぼに皮を剥いだ蛙を竹先から落下傘の糸に吊るし、その肉を食いにきた地蜂に真綿をかぶせ、巣穴に戻るのを追尾し巣を発見して、地蜂の巣を掘るのである。セルロイド製の歯ブラシを燃やし、巣穴に差し込むと地蜂は狂ったように這い出てくる。それをかまわず、鍬で(当時スコップはなかった)懸命に掘った。3段か4段か忘れたが蜂の巣を採って帰ると母親が、蜂のこめしを炊いてくれた。わが人生の貴重な思い出である。句会のメンバーでそんな体験をした人はないようで、「うまかったか」と聞かれたが、うまかったか、どうかは記憶にない。
春3月、自然をたたえ生物をいつくしむ時節である。ジニア、マリーゴールド、マツバボタン、センニチコウなど春まき用の種やイタリアンパセリの苗を花いっぱい運動グループからもらった。牧野富太郎博士の「植物知識」を読み、自然の不思議を考える。博士はいう。「草木に愛を持つことによって、人間愛を養うことができる」と。
彼岸とて袖に這する虱哉 一茶
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