写真上「俳聖／蕪村之顕彰碑／春風や／堤長ふして／家遠し」。６２歳のときの名作「春風馬堤曲」二首目。春。故郷のわが家は毛馬堤のはるか遠くかすんで見えない。望郷の思いが切々と迫る。この句碑だけ石の色も大きさも形式も異なる。どこかから移転した碑に相違ない。
写真下「遅き日の／つもりて遠き／むかし哉」。春。６０歳のときの句。「懐旧」の「前書」あり。「唐詩選」の巻七・杜審言の七言絶句「渡湘江」の「遅日園林悲昔遊」(遅日 園林 昔遊を悲しむ)に倣った句。蕪村句が漢詩に強い影響を受けていたことがよく分かる。
匕厘のてっちゃん煙る宵戎 昇竜子
