原発問題に関する情報を取捨選択するために(最終話)

2016-03-21 20:47:20 | 活動報告
前回のブログの続きです。
第2話にして最終話になります。

前回は、埋没してしまっている情報も含めて、世の中に拡散している膨大な情報をどのように入手し、入手した情報の中から何を信用に足る情報として取捨選択するのか、私自身が留意していることをつらつらと書かせていただき、留意事項の一つとして「その道の専門家の講演会などに参加して物事を深く掘り下げる」というのを挙げて、その実践として原発問題の第一人者である安斎先生の講演会に参加することを決めた、というところで話を中断させてしまいました。

講演会の会場は、高崎市総合福祉会館のホール、通称「たまごホール」です。到着した時には既に講演会が始まっていて、安斎先生の講演はホール入口で配布された資料に沿って進められていました。



講演の内容は、実にリアルなものでした。
先日、福島第一原発事故から丸5年が経過しましたが、現地では今もなお深刻な状況が続いています。

地下に高濃度放射能汚染水が数十万トンも溜まっていて、海洋への流出を防げずにいます。東京電力は地下水をダムのようにせき止める遮水癖を設置しましたが、とても完全な対策とは言えません。
依然として除染作業が続けられていますが、取り除かれた土などは仮置き場に運ばれ、3年ほど経過すると中間貯蔵施設に運ばれることになっています。しかし、除染作業に仮置き場の許容量が追いつかないため、今は「仮仮置き場」というものまで登場してきているそうです。
昨年2015年の8月の段階で、福島県内の104人もの子どもに甲状腺ガンが見つかっています。事故当時に被爆した可能性が高いとのことでしたが、3千人に1人の割合で見つかっていると聞いて耳を疑いました。
風評被害で売り物にならなかった福島の農産物が東京などにも出回るようになりましたが、そのほとんどが買い叩かれているそうです。これまで日本の食と農を支えてきた農家は、存続の危機に追い込まれています。

これが、福島に毎月通いながら復興のために最前線でご活躍されてきた安斎先生が語った現地の実情です。とても「復興が順調に進んでいる」とは言い難い状況ではないでしょうか。原発災害がいかに恐ろしいものなのか、改めてまざまざと感じました。
講演中、「永いあいだ反原発運動に携わってきたが、福島第一原発事故を防げなくて申し訳ない」と目に涙をためて言葉を詰まらせた安斎先生の姿が、とても印象的でした。



福島第一原発の事故現場は、危険すぎて誰も見に行くことができません。ロボットを投入して内部の様子を確認しようと何度も試みましたが、残念ながら失敗に終わっています。したがって、現場で何が起きたのかさえ分かっていません。再臨界(核分裂反応が再び連鎖的に激しく進むこと)が起こっているかどうかも分かっていませんし、当然のことながら事故の原因すら解明できていない状況なのです。

それなのに、なぜ安倍政権は原発を躍起になって再稼働させようとしているか…
安斎先生は、「原発を動かせば、献金のルートが作れるから」。こうおっしゃっていました。
100万キロワット規模の原発を1日動かせば、1億円以上儲かるそうです。そうやって利益を上げたい電力会社から誰が献金を受け取っているか、ご存知でしょうか?
原発再稼働をすすめる電力会社や原子力関連の企業などでつくる原発利益共同体の中核組織「原子力産業協会」の主な会員企業と電力会社のグループ企業が、2012年に3億円以上を自民党の政治資金団体「国民政治協会」に献金していることが明らかになりました。また、電力会社の役員による自民党側への献金が、東京電力福島第一原発事故の起きた2011年と比較して3倍になっていることも判明しています。

政治家や一部の大金持ちが私腹を肥やすために、第二の福島を生み出すのは許されることではありません。子孫の命や暮らしを危険にさらすのを見過ごすことは出来ません。人間の手ではコントロールできない原発を廃炉にするためではなく、再稼働させるために大事な税金を投入させるわけにはいきません。
原子力発電相当分の電気は、地熱発電によってまかなえるそうです。
私は、原発再稼働に断固反対します

去る3月13日、高崎市で「さよなら原発アクション」という集会が開催されて私も参加しました。会場の高崎城址公園には、思想や政治信条などを超えて1,200もの人が集まり、集会のあとに行われたデモ行進では、それぞれがそれぞれの想いを込めて「原発なくそう」と声を上げました。
このまま声を上げる人が増え続ければ、必ず原発に依存しない社会が実現できると信じています。



すっかり長くなってしまいました
最後までご覧になっていただき、ありがとうございました。

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