えとうあきら
「智」と書いて「あきら」
それを知ったのはジャイアンツに移籍してきてからのことだ。
当時の長嶋監督の背番号33を奪った男。
広島時代打点王1回ホームラン王2回の実績を引き連れていた。
ホームランのことを「アーチ」とも言うが江藤のそれは「アーチ」と言う名にふさわしい芸術品だ。
球の軌道がそれとわかるような綺麗な放物線を描く。
江藤が最高に輝いて見えた2000年ミレニアム優勝の決定戦。
対中日戦9回0-4から起死回生の同点満塁ホームラン
あの日の記憶は江藤の心の中の宝石箱に大切にしまってあるだろう。
小久保が移籍してから出場機会は激減した。
江藤は性格のよさそうな優しい顔をしている。
「俺が俺が」ではなくて「どうぞどうぞ」と他人に気配りするような。
だから代打での起用でも虚腹と違って腐らない。
通算ホームラン350号にリーチをかけてから1年以上も聴牌したまま。
西武での今シーズンは必ずメモリアルアーチを披露してくれるだろう。
江藤智。
「あきら」めるにはまだ早い。