やしきたかじんさんが番組の中で,とある女優との離婚話について,いろいろと尾ひれを付けて話したことにより名誉を毀損されたとして,その女優の元夫がたかじんさんと毎日放送に対し損害賠償を請求した裁判で,大阪地裁は元夫の請求を一部認め,たかじんさんと毎日放送に対し,330万円を支払う旨の判決を言い渡しました。
たかじんさんは,判決を受け入れる見込みですが,毎日放送側は現時点では態度未定のようです。
やしきさんと毎日放送に賠償命令 「番組で名誉棄損」(朝日新聞) - goo ニュース
バラエティ番組だからって,何でもあり,とはいかないぞ
今回の裁判は,簡単に言ってしまうと「バラエティ番組は報道番組と違って人のプライバシーに関する話まで自由に,しかも脚色して話すことがありか」という点と,「OAされなかったとしても名誉毀損となるか」,さらには「芸能人の夫は公人に近いかどうか」という点が主な争点でした。
これについて,毎日放送側は「バラエティ番組は,ある程度は内容もいい加減なので,何言ってもある程度は大丈夫」と,いわゆる「バラエティ番組免責特権」を主張しましたが,大阪地裁は,「バラエティ番組だからといっても,その内容を信じる人がいる」と認定し,免責特権は認めませんでした。
また,OAされなければ大丈夫,という見解についても,大阪地裁は「観客の面前で言っている以上,公然事実を適時した。」といえるとして,名誉毀損が成立すると認定しました。
さらに,芸能人の夫という点についても,単なる興味本位の報道に過ぎない場合はやはりプライバシーの侵害になると認定しました。
すなわち,今回の判決,ものすごく簡単に言えば,「バラエティ番組でも,やっちゃいけないラインは報道番組とさほど変わらない」と裁判所は言ったということになります。
今回の裁判は,「バラエティ番組だから許してや」という「バラエティ番組免責特権」が使えないことを明示したことから,番組制作者サイドとしては,バラエティ番組といえども,今後はかなり慎重に番組づくりを考えざるを得ないということになるでしょう。
ただ,ひとつこの裁判で分かったことは,「テレビ局は,やはりバラエティ番組に真実は少ないことと,視聴者はだれも番組内容を信じてはいないだろうと思っている」ことを法廷ではっきりと自白したことです。すなわち,従前から某テレビ局の社長が「テレビは公共性の高いものである」と一生懸命主張していたことをはっきりと否定したことになります。
もちろん,報道番組の場合は,スタンスは違うのかもしれませんが,最近では「報道番組のバラエティ化」が進んでいることからすると,ひょっとしたら制作者サイドとしては,「報道もおもしろおかしくやってなんぼ」と考えているのかもしれません。とすると,「真実を正確に伝える」という本来的役割は一体どこに行ったのか,と懸念せざるをえません。
今回の判決は,やしきたかじんさんはもちろんのこと,各テレビ局や製作会社も真摯に受け止め,今一度「テレビのあり方」についてしっかりと考える必要があるといえるでしょう。むしろ,芸能人のプライバシーよりも,もっと突っ込んでほしい問題はたくさんあるはずです。政治家や大企業から名誉毀損で訴えられたときに,真実を法廷で白日の下にさらす,そこまでできるテレビ局になれば,「真の報道の自由」や「国民の知る権利」が全うできるのではないでしょうか。
がんばれ,テレビ局!!
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たかじんさんは,判決を受け入れる見込みですが,毎日放送側は現時点では態度未定のようです。
やしきさんと毎日放送に賠償命令 「番組で名誉棄損」(朝日新聞) - goo ニュース
バラエティ番組だからって,何でもあり,とはいかないぞ
今回の裁判は,簡単に言ってしまうと「バラエティ番組は報道番組と違って人のプライバシーに関する話まで自由に,しかも脚色して話すことがありか」という点と,「OAされなかったとしても名誉毀損となるか」,さらには「芸能人の夫は公人に近いかどうか」という点が主な争点でした。
これについて,毎日放送側は「バラエティ番組は,ある程度は内容もいい加減なので,何言ってもある程度は大丈夫」と,いわゆる「バラエティ番組免責特権」を主張しましたが,大阪地裁は,「バラエティ番組だからといっても,その内容を信じる人がいる」と認定し,免責特権は認めませんでした。
また,OAされなければ大丈夫,という見解についても,大阪地裁は「観客の面前で言っている以上,公然事実を適時した。」といえるとして,名誉毀損が成立すると認定しました。
さらに,芸能人の夫という点についても,単なる興味本位の報道に過ぎない場合はやはりプライバシーの侵害になると認定しました。
すなわち,今回の判決,ものすごく簡単に言えば,「バラエティ番組でも,やっちゃいけないラインは報道番組とさほど変わらない」と裁判所は言ったということになります。
今回の裁判は,「バラエティ番組だから許してや」という「バラエティ番組免責特権」が使えないことを明示したことから,番組制作者サイドとしては,バラエティ番組といえども,今後はかなり慎重に番組づくりを考えざるを得ないということになるでしょう。
ただ,ひとつこの裁判で分かったことは,「テレビ局は,やはりバラエティ番組に真実は少ないことと,視聴者はだれも番組内容を信じてはいないだろうと思っている」ことを法廷ではっきりと自白したことです。すなわち,従前から某テレビ局の社長が「テレビは公共性の高いものである」と一生懸命主張していたことをはっきりと否定したことになります。
もちろん,報道番組の場合は,スタンスは違うのかもしれませんが,最近では「報道番組のバラエティ化」が進んでいることからすると,ひょっとしたら制作者サイドとしては,「報道もおもしろおかしくやってなんぼ」と考えているのかもしれません。とすると,「真実を正確に伝える」という本来的役割は一体どこに行ったのか,と懸念せざるをえません。
今回の判決は,やしきたかじんさんはもちろんのこと,各テレビ局や製作会社も真摯に受け止め,今一度「テレビのあり方」についてしっかりと考える必要があるといえるでしょう。むしろ,芸能人のプライバシーよりも,もっと突っ込んでほしい問題はたくさんあるはずです。政治家や大企業から名誉毀損で訴えられたときに,真実を法廷で白日の下にさらす,そこまでできるテレビ局になれば,「真の報道の自由」や「国民の知る権利」が全うできるのではないでしょうか。
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