愛知県知事選挙,名古屋市長選挙,名古屋市議会解散の是非を問う住民投票のいわゆるトリプル選挙の投開票が6日に行われ,知事選は無所属で元衆議院議員の大村秀章氏が,名古屋市長選は現職の河村たかし氏がそれぞれ当選し,また住民投票は賛成が過半数となり議会の解散が決まりました。いわゆる河村グループの三連勝という形になりました。
出直しで河村氏再選=二大政党相乗り石田氏及ばず―名古屋市長選(時事通信) - goo ニュース
これは既存政党に対する有権者からの警鐘である
まずは結果のおさらいから。
名古屋市長選 投票率54.14%(前回50.54%)
当662251 河村たかし 諸前
216764 石田 芳弘 無新=民社国
46405 八田ひろ子 無新=共
23185 杉山 均 無新
愛知県知事選 投票率52.52%(前回52.11%)
当1502571 大村 秀章 無新
546610 重徳 和彦 無新
487896 御園慎一郎 無新=民社国
324222 薬師寺道代 み新
141320 土井 敏彦 無新=共
名古屋市議会解散の住民投票 投票率54.17%
賛成696146
反対252921
以上みてもお分かりのとおり,いわゆる住民税恒久減税を公約とした河村氏とその盟友で自民党を除名されて無所属で戦った大村氏の圧勝という形で幕を閉じました。また,住民投票も圧倒的多数の賛成により解散が決まった形になり,まさに論評どおり「河村氏の三連勝」っていう結果となりました。
今回の選挙,確かにメイン公約が「減税」となってしまい,いわゆる通常の政策や愛知県や名古屋市の今後のビジョンが十分示されなかったという問題点が指摘されております。また,いわゆる「美味しい公約」と「知名度」だけで選挙を勝ったとして「劇場型選挙」であるという点を懸念する声も聞こえてきます。
確かに,減税自体を公約にする候補者は過去にも数多といましたが,この公約で本当に勝ったのは極めて珍しいといえます。そういう意味では,実は,愛知県民も名古屋市民も,決して単純に「減税に釣られて投票した」とは言い切れないでしょう。そんなに愛知県民や名古屋市民は単純ではありませんし,その分析は有権者の能力を侮りすぎです。
また,「劇場型選挙」という点についてですが,確かに大村氏や河村氏は,メディア露出も多いため,他の候補者と比較すると知名度も高いといえます。したがって,そういう視点で投票した有権者もいた点は否めません。
しかし,知名度を全面に押し出す選挙は,何も今回の選挙が全国初の話ではなく,むしろ近年ではこれがごく普通の選挙となっています。のみならず,有名人といえども,先の参院選では相次いで落選していますから,有権者は決して知名度だけで投票している訳ではありません。
もっというと,今回の投票率,前回よりも高いと言ってもたかだか50%台に過ぎません。ざっくり言うと,愛知県民や名古屋市民の有権者の半分は,今回の選挙(県や市の政治)に興味も関心もないわけですから,決して劇場型ということで何かに扇動されて選挙に勝ったという話にはならないでしょう。
また,議会の解散については,一部の名古屋市議から「議会=悪という構造を作られてしまった」などとぼやきつつ,これをとらえて劇場型や感情選挙だったなどと有権者を揶揄する節も見受けられましたが,本当にそうでしょうか?
今回の議会の失敗は,実は単純なお話で,「自分たちの考え方や名古屋市のビジョン,そして河村市長の構想の問題点」について,議会内外で市民に対して分かりやすい説明をしなかったために,思いが全く伝わらなかったっていう点に過ぎません。もっといえば,「後援会だけ相手にした市政報告ごっこ」に終始しすぎてしまい,駅前の辻立ちやビラ配りなどという平素からのどぶ板活動をする議員が少なかったという点にあるでしょう。だから,「議員の給料は高すぎる」等と単純に有権者に思われてしまい,そんな議員はいらない,っていうことになってしまったのです。
つまり,今回の選挙結果は,「議員にあぐらをかく」と,有権者は議員のいうことに聞く耳を持たなくなるという典型例であるといえるでしょう。これは,決して名古屋だけの話ではなく,全国各地で起こりうる現象といえるでしょう。
ところで,この選挙,ちょっと違う形で分析ができます。
民主王国の愛知県で,民主党推薦の候補者が惨敗しました。これは,有権者の民主党離れが進んでいる表れであると言えますが,ここはある意味想定済みのお話。
ところが,民主党を離れた有権者がどこに行ったのかというと,自民党に戻った訳ではなかったという点が今回の選挙から分析されます。すなわち,従前から主張しているように,自民党人気が決して戻ってきている訳ではないのです。むしろ,今回の選挙により,「非民主,非自民,非共産」という浮動票が「既存政党以外の第三極」に集まったと言えます。
そうです,有権者はもはや「政党政治」に見切りをつけ始めてきたのです。もちろん,地方選挙と国政は必ずしも一致しないため,これだけで断言することはできませんが,そうはいっても確実に言えるのは,「民主党も自民党も,今のままでは国民から見放されるだけ」ということです。今回の選挙結果は,民主党が反省するのは当然の助動詞「べし」ですが,のみならず自民党も反省しなければならないといえるでしょう。
では,どのような第三極を有権者が望んでいるのでしょうか。それは,実は極めてシンプルでして,「ビジョンが見える」「リーダーシップがある」という候補者なのです。今回の河村氏や大村氏は,ビジョンについては若干疑義がありますが,少なくともいずれもリーダーシップという点では,有権者からの評価は高かったと言えます。ここでいうリーダーシップとは,「政党や各種団体のいいなりではない」っていう点です。ワンマンという意味ではありませんが,「政党でこう決めたから私は政党の言うとおりやります」というような政治家をもはや有権者は望んでいないと言えるのです。
今回の選挙結果を踏まえると,もはや既存政党や団体をメインとする組織選挙は通用しないことが明確になってきたと言えます。反面,単においしい公約だけ示しても,今の民主党のようにどこかで破たんする可能性もあります。だとしたら,">「強いリーダーシップ」を示しつつ,「納得のいくビジョン」をきちんと示すことが,選挙に勝つ秘策といえるでしょう。
以上,いつもより遅くなりましたが,選挙短評でした。
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まずは結果のおさらいから。
名古屋市長選 投票率54.14%(前回50.54%)
当662251 河村たかし 諸前
216764 石田 芳弘 無新=民社国
46405 八田ひろ子 無新=共
23185 杉山 均 無新
愛知県知事選 投票率52.52%(前回52.11%)
当1502571 大村 秀章 無新
546610 重徳 和彦 無新
487896 御園慎一郎 無新=民社国
324222 薬師寺道代 み新
141320 土井 敏彦 無新=共
名古屋市議会解散の住民投票 投票率54.17%
賛成696146
反対252921
以上みてもお分かりのとおり,いわゆる住民税恒久減税を公約とした河村氏とその盟友で自民党を除名されて無所属で戦った大村氏の圧勝という形で幕を閉じました。また,住民投票も圧倒的多数の賛成により解散が決まった形になり,まさに論評どおり「河村氏の三連勝」っていう結果となりました。
今回の選挙,確かにメイン公約が「減税」となってしまい,いわゆる通常の政策や愛知県や名古屋市の今後のビジョンが十分示されなかったという問題点が指摘されております。また,いわゆる「美味しい公約」と「知名度」だけで選挙を勝ったとして「劇場型選挙」であるという点を懸念する声も聞こえてきます。
確かに,減税自体を公約にする候補者は過去にも数多といましたが,この公約で本当に勝ったのは極めて珍しいといえます。そういう意味では,実は,愛知県民も名古屋市民も,決して単純に「減税に釣られて投票した」とは言い切れないでしょう。そんなに愛知県民や名古屋市民は単純ではありませんし,その分析は有権者の能力を侮りすぎです。
また,「劇場型選挙」という点についてですが,確かに大村氏や河村氏は,メディア露出も多いため,他の候補者と比較すると知名度も高いといえます。したがって,そういう視点で投票した有権者もいた点は否めません。
しかし,知名度を全面に押し出す選挙は,何も今回の選挙が全国初の話ではなく,むしろ近年ではこれがごく普通の選挙となっています。のみならず,有名人といえども,先の参院選では相次いで落選していますから,有権者は決して知名度だけで投票している訳ではありません。
もっというと,今回の投票率,前回よりも高いと言ってもたかだか50%台に過ぎません。ざっくり言うと,愛知県民や名古屋市民の有権者の半分は,今回の選挙(県や市の政治)に興味も関心もないわけですから,決して劇場型ということで何かに扇動されて選挙に勝ったという話にはならないでしょう。
また,議会の解散については,一部の名古屋市議から「議会=悪という構造を作られてしまった」などとぼやきつつ,これをとらえて劇場型や感情選挙だったなどと有権者を揶揄する節も見受けられましたが,本当にそうでしょうか?
今回の議会の失敗は,実は単純なお話で,「自分たちの考え方や名古屋市のビジョン,そして河村市長の構想の問題点」について,議会内外で市民に対して分かりやすい説明をしなかったために,思いが全く伝わらなかったっていう点に過ぎません。もっといえば,「後援会だけ相手にした市政報告ごっこ」に終始しすぎてしまい,駅前の辻立ちやビラ配りなどという平素からのどぶ板活動をする議員が少なかったという点にあるでしょう。だから,「議員の給料は高すぎる」等と単純に有権者に思われてしまい,そんな議員はいらない,っていうことになってしまったのです。
つまり,今回の選挙結果は,「議員にあぐらをかく」と,有権者は議員のいうことに聞く耳を持たなくなるという典型例であるといえるでしょう。これは,決して名古屋だけの話ではなく,全国各地で起こりうる現象といえるでしょう。
ところで,この選挙,ちょっと違う形で分析ができます。
民主王国の愛知県で,民主党推薦の候補者が惨敗しました。これは,有権者の民主党離れが進んでいる表れであると言えますが,ここはある意味想定済みのお話。
ところが,民主党を離れた有権者がどこに行ったのかというと,自民党に戻った訳ではなかったという点が今回の選挙から分析されます。すなわち,従前から主張しているように,自民党人気が決して戻ってきている訳ではないのです。むしろ,今回の選挙により,「非民主,非自民,非共産」という浮動票が「既存政党以外の第三極」に集まったと言えます。
そうです,有権者はもはや「政党政治」に見切りをつけ始めてきたのです。もちろん,地方選挙と国政は必ずしも一致しないため,これだけで断言することはできませんが,そうはいっても確実に言えるのは,「民主党も自民党も,今のままでは国民から見放されるだけ」ということです。今回の選挙結果は,民主党が反省するのは当然の助動詞「べし」ですが,のみならず自民党も反省しなければならないといえるでしょう。
では,どのような第三極を有権者が望んでいるのでしょうか。それは,実は極めてシンプルでして,「ビジョンが見える」「リーダーシップがある」という候補者なのです。今回の河村氏や大村氏は,ビジョンについては若干疑義がありますが,少なくともいずれもリーダーシップという点では,有権者からの評価は高かったと言えます。ここでいうリーダーシップとは,「政党や各種団体のいいなりではない」っていう点です。ワンマンという意味ではありませんが,「政党でこう決めたから私は政党の言うとおりやります」というような政治家をもはや有権者は望んでいないと言えるのです。
今回の選挙結果を踏まえると,もはや既存政党や団体をメインとする組織選挙は通用しないことが明確になってきたと言えます。反面,単においしい公約だけ示しても,今の民主党のようにどこかで破たんする可能性もあります。だとしたら,">「強いリーダーシップ」を示しつつ,「納得のいくビジョン」をきちんと示すことが,選挙に勝つ秘策といえるでしょう。
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