さいたま市長選挙は24日投開票があり,新人で無所属(民主党推薦)の清水勇人氏が当選しました。現職の相川氏は次点ながら大差の敗北となりました。投票率は42.78%で,前回の35.51%を大きく上回る結果となりました。
これを受けて,民主党は,衆議院議員選挙へ弾みがつくとコメントし,一方自民党は,この選挙は極めて限定的な減少にすぎないと冷静な対応をしていました。
さいたま市長に清水氏=民主、政令市選2連勝(時事通信) - goo ニュース
現職有利の時代が終わり始めた
まず,さいたま市選管発表。
1 松下 ゆたか 無所属 27,448
2 清水 はやと 無所属 155,966
3 中森 ふくよ 無所属 62,991
4 あいかわ 宗一 無所属 98,816
5 たかはし 秀明 無所属 26,397
6 くさかべ 伸三 無所属 32,249
さて,今回の選挙ですが,実は「非常に分析が難しい」のです。政策の違い云々以前に,「人物関係がねじれにねじれている」という,かつての中選挙区のような状態(もっとも,群馬県の選挙って,結構こういう関係が多いのですが・・。)なので,単純に数字で割り切れないものがあります。
まず,単純な話としては,清水氏は民主党推薦,現職の相川氏は自民党と公明党の県連推薦,中森氏は自民党本部が支持ということで,この3人の得票数だけで見たら,「保守分裂」が敗因とも思えます。
しかし,清水氏はこの3月まで自民党に所属しており,それが訳あって自民党を離党し,今度は一転民主党支持に回りました(ちなみに,氏のホームページやマニュフェストにはこのことのいきさつはもちろんのこと,過去に自民党議員として活動してたことを明記していません。一体,どんな理由で離党したのでしょうか?)。っていうことは,離党理由はともかく,組織には「自民党支持」の人も結構いたと思われます。
っていうことは,今回の敗因は「保守分裂」なのですが,一方で「民主党圧勝」と評価するのは極めて眉唾な話とも言えるです。
むしろ,この3氏の投票数をベースに考えると,さいたま市の小選挙区(実際は複数に分かれていますが,説明の便宜上)では,依然として自民党の方が多いといえますし,むしろ自民党圧勝ともいえます。とすると,民主党の超楽観論は実は「超悲観論」であるといえるでしょう。
ただし,こうしたねじれの関係の場合,必ずしも政党の論理が働きません。もっというと,地方選挙の場合,どうしても「政党よりも人」という観点で選ばれることも多いです。
したがって,今回の選挙結果は,そのまま国政イコールにならないといえるでしょう。
むしろ,先週の和光市長選挙もそうですが,最近の主な市長選挙では,結構現職が落選しています。しかも,かなりの大差です。さらに,それら現職は,決して大きなスキャンダルや積極的な批判を受けるような仕事をしていない場合が多いです。さらにさらに,対立候補は,ものすごい著名人というわけではなく,多くは「地道に活動」という人です。
これまでは,このような条件であれば現職が有利,っていうのが相場でしたが,ここ最近では,こうした条件に合致すると現職は大差で落選します。
なぜでしょうか?
ここは,各市の実情によって違うといえばそれまでですが,やはり,大きな要素として,有権者が「脱しがらみ」と「脱利権」,そして「チェンジ」を求め始めたと言えるでしょう。一方で,「既存組織の弱体化」もあるといえます。投票率が低いのに現職が負けるというのは,確実に組織力が低下していることを物語っています。国政選挙において自民党,公明党,民主党が検証すべきは,「組織力」といえるでしょう。もっというと,鉄板の公明党組織力すら怪しくなり始めているのかもしれません。
今後,各市町村選挙が続きますが,やはり現職が勝つためには,「あたりまえのことをしっかりやる」,「しがらみや利権の働かないようにガラス張りにする」,「市民が市政に参加しやすくする」,「財政の健全化をはかり,市民に不安をあたえないようにする」ということをきちんと行う必要があるといえます。「俺は市長だ,文句あるか!」という態度では,もはや当選は難しい時代になってきたと言えるでしょう。
「有権者を奴隷」という態度と,「特的の者と蜜月関係」となった瞬間,落選の推定が働くことになります。まあ,当然っていえば当然なのですが,今まではそれが当然ではなかったのが不思議なくらいです。
肝心なさいたま市自体の分析は今回は難しいでので,今後の地方自治体の選挙一般に対する大雑把な検証ということでしめたいと思います。
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これを受けて,民主党は,衆議院議員選挙へ弾みがつくとコメントし,一方自民党は,この選挙は極めて限定的な減少にすぎないと冷静な対応をしていました。
さいたま市長に清水氏=民主、政令市選2連勝(時事通信) - goo ニュース
現職有利の時代が終わり始めた
まず,さいたま市選管発表。
1 松下 ゆたか 無所属 27,448
2 清水 はやと 無所属 155,966
3 中森 ふくよ 無所属 62,991
4 あいかわ 宗一 無所属 98,816
5 たかはし 秀明 無所属 26,397
6 くさかべ 伸三 無所属 32,249
さて,今回の選挙ですが,実は「非常に分析が難しい」のです。政策の違い云々以前に,「人物関係がねじれにねじれている」という,かつての中選挙区のような状態(もっとも,群馬県の選挙って,結構こういう関係が多いのですが・・。)なので,単純に数字で割り切れないものがあります。
まず,単純な話としては,清水氏は民主党推薦,現職の相川氏は自民党と公明党の県連推薦,中森氏は自民党本部が支持ということで,この3人の得票数だけで見たら,「保守分裂」が敗因とも思えます。
しかし,清水氏はこの3月まで自民党に所属しており,それが訳あって自民党を離党し,今度は一転民主党支持に回りました(ちなみに,氏のホームページやマニュフェストにはこのことのいきさつはもちろんのこと,過去に自民党議員として活動してたことを明記していません。一体,どんな理由で離党したのでしょうか?)。っていうことは,離党理由はともかく,組織には「自民党支持」の人も結構いたと思われます。
っていうことは,今回の敗因は「保守分裂」なのですが,一方で「民主党圧勝」と評価するのは極めて眉唾な話とも言えるです。
むしろ,この3氏の投票数をベースに考えると,さいたま市の小選挙区(実際は複数に分かれていますが,説明の便宜上)では,依然として自民党の方が多いといえますし,むしろ自民党圧勝ともいえます。とすると,民主党の超楽観論は実は「超悲観論」であるといえるでしょう。
ただし,こうしたねじれの関係の場合,必ずしも政党の論理が働きません。もっというと,地方選挙の場合,どうしても「政党よりも人」という観点で選ばれることも多いです。
したがって,今回の選挙結果は,そのまま国政イコールにならないといえるでしょう。
むしろ,先週の和光市長選挙もそうですが,最近の主な市長選挙では,結構現職が落選しています。しかも,かなりの大差です。さらに,それら現職は,決して大きなスキャンダルや積極的な批判を受けるような仕事をしていない場合が多いです。さらにさらに,対立候補は,ものすごい著名人というわけではなく,多くは「地道に活動」という人です。
これまでは,このような条件であれば現職が有利,っていうのが相場でしたが,ここ最近では,こうした条件に合致すると現職は大差で落選します。
なぜでしょうか?
ここは,各市の実情によって違うといえばそれまでですが,やはり,大きな要素として,有権者が「脱しがらみ」と「脱利権」,そして「チェンジ」を求め始めたと言えるでしょう。一方で,「既存組織の弱体化」もあるといえます。投票率が低いのに現職が負けるというのは,確実に組織力が低下していることを物語っています。国政選挙において自民党,公明党,民主党が検証すべきは,「組織力」といえるでしょう。もっというと,鉄板の公明党組織力すら怪しくなり始めているのかもしれません。
今後,各市町村選挙が続きますが,やはり現職が勝つためには,「あたりまえのことをしっかりやる」,「しがらみや利権の働かないようにガラス張りにする」,「市民が市政に参加しやすくする」,「財政の健全化をはかり,市民に不安をあたえないようにする」ということをきちんと行う必要があるといえます。「俺は市長だ,文句あるか!」という態度では,もはや当選は難しい時代になってきたと言えるでしょう。
「有権者を奴隷」という態度と,「特的の者と蜜月関係」となった瞬間,落選の推定が働くことになります。まあ,当然っていえば当然なのですが,今まではそれが当然ではなかったのが不思議なくらいです。
肝心なさいたま市自体の分析は今回は難しいでので,今後の地方自治体の選挙一般に対する大雑把な検証ということでしめたいと思います。
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3代続いた相川一族支配、旧浦和から通算6期という長期政権の弊害は大きいでしょう。加えて私邸隣地のマンション問題や市長の会社「ナンブ」による給食偽装米事件など、およそ為政者としてはふさわしくない所業も市民の反感を買っていましたね。
前回の選挙でも大宮・浦和の対立という矮小化された下馬評通り、中森候補に肉薄されていました。ゆえに「いいタマ」が対抗馬に立ったら当然、そうでなくともあの「郵政選挙の暴風雨」の中勝ち上がった民主小選挙区の2人がいる土壌ではこういう結果になるのは見えていました。
県連会長による「相川のお稚児さん」呼ばわりにもかかわらず県議時代からのしがらみを引きずる武正代議士や原田市議などのあからさまな造反をものともしない圧勝にはさすがの一言です。中間情勢では競っていると記事になっていましたので、おそらくその時点で勝利は見えていたのかと思います。
長年の業者との癒着からくる閉そく感を打破したのは大きいですが、今後4年間の改革をスピーディに進めなければ選挙民の「飽き」は早いはずなので、清水氏にとっては本当にがんばりどころでしょう。
相川市長については,旧浦和市長時代からきな臭い噂はよく耳にしました(ただし,真偽についてはなんともいえませんので,その点についてはあえて触れませんが。)。
いずれにせよ,やはり最近の選挙ブームは,「チェンジ」のようですね。有権者も徐々に投票基準を「しがらみ」から「政策」にチェンジし始めたとも言えるでしょう。
とはいえ,投票率がそれでも低いのは気になります。政治に不満を持っている人がかなりいるのに,選挙に行かないというのは,まさに「自分は奴隷でいい」と思っているに等しい行為です。与党,野党支持に関係なく,選挙は行くべきです。そして,その一票こそが,チェンジのきっかけにもなりうるし,逆に「過度のチェンジ阻止」にもなりうると思います。
次の課題は投票率の向上ですね。