あれは,あれで良いのかなPART2

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総選挙,自公安泰,立憲躍進,希望は絶望へ

2017年10月22日 23時15分49秒 | 政治・選挙
衆議院議員総選挙の開票が始まりました。
今のところ,自公は若干議席を減らしたものの,3分の2近くをほぼ確保できる状況となり,引き続き絶対多数の国会運営が可能となる見込みです。
一方,野党は,立憲民主党が大躍進し,55席前後を獲得できる見込みとなり,野党第一党となります。反面,希望の党は,50席を切る可能性もあり,いわゆる小池旋風は完全に吹き止んでいるという状況です。
投票率ですが,台風の影響があったものの,前回より約2%程度高い54%程度の見込みです。

台風だった割には,正直,自公は苦戦した

今回も,中立的に分析等をしていきたいと思います。
といいつつ,第一感としては,「台風なのに,前回より投票率が上がってよかった」というところですが,それでも54%程度だと組織票が強いレベルなので,自公圧勝だろうと思っていました。ところが,いざふたを開けてみると,予想以上に自公候補者が苦戦しており,勝ったとしても,接戦の選挙区が結構多いということがうかがえます。浮動票が少ない選挙であった割には,接戦になったというのは,浮動票の多くは,非自公候補者に流れたのであろうということが推測されます
つまり,今回の選挙は,やはり自公政権に対する批判的な有権者が多かったともいえるでしょう。
「いやいや,選挙は勝てば官軍だろう」という評価もされるかもしれませんが,実は「どうやって勝ったか」というのも重要なのです。ぶっちゃけていうと,楽勝で勝つと,結構だらけた政治家になることが多く,過去のいわゆる**チルドレンなどと呼ばれる政治家の多くも,楽勝当選者が多かったです。ところが,接戦で勝つと,次回リアルにやばいっていう危機感を持ちますので,政治活動もかなり気合を入れてやってきます。
そういう意味では,接戦選挙区が多いというのは,その選挙区で与野党どちらが勝ったとしても,次の選挙までは結構気合入れて政治活動をしてくれるのではないかと思います。

さて,今回の選挙結果から見えてくることを少し述べたいと思いますが,池上彰さんらがいうであろう定番の話は,そちらに譲って,ちょっと違う角度から分析的な話にしていきます。

1 有権者は財政再建(緊縮財政)よりも積極財政を望んでいる
  これは,今回の日本の選挙に限った話ではなく,世界的に見ても,また歴史的に見ても,同じような傾向があります。
  結局,有権者としては,緊縮財政によって生活が不便になるのはまっぴらごめんだ,ということを考えやすいのです。ある意味,当然の選択肢になるでしょうから,世界的,歴史的にもそちらを選びやすいのです。
  今回,解散の大義は,「消費税増税を財政再建から教育福祉に回す」ということへの是非が問われるもので,それに対し,各党さまざまな主張をしてきましたが,財政再建の具体策を明確に説明している党はほとんどありませんでした。各党も,財政再建は形式的には述べているものの,実質的には各種政策を実施するためには,積極財政にせざるを得ないということから,あまり前面に出せないのかもしれないのではないかと推測されます。
  いずれにせよ,与野党の現状を見る限り,財政再建という国難は遠のいたかな,っていう感じが否めません。

2 森友加計問題は,しょせん週刊誌ネタ
  野党各党はこの問題をテーマに掲げてきましたが,今一つ選挙結果に反映しませんでした。
  正直,この問題は,争点がぶれまくってきており,何が問題だったのか,実は訳が分からなくなっている状況にあります。
  なので,これは選挙の争点として考える有権者は少なかったのだろうと思います。
  だとすると,今後の国会運営でも,この問題はトーンダウンするだろうと思います。

3 今回も基本的には野党自滅型,ただし,希望の党は民進党再編という役割を担った
  野党共闘は,希望の党の出現により,崩壊しました。非自公という受け皿が複数となった選挙区が多かったこともあったので,野党共倒れしたという選挙区も多かったというところもあります。
  一方,希望の党は,この後説明するような敗因があるものの,一方で,これまで烏合の衆だった民進党を事実上解党し,保守派とリベラル派に分けることで,立憲民進党が一枚岩の政党になったという成果は上げたといえます。良くも悪くも,民進党再編に希望を与えたのが希望の党だった,っていうことになります。

4 立憲民主党は,判官贔屓と分かりやすい反政権がうけた
  今回,枝野代表は,小池代表に蹴っ飛ばされた悲劇のヒーローという図式になりました。これ,まさに日本人が大好きな「判官贔屓」ということで浮動票を集まりやすかったのかと思います。
  また,民進党と比べて,野党の中でも立ち位置が結構明確になったというところがあり,特に反政権としての立ち位置をはっきりしたことで,これまた非自公票の受け入れ先になりやすかったのだといえます。ここは希望の党の不透明な立ち位置とは真逆の対応が明暗を分けたといえるでしょう。

5 希望の党は風頼みすぎた
  希望の党は,都議選の風がまだ吹いていると見誤ったところが大きな敗因です。
  急ごしらえで人を集める必要があったことで,政策が二の次になっていたところは否めません。
  また,民進党からの合流者の選別をしたことで「冷たい」というイメージを有権者に与えてしまったこと,また当選後の思惑(自民党にくっつくのか,野党側にくっつくのかなど)が不透明だったことから,有権者としては,自公政権を補完するのか,それとも敵対するのか分からないということで,批判票の受け皿になりえなかったというところも大きいのだろうと思います。
  いずれにせよ,風が吹いているから多少は大丈夫だろうと過信したところが失敗の原因だといえます。
  こうなると,今後,離党して立憲民主党に移るという節操なし議員が結構出てくるんじゃないかというところが注目ポイントになるでしょう。

6 野党第一党が立憲民主党となると,自公政権も雑な政権運営はできない
  国会は数の論理ですが,永田町の論理シリーズで,国会運営は野党第一党とある程度調整しながら進めていくというものがあります。これをきっちりやらないと,強行採決オンパレードになりますし,強行採決は,有権者からの評判を悪くするので,政権与党としても避けたがります。
  当初の思惑は,希望の党が野党第一党になる見込みであったので,自公幹部の思惑としては,楽勝な国会運営というところでかなり余裕かましていましたが,立憲民主党が野党第一党となると,旧民主党よりも結構厳しいことを言ってくるでしょうから,自公も思うほど好き勝手はできないということになるでしょう
  これを,自公支持者側から見ると,「なんでもっとさくさく政権運営をしないんだ」と歯がゆく思う場面も増えてくるかもしれません。

7 大混乱の野党再編劇が起こりうる
  前記のとおり,希望の党失速と,立憲民主党大躍進により,まず希望の党から多くの離党者が立憲民主党に鞍替えすることが考えられます。枝野さんとしては,よほどでない限りウエルカムになるでしょう。
  ただ,そうすると,前の民進党に戻るだけで,立憲民主党たる動きができなくなるリスクも出てきます。
  一方,維新の会は,橋下弁護士亡きあとはじり貧の状態になっていますので,どこかと統合ということが出てきますが,共産党嫌いな人たちの集まりなので,そこと共闘している立憲民主党と合流という選択肢はとれないでしょう。そうすると,希望の党と合流なんていうことも考えられますが,このあたりは,そんなにきれいにいかず,しばらくは混迷を極めるかもしれません。
  あとは,自民党側の動きですが,当面,野党再編に合流する人は出てこないと思いますが,党内の反安倍グループが今後党内でどういう動きをしてくるかというところは,若干注目に値するでしょう。

以上,ざっくりした分析と展開です。
今回の選挙は,本当に予想外の展開が多かったです。とはいえ,今後,安全保障政策や憲法改正問題など,今まで目を背けてきた問題に対し,真正面から考えなければならないテーマなども国会で論議されてきます。もちろん,選挙公約の教育福祉の向上問題も,実現可能性なども含め,真っ向から議論が進んできます。
政権与党たる自公がどのような国会運営をしていくのか,野党各党がそれに対してどのような議論や対案を示すのかというところを有権者としてよく見ていき,次回の選挙でその評価を下すという姿勢で臨んでいくことが我々にとっても大切だといえます。
以上,総選挙短評雑評でした。

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