TBS系列で放送していたドラマ「白夜行」が結構評判がいいようですね。
私はこのドラマ全く見ていませんでしたが,妻が全部見ていて,最後は号泣していました。
可哀想な話やなあ
見ていないドラマに対して良し悪しをいうことは失礼に当たりますのでここでは触れません。
そこで,食いっかじりで聞いた話をベースに,法律的にこのドラマをいじってみたいと思います。もっとも,まじめに突っ込むとそもそもドラマなんて成立しないことになりますが,その点はシャレですから,お気楽に!
1 亮司と雪穂の親殺し事件の処分はどうなったか
彼らは11歳の時に親殺しをやっており,それを逃れるために15年の時効完成までどうにかしよう,というのがこのドラマのメインです。
ただ,実際は,15年も逃げるより,11歳の段階で自首した方が,よっぽどましでした。
11歳で犯した殺人は,少年法でいう「触法少年」に該当し,刑罰は受けることなく,処遇としては児童自立支援施設に送致される程度です(長崎の同級生殺人事件を思い出して貰えれば良いでしょう)。警察は,強制捜査はできず,逮捕もできません。
自立支援施設であれば,2年程度で戻れます。しかも,雪穂についてはそもそも両親がいなくなり,その後しばらく施設かどこかにいたわけですから,とっとと自首した方が本当に良かったといえます。
まあ,これいったら,ドラマ終わっちゃいますが(^_^;)
2 雪穂の義母(唐沢礼子)の身分
おそらく,「未成年後見人」であり,名字が代わったところを見ると,養子縁組をしたと思われます。
未成年者の両親(親権者)がいなくなった場合,親権者に代わって未成年後見人を家庭裁判所が選任することになります。彼女はこの申立を裁判所にして,同時に養子縁組許可の申立も裁判所にして,彼女を向かい入れたことになります。
3 雪穂の離婚,本当に慰謝料とれるか?
もし,このケース,本気で相手が争った場合,判決では離婚と幾ばくかの財産分与しか認めず,慰謝料は取れなかったでしょう。なぜなら,破たん原因が専ら雪穂側にあるからです。場合によっては,離婚を認めない判決になったかもしれません。
仮に,裁判所が偽装暴力を見抜けなかったとしても,このケースでは慰謝料は50万円程度にしかならないと思われます。
一方,財産分与は,結婚後に取得した財産を半分ずつにするものですが,婚姻期間が短いことを考えると,せいぜい100万,200万円程度にしかならないと思われます。むしろ,逆に雪穂も仕事をしていたわけですから,その間の自分の収入の半分は財産分与の対象となります。
とすると,トータルではほぼチャラか本当に気持ち程度しか財産分与も貰えないでしょう。そして,弁護士費用のことを考えると,結果的に手元に残るお金はない可能性が極めて高いです。
以上から,売春結婚は,思ったほど儲からないのが実情です。
4 会社の情報を盗んだ行為が営業不正取得罪?
まず,そんな罪ありません。
雪穂が会社のIDを盗み,それを亮司に渡し,彼がそこから特許データを取得しています。
とすると,雪穂に「不正アクセス禁止法違反」が成立しますが,亮司は何ら罪に問われません。
実は,情報窃盗は,今の日本では不可罰なのです。ただし,民事的には損害賠償を請求されることは当然あります。
何とか立法的措置をしてよ!!
5 亮司や松浦の犯罪はどう処理されるか
雪穂の証言をすべて警察が信じたとした場合,この一連の殺人事件等の犯人は亮司(古賀刑事殺しは松浦)として処理されます。
警察では,「被疑者死亡」として検察庁に書類送検し,検察庁では,被疑者死亡により起訴せず,として終了します。
これで何かない限りは,雪穂は事実上安泰となります。
6 逆にすべての事件について警察が再捜査をはじめたらどうなったか
理論的には,雪穂は実母殺人(11歳の時ですが,既に成人になっているため,少年法は適用されず,普通の刑事事件になっちゃいます。だから,11歳の時に自首しておけば良かったのに!)以外は,亮司の事件についての教唆または幇助となります。
しかし,教唆や幇助は証拠の関係から立件が極めて難しく,しかも犯人や関係者はほとんど死んでいることからすれば,おそらく立件は無理でしょう。また,実母の事件も,仮に雪穂が自白したとしても,それを裏付ける証拠が全く残っていない以上,立件は不可能です。
よって,どっちにしても雪穂は逮捕起訴される可能性は低いでしょう。
7 お店がつぶれた雪穂はどうした
おそらく「自己破産」をしたでしょう。
裁判所に破産申立をして,それが認められたことになります。ただし,義母から相続した自宅やその他財産が多かったことから,管財人がついた可能性が高いです。
とすると,財産の清算などに時間がかかることから,2006年11月11日現在,まだ破産処理の最中であった可能性が高いでしょう。
ちなみに,破産により借金はなくなりますが,自分の財産もほとんどなくなります。したがって,安いアパートで質素に生活し,生活費を稼ぐために仕事をしなければなりませんが,生ける屍とかした彼女を採用する会社やパート先はないでしょう。
とすると,結局は,実母のようなその日暮らしな生活を余儀なくされることでしょう。
ありゃ,法律的に見ても,雪穂は結局忌み嫌っていた母親と同じ道を歩んじゃうのですねえ(^_^;)。
とまあこんな感じです。おそらくまじめにドラマを見ていたら,もっと突っ込みどころがあったかと思いますが,一応ドラマをいじって遊ぶという観点から書いてみましたので,平にご容赦をm(__)m
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私はこのドラマ全く見ていませんでしたが,妻が全部見ていて,最後は号泣していました。
可哀想な話やなあ
見ていないドラマに対して良し悪しをいうことは失礼に当たりますのでここでは触れません。
そこで,食いっかじりで聞いた話をベースに,法律的にこのドラマをいじってみたいと思います。もっとも,まじめに突っ込むとそもそもドラマなんて成立しないことになりますが,その点はシャレですから,お気楽に!
1 亮司と雪穂の親殺し事件の処分はどうなったか
彼らは11歳の時に親殺しをやっており,それを逃れるために15年の時効完成までどうにかしよう,というのがこのドラマのメインです。
ただ,実際は,15年も逃げるより,11歳の段階で自首した方が,よっぽどましでした。
11歳で犯した殺人は,少年法でいう「触法少年」に該当し,刑罰は受けることなく,処遇としては児童自立支援施設に送致される程度です(長崎の同級生殺人事件を思い出して貰えれば良いでしょう)。警察は,強制捜査はできず,逮捕もできません。
自立支援施設であれば,2年程度で戻れます。しかも,雪穂についてはそもそも両親がいなくなり,その後しばらく施設かどこかにいたわけですから,とっとと自首した方が本当に良かったといえます。
まあ,これいったら,ドラマ終わっちゃいますが(^_^;)
2 雪穂の義母(唐沢礼子)の身分
おそらく,「未成年後見人」であり,名字が代わったところを見ると,養子縁組をしたと思われます。
未成年者の両親(親権者)がいなくなった場合,親権者に代わって未成年後見人を家庭裁判所が選任することになります。彼女はこの申立を裁判所にして,同時に養子縁組許可の申立も裁判所にして,彼女を向かい入れたことになります。
3 雪穂の離婚,本当に慰謝料とれるか?
もし,このケース,本気で相手が争った場合,判決では離婚と幾ばくかの財産分与しか認めず,慰謝料は取れなかったでしょう。なぜなら,破たん原因が専ら雪穂側にあるからです。場合によっては,離婚を認めない判決になったかもしれません。
仮に,裁判所が偽装暴力を見抜けなかったとしても,このケースでは慰謝料は50万円程度にしかならないと思われます。
一方,財産分与は,結婚後に取得した財産を半分ずつにするものですが,婚姻期間が短いことを考えると,せいぜい100万,200万円程度にしかならないと思われます。むしろ,逆に雪穂も仕事をしていたわけですから,その間の自分の収入の半分は財産分与の対象となります。
とすると,トータルではほぼチャラか本当に気持ち程度しか財産分与も貰えないでしょう。そして,弁護士費用のことを考えると,結果的に手元に残るお金はない可能性が極めて高いです。
以上から,売春結婚は,思ったほど儲からないのが実情です。
4 会社の情報を盗んだ行為が営業不正取得罪?
まず,そんな罪ありません。
雪穂が会社のIDを盗み,それを亮司に渡し,彼がそこから特許データを取得しています。
とすると,雪穂に「不正アクセス禁止法違反」が成立しますが,亮司は何ら罪に問われません。
実は,情報窃盗は,今の日本では不可罰なのです。ただし,民事的には損害賠償を請求されることは当然あります。
何とか立法的措置をしてよ!!
5 亮司や松浦の犯罪はどう処理されるか
雪穂の証言をすべて警察が信じたとした場合,この一連の殺人事件等の犯人は亮司(古賀刑事殺しは松浦)として処理されます。
警察では,「被疑者死亡」として検察庁に書類送検し,検察庁では,被疑者死亡により起訴せず,として終了します。
これで何かない限りは,雪穂は事実上安泰となります。
6 逆にすべての事件について警察が再捜査をはじめたらどうなったか
理論的には,雪穂は実母殺人(11歳の時ですが,既に成人になっているため,少年法は適用されず,普通の刑事事件になっちゃいます。だから,11歳の時に自首しておけば良かったのに!)以外は,亮司の事件についての教唆または幇助となります。
しかし,教唆や幇助は証拠の関係から立件が極めて難しく,しかも犯人や関係者はほとんど死んでいることからすれば,おそらく立件は無理でしょう。また,実母の事件も,仮に雪穂が自白したとしても,それを裏付ける証拠が全く残っていない以上,立件は不可能です。
よって,どっちにしても雪穂は逮捕起訴される可能性は低いでしょう。
7 お店がつぶれた雪穂はどうした
おそらく「自己破産」をしたでしょう。
裁判所に破産申立をして,それが認められたことになります。ただし,義母から相続した自宅やその他財産が多かったことから,管財人がついた可能性が高いです。
とすると,財産の清算などに時間がかかることから,2006年11月11日現在,まだ破産処理の最中であった可能性が高いでしょう。
ちなみに,破産により借金はなくなりますが,自分の財産もほとんどなくなります。したがって,安いアパートで質素に生活し,生活費を稼ぐために仕事をしなければなりませんが,生ける屍とかした彼女を採用する会社やパート先はないでしょう。
とすると,結局は,実母のようなその日暮らしな生活を余儀なくされることでしょう。
ありゃ,法律的に見ても,雪穂は結局忌み嫌っていた母親と同じ道を歩んじゃうのですねえ(^_^;)。
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