民主党が,次の総選挙のマニュフェストに「世襲議員の立候補制限法制化」を盛り込むことを検討しているとのことです。また,自民党でも,菅選対副委員長が世襲制限について言及していますが,党内から「憲法違反だ」「世襲議員でもまじめにやっている議員は多い」などの苦言を呈されているなど,調整には時間がかかりそうな状況です。
「世襲」衆院選の争点に急浮上(読売新聞) - goo ニュース
世襲=悪,じゃないようなあ・・
この問題,なにかずれているような気がします。
確かに,世襲議員は,選挙戦はものすごく優位に戦えます。なぜなら,地盤,カバン,看板の「3バン」を完全に引き継ぐわけですから,当然「ハンディキャップレース」となる以上,必然的に勝ちやすくなります。
ただ,世襲議員といえども,選挙区内でほぼ100%の支持を得ているという議員はかなり少なく,実際は,有権者の2割程度の「特定の組織や団体」の支持が強固である,という場合がほとんどです。そうであるとすれば,仮に世襲議員であるといえども,たいした活動をしていないのであれば,投票率が100%近くになればおよそ当選はできないのです。
しかし,現実の投票率は50%を切っています。っていうことは,実は世襲議員を容認しているのは,他ならぬ「有権者自身」なのです。
しかも,仮に世襲制限をしたとしても,どうせ脱法行為が横行し(例えば,世襲Aと世襲Bが隣どおしで国替えをして,相互に応援するなど),制限したことが有名無実化することは目に見えています。これまでに,政治家が自分たちを規制する法律を作って,それをきれいに遵守しているという光景はほとんど見たことがないでしょう。
むしろ,大切なことは,世襲の有無というよりも,「そいつを選ぶかどうか」という有権者が,もっとたくさん投票するようにすれば良いだけのことです。
ただ,ここで必ず出る問題が,「だって,魅力的な候補者がいないから投票しない」っていう抗弁です。
これについては,「世の中,自分と100%同じ考えの人なんかいないのだから,最大公約数で自分の考えに近い人を選べばいい。」と私は主張しています。
とはいえ,実質二大政党になる現状において,候補者自体も少なく,選択肢が制約されることも事実です。
実は,今の公職選挙法は,以前も書きましたとおり,「新規参入が極めて困難」なのです。だから,たとえやる気があって,良い政策を持っていたとしても,立候補することができない,または立候補しても,とても選挙活動までこぎ着けないという場合が多いのです。
新規参入を阻害するものはたくさんありますが,一例をあげれば,「事前活動の禁止(ただし,政党の場合は政治活動という名目で可能)」,「巨額の供託金」,「ビラ配布や戸別訪問の禁止」,「運動員への報酬制限」などの法律上の問題と,実質上の問題として「会社の退職」,「敗戦時の報復」などがあげられます。
後者の実質上の問題はともかく,前者の法律上の問題については,もともと「金のかかる選挙」を抑制するための規制でしたが,それが逆に足かせになっているのです。むしろ,政党所属の場合,いろんな抜け穴もありますので,それだけで相当なアドバンテージとなります。
世襲を制限するのであれば,それよりも「もっと魅力的な候補者が出やすい環境を作る」という方が本来的なのではないでしょうか。
ただ,この問題,おそらく解決は困難でしょう。組織力の強い自民党の場合,立候補の制限を緩くすると,もともと組織の中に「大物」がかなり存在している訳ですから,そこから謀反のごとく立候補される懸念があるからです。一方,民主党は,自民党が検討していた供託金引き下げに消極的でした。それは,「候補者が増えるとその分浮動票を持って行かれて小選挙区での勝利は絶望的になる」という点を懸念しているからです。
そして,なによりも,全党とも,国民が徐々に「脱,政党政治」にシフトしつつある中,無所属有力者が相次いで出馬されることに対する警戒心が強いといえます。
自民党でも民主党でも良いのですが,世襲制限だけでなく,「自由な立候補」ができる選挙法改正をマニュフェストに掲げてくれれば,私はその党に投票するかもしれません。
あ,そうか,もしそれで法改正があれば,きっとその次からは「無所属候補者」を選ぶ可能性が高いですね・・。
こりゃ,ますます法改正は絶望的ですね!
ただ,どっちにしても,世襲制限のことが仮にマニュフェストに載った場合はよーくチェックしてみましょう。案外,「穴が多い」可能性がありますよ。時期が不明確だったり,範囲があいまいだったり。
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世襲=悪,じゃないようなあ・・
この問題,なにかずれているような気がします。
確かに,世襲議員は,選挙戦はものすごく優位に戦えます。なぜなら,地盤,カバン,看板の「3バン」を完全に引き継ぐわけですから,当然「ハンディキャップレース」となる以上,必然的に勝ちやすくなります。
ただ,世襲議員といえども,選挙区内でほぼ100%の支持を得ているという議員はかなり少なく,実際は,有権者の2割程度の「特定の組織や団体」の支持が強固である,という場合がほとんどです。そうであるとすれば,仮に世襲議員であるといえども,たいした活動をしていないのであれば,投票率が100%近くになればおよそ当選はできないのです。
しかし,現実の投票率は50%を切っています。っていうことは,実は世襲議員を容認しているのは,他ならぬ「有権者自身」なのです。
しかも,仮に世襲制限をしたとしても,どうせ脱法行為が横行し(例えば,世襲Aと世襲Bが隣どおしで国替えをして,相互に応援するなど),制限したことが有名無実化することは目に見えています。これまでに,政治家が自分たちを規制する法律を作って,それをきれいに遵守しているという光景はほとんど見たことがないでしょう。
むしろ,大切なことは,世襲の有無というよりも,「そいつを選ぶかどうか」という有権者が,もっとたくさん投票するようにすれば良いだけのことです。
ただ,ここで必ず出る問題が,「だって,魅力的な候補者がいないから投票しない」っていう抗弁です。
これについては,「世の中,自分と100%同じ考えの人なんかいないのだから,最大公約数で自分の考えに近い人を選べばいい。」と私は主張しています。
とはいえ,実質二大政党になる現状において,候補者自体も少なく,選択肢が制約されることも事実です。
実は,今の公職選挙法は,以前も書きましたとおり,「新規参入が極めて困難」なのです。だから,たとえやる気があって,良い政策を持っていたとしても,立候補することができない,または立候補しても,とても選挙活動までこぎ着けないという場合が多いのです。
新規参入を阻害するものはたくさんありますが,一例をあげれば,「事前活動の禁止(ただし,政党の場合は政治活動という名目で可能)」,「巨額の供託金」,「ビラ配布や戸別訪問の禁止」,「運動員への報酬制限」などの法律上の問題と,実質上の問題として「会社の退職」,「敗戦時の報復」などがあげられます。
後者の実質上の問題はともかく,前者の法律上の問題については,もともと「金のかかる選挙」を抑制するための規制でしたが,それが逆に足かせになっているのです。むしろ,政党所属の場合,いろんな抜け穴もありますので,それだけで相当なアドバンテージとなります。
世襲を制限するのであれば,それよりも「もっと魅力的な候補者が出やすい環境を作る」という方が本来的なのではないでしょうか。
ただ,この問題,おそらく解決は困難でしょう。組織力の強い自民党の場合,立候補の制限を緩くすると,もともと組織の中に「大物」がかなり存在している訳ですから,そこから謀反のごとく立候補される懸念があるからです。一方,民主党は,自民党が検討していた供託金引き下げに消極的でした。それは,「候補者が増えるとその分浮動票を持って行かれて小選挙区での勝利は絶望的になる」という点を懸念しているからです。
そして,なによりも,全党とも,国民が徐々に「脱,政党政治」にシフトしつつある中,無所属有力者が相次いで出馬されることに対する警戒心が強いといえます。
自民党でも民主党でも良いのですが,世襲制限だけでなく,「自由な立候補」ができる選挙法改正をマニュフェストに掲げてくれれば,私はその党に投票するかもしれません。
あ,そうか,もしそれで法改正があれば,きっとその次からは「無所属候補者」を選ぶ可能性が高いですね・・。
こりゃ,ますます法改正は絶望的ですね!
ただ,どっちにしても,世襲制限のことが仮にマニュフェストに載った場合はよーくチェックしてみましょう。案外,「穴が多い」可能性がありますよ。時期が不明確だったり,範囲があいまいだったり。
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