早打ちマック

名刺交換は、まさに西部劇そのものだ。

やるか、やられるか。
どちらが早く抜けるかの真剣勝負。
先に名刺ケースに手をかけながら、遅出しの相手に差出し負けた
屈辱といったらない。

初対面の相手には常にピリピリとした緊張を伴う。
”こいつは、敵か、味方か？
　　　抜くのか、抜かないのか！”


当然ながら、不意打ちや誤射も多い。
こちらは一度会ったことを覚えていて、
前に名刺を頂戴しているのでボ～っと気を抜いていると
間合いに飛び込んだ瞬間に撃たれることもある。

また、双方一度会ったきりぐらいの関係だと、
まさに心理戦の様相を呈す。
うっかり、胸ポケットから手帳やペンを取り出そうと
しようものなら、容赦なく抜かれる。
思わず、『あ、えっ、あ、ああ...』とどもって
名刺ケースを取り出しなおす気まずさ...。


さらに、向けた銃口に
『この前、頂きましたよね』と誤射を指摘されたときは
本当にハズカティ...



かつて、ヤスオ・タナカという有名なガンマンが
長野県にいた。
彼は乱射はしたが、実は抜くのは遅かった、という人もいるが
今となっては、もう伝説の人である。
あなたの周りにも、”早撃ちマック”はいないだろうか？