
朝7時。
携帯電話の「ぺールギュント・モロッコの朝」で起こされる。
それでも、床を出るのは7時半過ぎ。
勢い良く掛け布団を跳ね上げる。
窓という窓を開け放つ。
寒い朝でも、暑い朝でも、
晴れた日も、雨の日も。
清々しい朝の風が部屋を通り抜ける。
炊飯器のスイッチを入れ、
寝巻きをベランダに干し、
歯を磨き、
風呂場へと駆け込む。
洗濯の日は洗い物を集めて洗濯機を回す。
シャワーが身体を洗う。
忘我のひととき。
昨夜の夢も、昨夜の悩みも、
過去の悔悟も、未来への不安も、
シャワーに流されてゆく。
新しい朝が始まる。
神棚、火の神様、玄関を守るシーサーに
朝の挨拶をし、水を替え、きょう一日のご加護を祈る。
由布子、アコ、モコ、
そして、気になる人たちのご加護を祈る。
やがて、飯が炊ける。
湯を沸かし、仏壇の花の水を替える。
お仏飯を盛り、新しく茶を注ぎ、仏壇に供える。
インスタントだけど親父の好きだったコーヒーも淹れて供える。
仏前に座り、鉦を叩く。
心安らかなとき、乱れのないとき、鉦の音は透明に響いて、家を駆け抜ける。
鉦の音が濁るとき、割れるとき、快く透明に響くまで繰り返す。
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
「おはようございます」
父に母に、幼くして他界した兄に朝のあいさつ。
そして、朝食。
味噌汁と白菜やきゅうり、なすの一夜漬けに昨夜の余りもの。
ゆふこ、
これがわたしの一日の始まりです。