常夏・常春の国だ。1月下旬なのにつわぶきは咲いている。
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「帰ったぞ!」
小さな螺旋階段を2階まで昇り。ドアを叩く。
誰もいないさ!ひとり笑ってドアを開ける。
脚元tがふらつく。
倒れそうになりながら、何とか靴を脱ぎすてる。
「帰ったぞ!」
誰も出てこない。
「何してんだ、こんなに酔って」
云ってくれる親父もいない。
「どうしたの?何かあったの?」
心配してくれるおふくろもいない。
「何よ、いつも酔っ払って!」
邪険に迎える妻もいない。
「お父さん、みっともないことやらないで!」
悲しい顔をする娘もいない。
「だらしないなあ、親父はーーー」
という息子ももいない。
誰もいない。
だ~れもいない。
ごきぶりでもいいから出て来て俺の踵でもかじれ!