おかあさんのうた

どこをどう歩いてきたんだろう。
おかあさん、子供たちよ。
あのぬくもりはもう帰っては来ないのだろうか。

帰りたい

2011-05-21 22:02:06 | 随筆
 あいたい。

あいたい。

遊びになど、どこにも行きたくない。

飲み屋なんて、居酒屋なんてどうでもいい。

でも、誰も止めてくれない。
 
 由布子、

お前がいれば、おれはどこにも行かない。

でも、お前はいない。

俺はどこで、どうしていればいいのか。

だれかが、なにかがおれをドアの外に引きずり出してゆく。

なんだこれは、だれだこれは。

でも行かなくちゃいけないみたいだよ、由布子。

このテーブルも、テレビさへもおれを留めてくれない。

行きたくないというこのおれの気持ちさへもだれも引き止めてくれない。

 由布子。

おまえがいればおれはきっと静かにテレビをみているよ。

おまえが少しばかりのお酒を温めてくれたら、沢庵で酒飲みながら

好きな本を読んでいたよ。

 くそったれ!

愚痴ばっかりいいやがって!

だれがこうした、だれの所為でこうなった!

手前じゃねえか!


 わかってるよ。

そうだよね。

そうなんだ。

由布子、おまえと話ができるならなんでもやるよ。

おまえの声がきこえるよ。

ききたい!

おまえのもとへかえりたい。