おとうさんが住んでいるこの島は梅雨が明けたよ。
そちらは大雨のようだね。
川の土手は大丈夫かい?
今朝から夏雲が眩しい。
アコが小学校3年生だったかな、モコが1年生。
あの日も暑かったね。
夕暮れ、3人で川に魚釣りにいっただろう、覚えているかい。
モコはたくさん釣ってはしゃいでいたね。
アコは竿さへ持たなかった。
バケツに入れて、家の前の小川に放してやったら、
アコはとても喜んでいたね。
おとうさん、あの事を思い出しながらこれを書いている。
涙が出てくる。
なぜ、もっともっと、お前たちと遊ばなかったんだろう。
仕事ばかりの所為にして、自分ばかり楽しんでいた。
「プールに連れて行って!」
休みが来ると縋りつかれてせがまれた。
仕事だといって、職場仲間のマージャンに出かけた。
おかあさん、何も言わずに家事に追われていた。
断ることが出来たのにーーー。
マージャンしても楽しくなかった。
ひと時もお前たちの姿と
何も云わずにじっとみつめて送ってくれたおかあさんの顔が浮かぶ。
こんな日はどうしていいかわからなくなる。
居ても立ってもおれなくなる、平穏な日であればあるほど。
アコ、
モコ、
プールに行こう!
お前たちの好きなホウセンカがもう咲いている。