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とうとう我が県でも見つけちゃった。マメヅタちゃん。大好きなのだマメヅタ。県外では普通に見られるのだが、こちらではあまり見かけたことがなかった。しかし意外に近くにあるということで、ある秋晴れの昼下がり探しに行くこととなった。
滝のそばだという。道行く人に尋ね、向かう。腰掛けて鮎を次から次へとどんどん焼いて日干ししているおっちゃんにも聞いた。なんとか滝どこですか?う~ん、香ばしき香り。あまりの鮎の干物の多さに気を取られ、右に回るとか、左に向かうとか忘れてしまった。しかし、田舎の一本道どうにかこうにか目的地を発見。一級河川を挟んで鬱蒼とした所に滝出現。それほど広くないところだが、不動明王と刻んである苔むした石柱。小さな祠とか首無し地蔵とか傍らにあり、あらたかな場所のようだ。首無し地蔵で思い出す。枝雀の恐怖感と滑稽とないまぜになった落語。あの地蔵さんもこんなんだったのかのう。まずは手を合わせて南無阿弥陀仏。私は神様でもどこでも南無阿弥陀仏。そして、あった
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滝のほとばしるしぶきを受けてマメヅタが葉緑素いっぱいためて青々と生えていた。並んで生えていた。向こう側のせりだしている樹の上にも点々と緑が見える。ゆであげた枝豆のように美味しそう。まわりを木々に囲まれ鬱蒼とした中のそれほど高くない滝だが、見上げるとわずかなこもれびを受けて小さな虹の鳥居が出現。そして、マメヅタはこの一角にだけあちこちに生えている。他のシダもある。イブキシダ、カナワラビ(鋼のような触り心地と照り)、オニヤブソテツ、オクマシダ、チャセンシダ。少し植物探索。
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しばらく歩いてみるとアレチウリに覆われた斜面。実ができている。ウリとは名ばかりの多面体のひっつきたいひっつきたい長めのトゲトゲでおおわれた種。雄花と雌花が別れている。径1㎝ほどの雌花の花、まるで小さなミニチュア花手鞠、名人の根付を彷彿とさせるような緻密な華麗さ。脳みそがひっくり返るような喜びを与えてくれる自然の造形美だ。アレチウリの売りは雌花と実だ。しかし人間世界では嫌われ者かも・・・。