私の記憶では、それは遠い日のことでございます。
アル、かすとり雑誌に心を奪われたのです。その中の白肌に食い込む縄。
わたしにとっては、性欲なんかよりも、心の中の美しさに魅了したのでございます。
桜色に、食い込む肉の間のため息が聞こえてきそうで、ときめきをおぼえました。
まだ、17の歳でした。もちろん、それが美しいものを、壊してしまう快楽と知りえない歳でした。
胸の中で、こんな世界がきっと訪れて、私をとりこにしてしまうそんな気がしました。
人間は、美しいものをこわしてみたい。
男ならなおさら、美しいものを、穢れた世界に導いてみたい、子宮の奥底の叫びをきいたようでした。
美しい写真に、そのみだれたくちびるに、食い込んだ胸に、なんだか知らない世界をかいまみたようで、
それから、私は普通の人の人妻になりました。
出会いなどはないものとあきらめて、平凡な毎日を過ごしておりました。
少しばかり退屈な日々を送る毎日で、17歳のときときめいた心は、ひそかにしずかに美しく燃えていました。
人間の美しさには、ふたとうりある。それは形の美しさと、その形を崩してゆくはかないうつくしさがあると、
落ちてゆく人間の美しさは、はかりしれないものでした。
私は、今でもあのことは、後悔なんてしていない、墓場まで秘密にしておこうと思いました。
わたしは、今では要望の衰えた只の老婆なのですが、そんな私にもうつくしいときがございました。
人妻は、輝いて見えるものそれは人に愛されて、守られてしあわせになるからでございましょうか?!
それとも、いつも危険なにおいと、昼間の淑女のようなつつましさのなかに、夜の闇に潜むみだらな野獣のような、
正反対な不可思議な、危険な形のないものだったからでしょうか。
つづく。
アル、かすとり雑誌に心を奪われたのです。その中の白肌に食い込む縄。
わたしにとっては、性欲なんかよりも、心の中の美しさに魅了したのでございます。
桜色に、食い込む肉の間のため息が聞こえてきそうで、ときめきをおぼえました。
まだ、17の歳でした。もちろん、それが美しいものを、壊してしまう快楽と知りえない歳でした。
胸の中で、こんな世界がきっと訪れて、私をとりこにしてしまうそんな気がしました。
人間は、美しいものをこわしてみたい。
男ならなおさら、美しいものを、穢れた世界に導いてみたい、子宮の奥底の叫びをきいたようでした。
美しい写真に、そのみだれたくちびるに、食い込んだ胸に、なんだか知らない世界をかいまみたようで、
それから、私は普通の人の人妻になりました。
出会いなどはないものとあきらめて、平凡な毎日を過ごしておりました。
少しばかり退屈な日々を送る毎日で、17歳のときときめいた心は、ひそかにしずかに美しく燃えていました。
人間の美しさには、ふたとうりある。それは形の美しさと、その形を崩してゆくはかないうつくしさがあると、
落ちてゆく人間の美しさは、はかりしれないものでした。
私は、今でもあのことは、後悔なんてしていない、墓場まで秘密にしておこうと思いました。
わたしは、今では要望の衰えた只の老婆なのですが、そんな私にもうつくしいときがございました。
人妻は、輝いて見えるものそれは人に愛されて、守られてしあわせになるからでございましょうか?!
それとも、いつも危険なにおいと、昼間の淑女のようなつつましさのなかに、夜の闇に潜むみだらな野獣のような、
正反対な不可思議な、危険な形のないものだったからでしょうか。
つづく。