音を聞き分けることから

2014-09-12 11:36:23 | 聞こえ
ある日の夜、大きな音がした。雑音である。「またか」と思ったが、いつもと違うのは、毛嫌いせず、脳が雑音を聞いていることだった。夜、私ひとりでうちに居て、テレビをつけていない。こういう状況は私の記憶にあり、これと、現に聞こえているものを脳が比べているようだった。

きこえているものは雑音に変わりはないが、聞きようによっては聞いたことのある音をふくんでいるようにに思えた。

最初は聞こえているものは、インターフォンの受話器から聞こえるものだった。夜は静かで、サーという音がきこえるみたい。次にしょっちゅううるさくきこえたのは、バイクと車の走る音。記憶では、信号が青になると、バイクはバリバリと音を出し、車よりうるさかった。これに近い音がきこえた。
でもきこえるものがいつもより大きく、これから会社から帰ってくる夫は聞き分けられるかと思った。着替えたりしていた音だったと思うが、木を割るような音で、帰ってきたことがわかった。特に大きな音ではなく、でも他の音とは一線を画するような音だった。

テレビがつけられると、夜の音は消えてしまい、昼も夜も感じられないような気がした。

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気配から音へ

2014-09-08 11:18:44 | 聞こえ
この間気がついた。
今まで夫や両親がうちへ来たことは、「来たみたい」とベッドで思うだけだった。
でも今は、買い物から帰ってきた夫が玄関でレジ袋をガサガサいう音を「聴いて」、帰ってきたことお「知った」ことに慣れている。いつから聴こえていたのかはわからない。恐らく、認知聴覚障害は、きこえるとはどういうことかわからないらしく、たとえきこえることがあっても、なぜきこえるのかもわからないみたいだ。そして突然、きこえないと思っていたものがきこえることを知る。
きこえないものを一生懸命きこうとしても、なぜか徒労に終わっていた。
自分の知らない領域で、人間はきいているわけだし、今おこなっているリハビリも、考えてみれば、「なんでよくなったのだろう」と想像することが多い。身体に合わせて自分がいる、みたいな・・・
よくわからないのだが・・・私は病気を介して身体に向き合うことが多いが、治療により身体が変わるときって、人間が考える以上にすごいことが起こっているはずと思うときがある。

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透析後2日目に補聴器

2014-06-09 01:32:13 | 聞こえ
私は月・水・金曜日が透析日で、日曜日が一番透析疲れが取れていると言えそうな曜日である。昨日補聴器をつけてみると、いきなり騒音。これに耐えられるだろうか、という感じであった。 父が試しに補聴器で聞いてみたときは、テレビの音がすごく近くに聞こえると言っていたが、私にはテレビの音量を最大にしたようだった。しかしメールを打っているときなどはうるさく感じない。何もしていないときに、不快に感じて、補聴器をつけていることに気づき、うわっうるさい、と突然うるさく聞こえはじめていた。
何かに夢中で「聞こえませんでした」ということは誰でもありそうだが、今日のような騒音を気にせずメールが打てるのは変だろうと思う。

こんなに大きな音を補聴器で聴いても、補聴器の存在を忘れると聞こえなくなる。補聴器のリハビリは、補聴器をつけている間は常に意識しなければ意味がないかもしれない。意識せずに聞こえ続けるようになることを目標に。

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雑音

2014-06-05 00:48:26 | 聞こえ
この間補聴器店へ行った時には私に合う補聴器がなかったが、すぐ取り寄せて電話をくださった。早速、父と補聴器店へ行った。(6/4)
透析を終え夕方5時すぎ行ったのだが、お客さんはいなかった。前回来たときサーという静かな雑音が聞こえていた。

前回のお店で、私は資料請求時に書いた質問(脳出血で認知に関わる聴覚障害であること/高音域が聞こえないが、聞こえるようになる補聴器はあるか)でしか自分の聞こえについて伝えていなかった。今回は、前回の補聴器をつけての感想文を持参した。
店長さんは、その文をすぐ読んでくださり、補聴器は「リハビリとして使ってください。聞こえるようだったら、たくさん使ってみてください」とおっしゃってくれた。

前回のよりパワーがあると店長がおっしゃった補聴器を試したが、ほとんど変化がなかった。前回は補聴器をつけると雑音は大きくなったのに。私は「今日は透析後で感度が悪いかもしれません。」と答え、前回の補聴器をつけると、やはり変化がない。透析の疲労は自分では全く感じていないのに、聞こえには影響するらしい。

1週間~10日間、パワーのある方の補聴器をお借りすることにした。
その補聴器をつけた状態でお店出たところ、「店内と外、随分雑音の差があるな」と思った。お店で補聴器をつけた状態とないときの違いはわからなかったが、 店内と外の違いはわかったようだ。しかし青梅街道が近づくにつれ、雑音は騒音になった。「これはちょっとうるさいな、確かにパワーある補聴器だ」と思ったが、この状態は2度目で脳出血で気がついたときの毎日騒音を聞いていたのに似ていた。
自宅のマンションに着き玄関の自動ドアが閉まると少しほっとした。

翌日、自宅で(補聴器のない状態で)「ザー」という音が聞こえて、聞こえた方を見たらテレビだった。濁流の川の映像だった。そしてテレビから目を離すと「ザー」の音は消えた。再びテレビを見ると、川の映像は終わっていた。雑音の中から、テレビの川の激しい流れの音を聞き分けたのではないかと思った。 補聴器をつけることで、脳が耳から入ってきたものに注意を払い始めるかもしれない。

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現在の話し言葉

2014-05-13 00:31:30 | 聞こえ
まず自分の声が聞こえるようになってから話せるようになるらしいことをリハビリで聞いた。

入院中は自分の声がでているかどうかは、は振動を感じることで判断。先生が私の声が出ているとおっしゃったときの振動と似ていれば声は出ているんだろうと思っていた。その頃は、体内で自分の声(うめき声?みたいな・・・)聞いているようだった。

その頃に比べたら、自分の声は聞こえている。わずかな音付き振動のような・・・
猫を呼ぶときや?で終わる言葉のとき、自分の声は語尾が上がっていたり、自分の感情といっしょに声が出ているのが少しわかる。

最近は、話せてはいない自分の言葉がなんとなくわかりはじめた。感情が先走りしているような。一語一語区別がなく、その一語自身も「た」なのか「か」なのかわからないなど、言えていない。最初、一語一語話せていないのは、私の舌の動きが悪いからそのせいだろうと思った。ところがある日、なにげなく鏡に映った自分の顔を見ながら「ももちゃん」と呼ぶと「にゃー」と鳴いた。ももちゃんは、私のいい加減な「も」の発音で呼んでも返事をしない猫。私の発音のリハビリに役立っている。ももちゃんが理解したということは夫もわかるのでは、と鏡を見ながら話しかけると通じた。鏡の前だから意識して口を動かしていないはずなのに。ただ自分が思う、話をしている自分の顔に合わせて口が勝手に動いたのだろうか。わからない。
意識して言葉を作ることは難しい。鏡を見ずに、鏡を見ながらのように話せればよいのだが。

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聞こえた気はしないのに確実にわかる

2014-03-22 00:46:16 | 聞こえ
耳が聞こえなくなって、家族が出掛けていつ帰ってきたのか、特にベッド上で留守番したときは、ある時期まで全くわからなかった。それが「帰ってきたのかな?」と感じて玄関の方を見ると家族が立っていることが増え始めた。はじめはたまたま見たら帰っていただけだろうと思っていたが、玄関の方に目をやるとちょうど帰ってきたばかりの家族がいることがあまりにも多く続くと、何か聞こえているのかなと思いたくなる。しかしこれといったものを聞いてはいない。帰ってくるまでなかった人が出す音が、帰ってきたことで出される。そんな音のするしないの区別は出来始めているのだろうか。気配みたいなものを感じている感覚が強い。
以前は家族が帰ってきたことは、帰ったことを教えてもらうか、帰った家族が自分の視界に入ることなどでないと知り得ないものだった。

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メイが鳴いた

2013-11-21 23:39:33 | 聞こえ
うちの2匹のにゃんこ。声の高い方のメイはずーっと口パク状態(声なし)だった。 今日突然メイが私に近づいてきて、3回鳴いた。かなりはっきりした声で、「キャウゥ、キャウゥ、キャウゥ」。最後が上がる鳴き方で、ももとは明らかに違った。(ももは、三毛猫で日本の猫のニャ~という、どちらかと言えば最後に下がる鳴き方)でも私の覚えているメイの声はもっと高いかわいい声だったんだけどな、と思いつつも、前のように身体全体を使って背伸びして鳴くメイの声を聞けたのはうれしかった。

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auditory rehabilitation -1 聴覚のリハビリ

2013-10-02 11:59:41 | 聞こえ
昨日、夜0時前のNHKニュースで、男性2名女性1名(【ナビゲーター】コミュニティデザイナー…山崎亮,【キャスター】橋本奈穂子,【ニュースリーダー】真下貴)が伝える番組を聞いてみた。

話はわからないが、口の動きを見ていると、か細い声が聞こえてきた。話した文章の語尾(~と思います、など)はわかった気がする。
口の動きは、音は確かにないのだが、文字1つ1つばらして発音されている乾いた音が感じられた。表現ができない。それを一番強く感じたのは女性の話し方だった。

聞こえそうなのにと思い、テレビ画面から目を離すと、そのか細い声はわずかの間聞こえていた。しかし聞こえなくなったとき、終わったのかな?と再び画面をみると終わっていなかった。。。


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自分の耳で聞こえているものを表現する

2013-09-30 12:41:39 | 聞こえ
ゼロではない。夜中の静けさと日中のいろいろな音が重なっているその違いはわかる。

正確には聞えていない自宅のチャイム音。実際の音とは周波数が違って認知しているみたいだ。「ピンポーン」でなく「ピィンポゥロ~ン」(表現できないが・・・)気持ちのいい音じゃないが、私には確実に聞える唯一の音だ。

現在の聞こえは治療方法がないが、認知に関係があるらしいから、「聞えている」「聞えていない」の区別を言葉に表したら・・・聞えに対し自分に関心を持たせるために?
ちょっとやってみよう。



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右半身マヒときに聞き取りが悪かったことを思い出した

2013-09-28 18:59:18 | 聞こえ
ふいに片マヒのときの就職活動で履歴書に添付した文書に自分で書いた文章を思い出した。「早口だと理解できませんが、ゆっくり話して頂ければ理解できます」

私は認知に関わる聞こえの障害とされていたが、原因は耳に入る話し言葉が速過ぎで意味がわからないんじゃないかと思った。実際超ゆっくり話してもらうと、口の動きだけでは判別しにくいあ段(い段・・お段)の区別がついた。どんな声でもおそろしくゆっくりと話してもらうと聞き取れる。弱く声も聞こえた。

ただ聴覚障害の原因の一部に過ぎないが・・・環境音、音楽もわかっていないからである。

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