UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力が目覚めた件 357P

2024-01-08 19:28:13 | 日記
(これは……おいアース。聞こえてるだろ?)
 
 野々野足軽は頭の中でアースに語り掛ける。けどアースが応えることはない。けどそれはおかしい。だってアースはこの地球である。アースがいうにはアースは今は野々野足軽の傍にいるが、あれは別にアースの全体ではない。
 寧ろ人の形にした分身みたいなのを野々野足軽の元に寄こしてる――と思った方が正しい。なのでアースはいようがいまいが、あの姿が見えようが見えなくても、アースは全てを把握してる。この星で起きてる事なら、全て……それは比喩表現ではない。
 事実――純然たる事実なのだ。なので応えはしないアースに向かって野々野足軽は更に語り掛ける。
 
(風たちが把握してるのに、お前がこれを把握してないわけはないよな? これっていったい何なんだ?)
(…………)
 
 結局のところ、アースが応えることはなかった。いや、その気がないんだろう。野々野足軽はあきらめる。自身の力でこの穴を調べることにした。力を流す。その穴に向けてまっすぐにだ。
 これで勝手に吸い込んでくれる……いや、自身から向けさせてるんだから、より確実といえる。けど……
 
「は?」
 
 なんか入ってかない。野々野足軽の力が弾かれてる。
 
「どういうことだ?」
 
 押して押して押してみるが……どうやら入れないみたいだ。でも直前まではいける。感覚を鋭敏にして力の状態を確かめる。はじかれるのなら、その瞬間の反応で何が起きてるのかがわかるはず――と野々野足軽は思った。
 
「なにかにぶつかってる感じはあるな。けど……これって壁とかと変わらないというか……この穴に入ろうとしてるのに、蓋がしてあるような……」
 
 でもそれはおかしいと野々野足軽は思う。だって風は入ってる。もしもこの穴に蓋があるのなら、風も入っていくはずがない。
 
「風……だけが入ってるのか?」
 
 ふと思った。自分の力が弾かれてて、風は入ってる。もしかしたら見えないだけで、もっと色々とあるのかもしれない。入れるものと、入れないものが……野々野足軽は自身の視力と感覚を強化する。
 力によって底上げされた視力はそれこそ見えないものを暴き出す。それこそウイルスとか、菌とか、普段ならここまでやることはない。なにせ必要ないからだ。こんな風に見えてしまったら、それこそ潔癖症になりそうだからだ。
 見えないから誰も気にしないのであって、もしもこの光景がすべての人に見えてしまったら、きっと誰も生きていけなくなるんではないだろうか? と野々野足軽は思ってる。それほどに世界とは見えすぎると、うるさかった。
 見えすぎて、視界に写るすべてがうるさい……そんな感じだと野々野足軽は思ってる。
 
「これは……大体なんでも風と一緒に通ってるけど……光は通してないのか」
 
 どうやらこの穴が穴に見えるのはもしかしたら光も通してないからかもしれない。ということは……もしかしたらこれって『穴』じゃない? 野々野足軽はさらに困惑することになった。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 996

2024-01-08 19:23:08 | 日記
 泡立つかのように怖気が腹の底から全身にめぐっていくような……そんな感覚だった。
 
(こいつはやばい)
 
 人間の本能……それが間違いなく警告を鳴らしてる。こんな体験は初めてだっだ。今までだって危機は何度かあった。けどこんなことは初めてだ。逃げ出さないと……そう思うし、きっと女もそう思ってるはずだ。流石にあいつに向かって獲物を見るような……そんな目をしてたら、俺は一人で逃げる! 逃げるぞ!!
 
 と思って女の方を見る。すると女も汗をダラダラと流しつつ、酷い顔をしてた。それは実際不細工な顔だった。けどある意味で俺は安心した。これであいつに立ち向かっていくような奴だとここできっと関係は終わってた。
 まあまだ始まってもいないが。でも実際問題……一体どうしたらいいのか。どういうことかというと――
 
(身体がうごか……)
 
 ――そう身体が動かない。体中から汗がびっしょりで気持ち悪い。汗を気持ち悪いなんてこの世界の人達ならそんなに思うことじゃない。なにせ熱い世界だ。すぐに汗なんてかく。だけど、それよりも乾燥してるから、そんなに気持ち悪さなんてないはずなんだ。でも……今は違う。
 汗によって張り付く服のベットリ感……それがやけに気持ち悪く感じる。
 
「ん? ゴミか……はは、なるほどなるほど。はあああああ」
 
 俺たちに気づいたそいつ。そして状況も理解したんだろう。こいつはきっとさっき殺したやつと知り合いだ。知り合いが殺されて怒ったか? そう思った。
 
「くははははははは! そうかそうか……お前たちがそいつを殺したか。まったくもってそうかそうか」
 
 なんだか楽しそうにそいつは笑ってる。知り合い? だよな? 友達とかではないとしても、知り合いが頭真っ二つにされて死んでたら普通は動揺とか……そんな風になるものではないだろうか? いや、こいつらに……教会の奴らにそんな事を期待するだけ無駄なのか。
 俺の中での教会関係者のこれまでの印象が崩れていく。俺が知ってる神父とかなら、きっと泣き崩れたりするだろう。でもそいつらとこの眼の前の中央の奴らは違う。
 そう、違う生き物なんだ。長く笑ってたそいつ。けどふと、ピタッとその笑い声が止まった。そして更に玉のような汗がもっと吹き出してくる。
 
 それに……
 
「かっひゅっ――」
 
 息ができなかった。そしてそいつはいう。
 
「まったく、ゴミも使いようはあるじゃないか。よくやった。私の為にありがとう。私が褒美を贈ろう。死という褒美だ。受け取ってくれ」
 
 聖職者の様な笑みを称えるそいつに俺は恐怖しかなかった。