UENOUTAのお絵描きとかブログ

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370P

2024-01-27 19:59:08 | 日記
「くっ……」
 
 一瞬視界が暗転した。きっとあのドラゴンに食われたからだ。けど、すぐに野々野足軽は穴の向こうの空間に新たな目を出した。けど更にバクンとされた。
 
(こいつ……)
 
 そして何回も何回も……視界を確保するために野々野足軽は目を向こう側に飛ばすわけだけど……その度にドラゴンに食われてしまう。実際野々野足軽には肉体的なダメージはない。けどあることを野々野足軽は感じてた。
 
(力が食われてる……)
 
 そうなのだ。ドラゴンにバックンバックンとされる度に、野々野足軽は自身の力が減ってることを感じてた。だからいくらでも食わせてやれるってわけじゃない。勿論だけど野々野足軽だってドラゴンに食われるために何回も挑戦してるわけじゃない。けど……なぜかドラゴンは野々野足軽が次に視界を表す所に先回りしてるかのようにやってくる。きっと力に敏感なんだろう。
 
 
「ふう~」
 
 野々野足軽は気を入れ直した。今までは戸惑いが大きかった。だから後手に回ってた。逃げるように視界を出すことだけを考えてた。けどそれじゃあだめだ。
 
(とりあえず落ち着いて……一つ一つが駄目なら……一斉にだ!!)
 
 その心で一気に力を高めた。そして沢山の力を使って……使って……とりあえず野々野足軽は手を穴に突っ込んだ。なにせ……だ。なにせ穴の向こうの力は有限だった。だって最初に手を突っ込んでから空間に流した分の力……しか穴の向こうでは使えないからだ。普通の世界ではいくらだって力を使える。なくなっても回復する。けど向こうの空間ではそれはない。野々野足軽が事前に流してた分しか使えない。けど……それではあのドラゴンはどうしようもない……と思った。
 だから手を突っ込んだ。全く持って力を排除した手を――そして穴の向こうで再び力を体内を通して穴の向こうに力を流す。その時だった。
 
「あが!? があああああああああああ!!」
 
 そんな声……いや悲鳴を野々野足軽が出した。なぜか? それは激痛が野々野足軽に走ったからだ。今までに感じたことがないような激痛……思わず手を引き抜こうとしたが……無理だった。なぜなら、力を纏ったままの手では穴を通れないからだ。脂汗が吹き出る。何かが野々野足軽の腕をガジガジとしてる感じがある。肉に食い込んで、骨をかじってる……そんな感じ。じっくりと感じたくもないが、それでも伝わってくる。そしてそのまま引っ張られる。
 
「ぐっ!?」
 
 なんか空間にビダーーーンとぶつかる。引っ張られる。けどこの穴には力がある部分は入れない。でも引っ張られる。
 
「あっが……がっ……」
 
 無理矢理引っ張られる野々野足軽は空で見えない壁に引っ張れてるようになってる。傍から見たらパントマイムでもやってるんのか? となるだろう。けどそんなギャグをやってる気は一切ない野々野足軽だ。寧ろ大ピンチだ。野々野足軽には肉がちぎれていく感覚があった。
 
「や、やめろおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 野々野足軽は穴の向こうで力を一気に高めてそれを開放した。それでようやく、手をひっぱる力がなくなった。あらい息を吐きながら、野々野足軽はゆっくりと穴から手を出す。その先がまだあるか――を確かめるためにだ。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1009

2024-01-27 19:54:39 | 日記
「なっ何するんだ!!」
 
 いきなり彼女の頬をひっぱたく聖女・ミレナパウス。流石にぶん殴る……なんてできないから、言葉を返す。けが人だぞ!? 聖女じゃないのか?
 
「何って既に治ってるのなら、早く戦って貰わないと」
「いや、彼女はもう……」
「身体は治ってるんでしょ?」
「それは……」
「それなら問題なんてないでしょう」
 
 そう言ってもう一回今度は逆の頬を叩いた。思わず距離をとる。せっかくいい匂いがしてたが……そんな場合じゃない。彼女は死んでたんだぞ。それは俺もだが……そうおもって言い返そうと思った。けど……その言葉は出てこなかった。なにせ聖女・ミレナパウスの顔がとても怖かったからだ。さっきまではニコニコとしてた。とても魅力的な笑顔。この戦場に咲く花だった。けどそれが今はどうだ? その目は鋭く細められて、眉は逆にあがってる。それでも口角は上がってるが、けど逆にそこが怖い。
 
「今は一人でもいなくなっては困る。それはわかる? わかるでしょう? だからこそ、私がこうやってでてきたのです。私の魔法の範囲にいれば、死ぬことはありません。だからあなた達は戦うのです。どんな傷を負っても、どんなに心が折れても私が優しく直してあげます。だからこの戦いが勝利でおわるまで、あなた達は戦わないといけない。それがあなた達の役目です」
「そんな……そんな事……」
 
 俺たちは結局は歯車にしかならないってことか? 悔しい……けどわかってた。俺たちはこの戦いのメインにはなり得ないって……そんな事はわかってたんだ。それに……だ。命を捨てる覚悟を皆がしてただろう。それに、死なないってのは良いのかもしれない。実際、今の言葉を周囲の他の奴らだって聞いてたはずだ。でもそれに文句を言うやつはいない。寧ろ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」――とテンションが上がってるまである。どうやら俺は覚悟が足りなかったってことなのかもしれない。
 
 皆は死んでもこの世界の大切な人たちを守ることを決めてた。けど俺はやっぱりどこか死ぬことが怖かった。戦場に参加したが、それさえも色々と力があったからだ。確かに力があってもなにが起きるのかわかんないのが戦場だろう。てもそれでも、大規模な戦いになるんだ。そんな中で自分が死ぬ? ――そんな事はよほど運が悪くないとありえないとかさ……
 
「おろしてくれ……」
 
 そんなことを思ってると背中の彼女がそう言ってきた。目が覚めたらしい彼女は俺に下ろすことを求めてくる。けどそんなのは受け入れられない。なにせ彼女は死んでたんだ。後方に下がらせるべきだ。
 
「おい……」
「お前はもう戦えないだろ。このまま後方にいく。その代わりに俺がこいつの分まで敵を倒す……それならいいだろ?」
 
 俺は背負ってる彼女にいって、そして目の前の聖女・ミレナパウスにも言葉をかける。どうだこの覚悟? これなら文句なんて……とか思ってたら、背負ってる彼女からぶっ叩かれて俺は砂に倒れ伏す羽目になった。