手の所から離れたドラゴンは野々野足軽が集めてた力の場所へと向かって言って、そして――バクン!! ――と口を開いて閉じる。けど……
「させるかよ」
野々野足軽はドラゴンに食べられる直前に力を拡散させて、ドラゴンに食べられるのを防いだ。なにせ食べられたら野々野足軽の力が奪われるのだ。ドラゴンの体内でも別に野々野足軽が力を感じれたら、それを狙って食べさせる……とかしてもいいかもとか野々野足軽も思ってる。けど今はそんな事なく、食べられたらそのまま野々野足軽の力がドラゴンへと吸収されるんだと思う。
そしてそうなったら、ドラゴンの力は高まり、野々野足軽の力はそれだけ減るという事だ。それは困る。とても……だから食べられる前に野々野足軽は力を拡散させた。それによってドラゴンへと食べられるのを防いだ。そしてさらにもう一度別の場所に力を集める。それによってドラゴンを誘導することが出来る。
なるべく手の所の力は存在感を薄くするように意識した。でもそれでも手から力を穴の方の空間に送ってるわけで、限界はある。けどなるべく早く周囲に拡散させて、別の場所にさらに力だまりを作る。これによってドラゴンの動きを制御できるようになった。どうやらドラゴンには目はあるが、それで見てるわけじゃないらしい。きっとあの目は力だけをみわけてる。だからこそ、物体としてある手よりも、普通は見えない筈の『力』にドラゴンは確実に反応する。
だからこそ、うまく力を調整すれば、野々野足軽の手から興味をそらせることが出来るという事だ。そしてそこそここの空間にも力を流し込むことが出来た。なので至る処で誘い出すところよりも大きくなりすぎないようにして、力を収束。いっきに百を超える光線をはなってみた。ドラゴンは何か気づいたみたいで、回避行動をとる。けどそれに追随するように操った。そしていくつもの攻撃をあてる。でも……
「やっぱりこの程度じゃついてもかすり傷程度か……」
もっと数を増やす? いや、やっぱり外側からの攻撃はあまり効果的じゃないと野々野足軽は結論付ける。さらにいうと、あれだけの力を使ってこの程度の結果では先に野々野足軽の力が枯渇する。でもだからって念力だって奴は抵抗力がある。ならば頭に直接思考をぶつける――のはどうだろうか? と思った。でもそもそもがあのドラゴンは生物じゃない。元は風の少女なのだ。それも精霊とかそんなのの類だと思われる。そうなると頭に脳があるのか謎だ。
とりあえず薄く広げたこの空間での力……それをもっと超能力的に使ってみることにする。