『何、心配することはない。きっと色んな世界が君の糧になる。それに、経験を積み上げることがプチュオクミにはできる。君は世界を知り、その先で選択をすればいい。
俺はもうあの世界の者ではないからな。強制なんてしないさ。君が俺たちの作品を最大限に使いこなしてくれれば……それでいい。だから、空獣の事はそこまで深く考えなくてもいい』
彼はそんな風に言ってくれる。そもそもが彼はあの『世界』から追放された身。だからこそ、こんな風にいえるのかもしれない。もしも彼が今もあの世界に所属してたら、こんな風には言えなかったかもしれない。
G-01や私を生んだ世界……その世界の願いというか命令? を告げて来たかもしれない。そういえば……
「私、別に空獣をどうにかする……とかいう命令を受けてる訳じゃないような? 不思議ですよね? 私が造られた存在なら、そういう事も組み込めたはず……ですよね?」
私はもう自分を普通の命ではないと……そういう前提で話してる。そしてそれを彼も否定しないあたり、それはきっと当たってる。でもそれなら……だ。それなら確実に私に空獣と対峙するように意識をそういう風に持っていくとか……もっと強制的な、それこそ意識の奥に睡眠みたいに『空獣を倒せ』――という事を刷り込むことだって出来るのはないだろうか?
だってG-01とか他のどんな世界よりも進んだ超技術をもった世界の人達なんだよね? 私を作った人達は。ならば……できないわけないだろう。寧ろ何ができなかったんだ? とかいう感じだと思う。ならば私の疑問は何も間違ってない筈だ。
『ふむ、確かにそれは出来ただろうな』
彼もそういって私の考えに肯定してくる。彼がそういうという事は確実に私が生まれた……というか意識を取り戻した瞬間から「空獣憎し!」とか思った筈だ。それに私は一度空獣と対峙してる。
その時に何か強制的な意識の変化があったか? といえば……うーんなかったとおもう。それはおかしいよね? 私がG-01と成長しても空獣を倒す方に動かなかったら……私とかを生んだ意味が……ね。
すると彼は思わぬ言葉を口にした。
『不思議な事じゃない。君は確かに普通じゃない。ただし、人権は保障されたということだろう』
「はい?」
人権? そんな言葉がここで聞けるとはおもわなかった。
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