私は目を開ける。いや、今までも目は開けてたかもしれない。ただ私の眼球にはこの目の前の見慣れた光景ではない、そうじゃない光景が見えてただけなのかも。だってそこそこ目がなんか疲れてる。
ああいうのは普通、脳に直接注ぎ込んできてる? というイメージだった。そもそも私だって頭に勝手に納められたフォルダーを開いたイメージだったからね。
だから目が疲れてるのはちょっと意外。私は頭で見てると思ってたんだ。けどどうやら私はさっきまでの光景をちゃんと目で視認してたみたいだ。
「あれは……ん?」
何やら私の視界にあったモニター。仮想の方の小さなモニターに何かある。ビックリマークがついたアイコン。それが点滅してその存在を主張してるのだ。
フォルダー名は『00』だ。ゼロゼロでいいのかそれともダブルオーなのか……いや私はなぜかその読み方がわかる。口をついてでてきた。
『イグゼア』
なんで00がそう読めるのか、私にもわからない。けど……そうだとわかる……としか言えない。その知識が私の中に既にあるのだ。それにこのデータ。
それは既に解放されてる。この中のデータ。きっとそれが私とG-01にインストールされてるから、私はこれがわかる。てか……
「理解できない……」
どうやら私のマニュアルにこれも追加されたみたいだ。どうやらこれはG-01というか、もちろんその外装とかにも影響とがありそうななさそうな……それよりもなんかもっと中心の……それこそユグドラシルシステムに影響してそうな……
「あれ? なんかこれ……」
なんかわかる……いや今回インストールされた分ではなく、何とはなく開いたマニュアルだ。それが……なんかわかる。まさか私の脳、また拡張された? その可能性はある? インストールされたのが私の脳を変質させたとかさ……
「なんか怖くなってきた。鏡鏡」
私はモニターに何も写さないようにして、自分を見る。するとそこにはいつもの見慣れた自分の容姿がみえた。美少女と呼べる自身の姿。それに安心する。
今までも脳が拡張されたといっても、私のこの小顔が大きく成ることはなかった。けど今回はイレギュラーだったわけじゃん? だから不安だったわけだ。でもどうやら見た目的には変化はないみたい。
「そもそもこれって本当に変化なのかな?」
これって私の感覚なんだよね。つまりは実は私の理解度が上がっててマニュアルを読めるようになってるだけ……という可能性もある。私は自身の体の様子を確かめてみる。
グッパッ――と手を握って放つ。脚を水の中で動かしてみる……けど思いっきり動けないし、私のこの体がなにか変化したのか? といわれるとわかんない。胸も……相変わらずだ。ないわけじゃない。普通に「ある」。けど巨ではない。私の胸が巨になったら、明確な変化なのに……
「別に今は変化無いだけかも。この新たなフォルダーを読解出来たらなにか得られる?」
私は目をこする。そして周囲を見る。そしてまた目をこする。変化……はあったかもしれない。私の目には新たなものが見えてた。