「感度を下げる……のはちょっとまずいか」
なにせそれって鈍感になるってことだ。敏感なことだけが良いこと……というわけじゃないと野々野足軽だってわかってる。なにせ……だ。痛みとか敏感すぎると、それこそ擦り傷でさえ激痛に感じてしまうようになったりするかもしれない。
もっと酷いと、それこそ空気のゆらめき……風がそよぐ程度に肌を撫でるだけで痛い!! とかなったりさ。それは極端かもしれない。けどそんな病気はあったような気がする。そして野々野足軽には力がある分、そこらへんの箍を外せてしまう。人間が生きる上で不便だと思って制限を掛けてる機能……力を持ってる野々野足軽はそういうのを開放できてしまうのだ。
だから力って奴は厄介。ありがたいのはそのとおりだけど、使い方を間違う訳にはいかない。
『大いなる力にはなんとか……』
――とかいうのはよく聞く言葉ではある。でもそれを意識しすぎるなんて事は野々野足軽にはなかった。ただ単に野々野足軽はこの力を楽しむ。そのつもりで使ってるのだから。
だからこういう考えないといけないのは大変だけどたのしくもあると思ってる。
「感度を下げたらもしもの時に気づくのが遅れるし……やっぱりなにか防御できる様にしてるのが一番だよな」
色々な物……そして事を発見したい野々野足軽はやっぱり誰かの伝えたいと思う気持ちとかを受け取れるこの力の感度を下げるのはちょっと気が乗らないでいた。なにせ不思議が好きな野々野足軽である。
ただの厄介事……は面倒とおもってしまうが、不思議なことなら首を率先して突っ込みたい性分である。それに今は力がある。
(えっとえっと……誰かいるの? 声が届いてるの?)
どうやら野々野足軽という存在に気づいた声の主がそんなことをいってる。とりあえず脳に保護膜を簡単に付与してた野々野足軽。更にいうと、これに触れる力を再探知出来るような……そんな仕組みを入れてみてた。逆位相で相殺する――というのは諦めたが、せめてそれをやってきた相手を知るための手段を講じたわけだ。頭に叩き込まれてる声……というかその思考。それを逆探知してその主を探す。思考の余波というか、残滓? それを辿れるように意識してみた。
それに……だ。それをやるにはまずは当たる事が必要だった。なにせ相手の力を解析しないとそれはなし得ない。だからまずは当たってそれを分析する。まあそんな複雑なことをしてる訳じゃ野々野足軽はない。
はっきり言ってなんとなくだ。なんとなく、力の残滓を感じたいと思う。そしてなんとなく感じる。それを辿るように意識すると、それがわかる様になる……という感じだ。けどこれもそれほど簡単ではない。
確かに残滓を感じるのはなんとなくで出来るが、それを辿るとなると闇雲に力を伸ばすのは無駄でしかない。それに結構近くまでしかわからない。
だからこそ、そこで力に指向性を野々野足軽は与える。もっと鋭く、そして早く……だ。野々野足軽にぶつかった力の残滓は強い。けど残ってる残滓とは小さいものだ。
きっと放っておいたら残滓はすぐに消えしまうようなもの。だからこそ感じとれた残滓から次の残滓を見つけて、素早くそれ続けないといけない。きっと本体に近づけば自ずと分かるようになるはずた。そこまでくれば……もう残滓を追うなんて忙しいことをしなくてもいい。
何回か同じ様な繰り返した。そして遂に――
「みつけた」
――目を閉じてる野々野足軽はそう呟く。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます