「……ふう」
アイ様は一仕事終えた……みたいに額を腕で拭いました。まあ、アイ様はとても汗をかきにくい? いやかかない体なのかもしれないです。なのであれはただのポーズであってそういう気分だっただけでしょう。実際、別にアイ様はこの一連の動作をした後でも、息一つ乱してないですからね。
どういう事でしょう? アイ様は自身で――
「私は戦闘は専門外なの。だからサポートをやってるのよ」
――とか言ってました。専門外とはなんでしょうか? あれで? 私も戦闘は得意ではないです。専門外でしょう。だからこうやって四苦八苦してるのです。私はアイ様が戦闘で四苦八苦してるの見たことないです。
確かに戦闘に直接的に参加することはあんまりないです。大体は戦闘は二の次というのがアイ様のスタンスです。できるなら戦闘なんてしたくない……というのがわかります。
それに勇者様がいるんだからって考えもきっとあるんでしょう。私と二人の時はちゃんと私を守ってくれてましたしね。けど勇者様がいれば、その役目は勇者様がやってくれる。だから自身でやることはないってことなんでしょう。
ストレスを目玉にぶつけたアイ様はスッキリしたのか穏やかな表情になってます。けど問題は解決はしてないです。なにせこのままこの道? にいたら再び目玉がやってきます。それはもう決まってることといえる。なにせこの道は多分そういう道だからです。何もなく、ピカピカの目玉が定期的にやってくるっていったい何なんでしょうね?
「ふむ、はっきり言ってここは私だけでシステムにハッキングを仕掛けるのは無理なようです」
「は、ハッキング……ですか?」
その言葉が私にはわかりません。けど一応ニュアンス的には今までのようにアイ様がこの船を自由にできるようにすること……なんでしょう。
「ここはね……そう、私と同じくらい賢いの。だから私だけじゃここの内部に侵入することができない。G-01がいたらできたんだけどね」
「声は聞こえないんですか?」
アイ様も勇者様も特殊な魔法? でいつだってジイゼ様と通信できるのです。私も今回の事でこの首のアクセサリーで出来るようになりました。不思議な事にいきなり耳に声が届くんですよね。
通信したいときは首のアクセサリーを意識するだけでいいです。けど今はどうやら私のアクセサリーでは通信できません。けどきっとアイ様や勇者様ならできてると思ってました。
「私達も無理なの」
「じゃあどうしたら……」
このままでは無限に湧いてくる目玉といつまでもカーニバルすることに……それはちょっと嫌ですね。