伸ばした腕が時空間の狭間へと触れる。そうなるともう後は強制的にそれは起こる。時空間の狭間へと吸い込まれて、そして気づくと……元の場所に吐き出される。
それは一瞬……いや、正確には一瞬でもない。だって……だ。だってそれには時間という概念が重複してるからだ。どういうことか……それはこの狭間が空間だけの狭間じゃないからだ。
時空間……その意味を考えてほしい。この狭間は別の空間で、そしてこの場所とは違う時間が流れてる。それはいくらかこの現象を体験することで観測できた。
いくつかの時計を用意することで、それを観測することができたのだ。私のこのコクピットある私の主観の為の時計。そしてG-01の体の内側に作り出した時計。
さらにはG-01の外側に無理矢理つけた時計……それは単純に時計というか、ただ時を刻むだけのストップウォッチの様なものだ。全ては同時に動き出し、そして時空間の狭間に触れて次に私が元の場所に戻ったと気づいたときその秒数を確認すれば、違いが出てた。
私のコクピットとそしてG-01の防具の内部に仕込んだ時計は変わらない秒数を刻み続けてた。けどG-01の体の外……そこにあった時計だけは違った。進んでた。時間が。そして二つの方、内部の時計は実は進んでたと言ったけど、正確には何もなってなかったというほうが正しい。つまりは時間は元のままだったのだ。
それってこの時空間の狭間の中の時間は違うということだよ。てかメタリファーならこんなズレを合わせるなんて事は簡単に出来るんじゃないか? とおもった。
だってメタリファーは時空間を司る番人である。もしかしたらその認識が間違ってる……という線もあるにはあるけど、事実としてメタリファーは時間と空間を操ってるのは私も見てる。
だからあいつは簡単にそこら辺を操れるはずだ。ならきっとこれにも意味はある。メタリファーがこの状態で放置してる意味。それは……
「簡単だよね。つまりこの状態が完璧だからだ」
……そういう事だと思う。この状態が完璧に安定してるから、メタリファーはこの時空間の狭間の時間を外のこっちの時間と合わせてないのだ。つまりはそれって空間の安定には時間が必要ということになる。狭間の中では進み、そして私たちの時間は戻る……実は私はちょっとしたタイムトラベルを体験してる。それにも意味はある?
けどここは焦点を絞ろう。それは勿論時空間の狭間……それに対してである。安易に進まなければ――って考えるのは危険ということだ。だって普通なら時間が進まない=変化がない――と考えるだろう。だって時間が進んでないんだから、全てはその場で停滞してるはずだ。
でも時間を内包してる空間は……違うのかもしれない。それを踏まえつつ、私はこの完璧な空間に干渉して、新たな出口を作らないといけない。キーワードは進んでる時間、安定してる空間、そしてそれを崩しつつ整えられるだけの処理能力、最後に戻ると時間は進んでない――である。
それは一瞬だった。いや、とても速かったといっていいかもしれない。私が次に見たのはさっきよりもより近づいた巨大な円盤だ。
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