UENOUTAのお絵描きとかブログ

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ある日、超能力に目覚めた件 371P

2024-01-28 18:55:19 | 日記
「はあはあ……うそ……だろ」
 
 穴から出した手……いや、そこに手はなかった……と言うのが正しい。そう、野々野足軽の手は手首から二の腕の半分から先がなかったピューピューと血が吹き出てる……なんて事はないが、どくどくと赤い血が流れてて、そして白い骨が見えてる。
 
「あぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!」
 
 
 状況を理解すると、頭が一気に痛みを伝えてきた。それにパニックになってるせいだろう。力を上手く使えなくて、野々野足軽は空から落ちだした。かなりの高さがあったけど、このまま自然落下していくと数秒後には野々野足軽は潰れたトマトみたいになるだろう。それを防いでくれたのは風の子だった。
 
『どうしたの? 大丈夫?』
 
 そんな風にいってくれてる。けど流石に手がなくなった痛みでそれどころではない野々野足軽だ。
 
「いたいたいたいたいたいたいたいたいたいたいたい――」
 
 というしかない。それを見た風の子は「ちょっとまって」といってその体を重ねてくれる。そして大部分が傷口に集まる。すると痛みが緩和されたのか、野々野足軽の呼吸が正常に戻る。今、野々野足軽を支えてくれてるのも風の子だし、風の子様々だ風の子が居なかったら野々野足軽は死んでた。
 
「くっ……」
 
 野々野足軽はなんとかおちつきを取り戻して力を手に集める。そして草陰草案でやったことを思い出して、力を回復……いや、この場合は再生か? によらせていく。すると、傷口がグジュグジュと活性化していって、血に塗れた手が生えてきた。
 
「くっ……」
 
 まだ上手く動かせないが、これはきっと再生直後だからだろうと野々野足軽は割り切った。それに再生したけど、再生した手からも痛みはある。流石に手がなくなる痛みとは比べ物にならないが……まだしばらくは痛みから開放されることはなさそうだ。
 
「ありがとう、助かったよ」
 
 野々野足軽は風の子にお礼を伝える。そして自身の力で再び飛んだ。
 
『ううん、いいよ! けど、どうしよっか……』
 
 そういって風の子は上をみる。いや、上じゃない。穴だ。実際、野々野足軽はもう帰りたい気持ちでいっぱいだ。なにせドラゴンなんて意味がわからない物がでてきてそいつに手を食われたのだ。興味よりも既に恐怖が勝ってる。
 
「とりあえず今日はこの辺で、あの穴の事は後々考え――」
 
 ――ドン!! ――
 
 
「――なんだ?」
 
 そんな音なのか振動なのか……よくわからない何かが響く。それは野々野足軽たちがいるここにだけってわけじゃない。なんか空が……いや空間が揺れてるような……そんな……そんな感じだ。
 そしてそれは世界に波紋のように広がっていく。

転生したらロボットのなかだった(ただし出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1010

2024-01-28 18:49:14 | 日記
「ははっははははは!」
 
 なんかいきなり背中の彼女が笑い出す。それも豪快にだ。そのまま俺を踏んで立ち上がる。かばってやってたのに、なんという仕打ちだろうか。
 
「おい、なにすんだ!」
「ありがとうございます」
「おい」
 
 なんかめっちゃ無視されてる。まるで見えてないような……いや、見えてはいるな。なにせゴミを見るような目を送られてるからだ。一体何なんだ? 心配したのがダメだったというのか? この戦いの前まではなかなか良好な関係になってたと思ってたのに……こんな目はそれこそ以前にこいつに毎回絡んでたような……その時のうざがられてる時の目だ。
 
「私が治します。砂獣を倒して倒して倒して、倒しまくってください」
「はい!」
 
 いい返事をして彼女は走り出す。まずは武器を回収して、ほかの奴が相手してた砂獣の脇から切り付けて真っ二つしてた。そんなに戦いたいのか? 確かにこの戦いは俺たちの未来を決める戦いだ。勝ち取るか、負けて死ぬか……その戦い。だから戦わないといけないのはわかる。でも俺たちがそのすう勢を決めるわけじゃない。
 カギになるのはそれこそ勇者とかああいうやつらだろう。俺たちはいくら戦っても自分たちで終わらせることが出来るわけじゃない。誰かを信じて戦い続けないのといけないのか? それをどんな傷を負っても? そんなの……きついだろ。
 
「あなたは戦わないんですか?」
 
 聖女・ミレナパウスがそんな事をいってくる。なんかここで「はい」と言ったら下がらせてくれそうな……そんな気がする。俺では彼女の代わりにはならないが、彼女は俺なんかの何十人分の働きをしてくれる……と聖女・ミレナパウスはわかってるのかもしれない。だからもう俺はいらない……
 
「くっ」
 
 俺は走った。前にだ。後ろじゃない。そして剣を……剣を……でもここで止まったら格好悪いだろう! というわけで俺は砂獣に殴りかかった。もうやけくそだった。
 
 
「うおおおらああああああああああああああああああああああ!!」
 
 ドガン!! ――となんか砂獣の側面が盛大にへこんで吹っ飛んでいく。そしてその方向にいた別の砂獣も巻き込んでもみくちゃになった。
 
「は?」
 
 どういうことだ? あれは強化された砂獣だ。なのにただの拳でその甲殻がへこんだ? 俺の拳、どうなってんだ? と思った。

370P

2024-01-27 19:59:08 | 日記
「くっ……」
 
 一瞬視界が暗転した。きっとあのドラゴンに食われたからだ。けど、すぐに野々野足軽は穴の向こうの空間に新たな目を出した。けど更にバクンとされた。
 
(こいつ……)
 
 そして何回も何回も……視界を確保するために野々野足軽は目を向こう側に飛ばすわけだけど……その度にドラゴンに食われてしまう。実際野々野足軽には肉体的なダメージはない。けどあることを野々野足軽は感じてた。
 
(力が食われてる……)
 
 そうなのだ。ドラゴンにバックンバックンとされる度に、野々野足軽は自身の力が減ってることを感じてた。だからいくらでも食わせてやれるってわけじゃない。勿論だけど野々野足軽だってドラゴンに食われるために何回も挑戦してるわけじゃない。けど……なぜかドラゴンは野々野足軽が次に視界を表す所に先回りしてるかのようにやってくる。きっと力に敏感なんだろう。
 
 
「ふう~」
 
 野々野足軽は気を入れ直した。今までは戸惑いが大きかった。だから後手に回ってた。逃げるように視界を出すことだけを考えてた。けどそれじゃあだめだ。
 
(とりあえず落ち着いて……一つ一つが駄目なら……一斉にだ!!)
 
 その心で一気に力を高めた。そして沢山の力を使って……使って……とりあえず野々野足軽は手を穴に突っ込んだ。なにせ……だ。なにせ穴の向こうの力は有限だった。だって最初に手を突っ込んでから空間に流した分の力……しか穴の向こうでは使えないからだ。普通の世界ではいくらだって力を使える。なくなっても回復する。けど向こうの空間ではそれはない。野々野足軽が事前に流してた分しか使えない。けど……それではあのドラゴンはどうしようもない……と思った。
 だから手を突っ込んだ。全く持って力を排除した手を――そして穴の向こうで再び力を体内を通して穴の向こうに力を流す。その時だった。
 
「あが!? があああああああああああ!!」
 
 そんな声……いや悲鳴を野々野足軽が出した。なぜか? それは激痛が野々野足軽に走ったからだ。今までに感じたことがないような激痛……思わず手を引き抜こうとしたが……無理だった。なぜなら、力を纏ったままの手では穴を通れないからだ。脂汗が吹き出る。何かが野々野足軽の腕をガジガジとしてる感じがある。肉に食い込んで、骨をかじってる……そんな感じ。じっくりと感じたくもないが、それでも伝わってくる。そしてそのまま引っ張られる。
 
「ぐっ!?」
 
 なんか空間にビダーーーンとぶつかる。引っ張られる。けどこの穴には力がある部分は入れない。でも引っ張られる。
 
「あっが……がっ……」
 
 無理矢理引っ張られる野々野足軽は空で見えない壁に引っ張れてるようになってる。傍から見たらパントマイムでもやってるんのか? となるだろう。けどそんなギャグをやってる気は一切ない野々野足軽だ。寧ろ大ピンチだ。野々野足軽には肉がちぎれていく感覚があった。
 
「や、やめろおおおおおおおおおおおおおお!!」
 
 野々野足軽は穴の向こうで力を一気に高めてそれを開放した。それでようやく、手をひっぱる力がなくなった。あらい息を吐きながら、野々野足軽はゆっくりと穴から手を出す。その先がまだあるか――を確かめるためにだ。

転生したらロボットの中でした(ただし、出ることはできません)運命という世界線を壊せ 1009

2024-01-27 19:54:39 | 日記
「なっ何するんだ!!」
 
 いきなり彼女の頬をひっぱたく聖女・ミレナパウス。流石にぶん殴る……なんてできないから、言葉を返す。けが人だぞ!? 聖女じゃないのか?
 
「何って既に治ってるのなら、早く戦って貰わないと」
「いや、彼女はもう……」
「身体は治ってるんでしょ?」
「それは……」
「それなら問題なんてないでしょう」
 
 そう言ってもう一回今度は逆の頬を叩いた。思わず距離をとる。せっかくいい匂いがしてたが……そんな場合じゃない。彼女は死んでたんだぞ。それは俺もだが……そうおもって言い返そうと思った。けど……その言葉は出てこなかった。なにせ聖女・ミレナパウスの顔がとても怖かったからだ。さっきまではニコニコとしてた。とても魅力的な笑顔。この戦場に咲く花だった。けどそれが今はどうだ? その目は鋭く細められて、眉は逆にあがってる。それでも口角は上がってるが、けど逆にそこが怖い。
 
「今は一人でもいなくなっては困る。それはわかる? わかるでしょう? だからこそ、私がこうやってでてきたのです。私の魔法の範囲にいれば、死ぬことはありません。だからあなた達は戦うのです。どんな傷を負っても、どんなに心が折れても私が優しく直してあげます。だからこの戦いが勝利でおわるまで、あなた達は戦わないといけない。それがあなた達の役目です」
「そんな……そんな事……」
 
 俺たちは結局は歯車にしかならないってことか? 悔しい……けどわかってた。俺たちはこの戦いのメインにはなり得ないって……そんな事はわかってたんだ。それに……だ。命を捨てる覚悟を皆がしてただろう。それに、死なないってのは良いのかもしれない。実際、今の言葉を周囲の他の奴らだって聞いてたはずだ。でもそれに文句を言うやつはいない。寧ろ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」――とテンションが上がってるまである。どうやら俺は覚悟が足りなかったってことなのかもしれない。
 
 皆は死んでもこの世界の大切な人たちを守ることを決めてた。けど俺はやっぱりどこか死ぬことが怖かった。戦場に参加したが、それさえも色々と力があったからだ。確かに力があってもなにが起きるのかわかんないのが戦場だろう。てもそれでも、大規模な戦いになるんだ。そんな中で自分が死ぬ? ――そんな事はよほど運が悪くないとありえないとかさ……
 
「おろしてくれ……」
 
 そんなことを思ってると背中の彼女がそう言ってきた。目が覚めたらしい彼女は俺に下ろすことを求めてくる。けどそんなのは受け入れられない。なにせ彼女は死んでたんだ。後方に下がらせるべきだ。
 
「おい……」
「お前はもう戦えないだろ。このまま後方にいく。その代わりに俺がこいつの分まで敵を倒す……それならいいだろ?」
 
 俺は背負ってる彼女にいって、そして目の前の聖女・ミレナパウスにも言葉をかける。どうだこの覚悟? これなら文句なんて……とか思ってたら、背負ってる彼女からぶっ叩かれて俺は砂に倒れ伏す羽目になった。

ある日、超能力が目覚めた件 369P

2024-01-24 21:11:40 | 日記
『なんなんだよこれ!?』
 
 そんな事を叫ぶ野々野足軽。迫ってくるドラゴンになってしまった風の少女。どうして絶望の先にドラゴンという形になるのか? とか色々と疑問はある。なにか理由があるのだろうか? けどそこらへんを考えてる余裕はない……いや、ないわけじゃないが、流石にこんなおかしな事が起こったら野々野足軽だって焦ると言うものだ。
 
 風の少女が変貌したドラゴンは野々野足軽が予想ししてたような移動をしてこなかったってのもある。なにせ翼があるドラゴンである。まあ普通とはちょっと違う翼だけど……とは野々野足軽だって思ってた。そもそもがドラゴンと遭遇することだって初めてだから、『普通』なんて分かるはずもないんだが……それでも翼があるのなら、それこそ鳥のように羽ばたいたりするものでは? と思うのは間違いではないだろうか。
 けど、このドラゴンは違った。どういうことかというと、その翼のような骨組みに集まってる風を使ったのだ。羽があるのならバサバサと羽ばたけよ!! と野々野足軽は思った。けどそれは現実に毒された固定概念だ。
 そういうのを打ち破ることが『力』を知る上で大切なのだと……野々野足軽自身がずっと学んできたはずなのに、やっぱり固定概念というものはこれまでの人生で培ってきた常識……と言い換えてもいいものだ。
 それを投げ捨てる――というのはそんな簡単なことじゃない。だからこそ翼を持ってるのに想像のように使わなかったこのドラゴンに驚いた。
 いやもしかしたらドラゴンと言う存在は元々がこんな風に飛ぶ存在だったのかもしれない。どういう風に飛んできてたのかというと。それはいうなれば直進である。
 ゼロから一気に百に至りて度肝を行く――といっていい。ロケットスタートとか陸上の競技とかで言うと思う。まあ陸上だけじゃなくレースではそんな言葉使うだろう。
 それに近い。それを物理的に言葉のとおりにやった……みたいな? 普通は羽って広げるものだろう。バサァと翼を持ってる生き物なら、大気を掴むためにその翼を広げたりする。そして風を掴んで飛ぶ……けどこのドラゴンは逆に翼をなるべく身体に畳んだ。そして身体を小さく見せたかとおもった。するとその翼に集まってる風も収束していく。そしてある時、一気に後方に排出された。それによって中々デカい……と思ってたそのドラゴンの身体が超高速で排出された。それは飛ぶではない。発射されたみたいだった。
 
 そしてここはおかしな空間だから、サイズ感? ってのがかなり曖昧だった。それに今、野々野足軽はその体をこの空間によこしてるわけじゃなく、力を使ってこの空間を『観てる』でしかないのだ。
 だからこそ、サイズ感が分かりづらかった……というのもある。ほら、テレビで見てると芸能人とかかなり大きく見えたりするけど、現実だと「あれ? こんなもんなんだ?」とか思ってリするじゃないか。あれである。
 それに、この空間にはサイズ感を比べるものだってないし、なんなら距離感だってよくわかんない。
 だからそのまま弾丸のように発射されてきたドラゴンの口に――バクン――と野々野足軽は飲み込まれた。