あたち、駒子。
２月の終わりごろから、「おっとり王国」に来たの。
人間さんがどうしてもっていうから、ここのおうちに住んであげることにしたのよ。
なんでも、あたちは「もっちゃんのおみちびき」の「きせきのこ」っていうんだけど、なんだかよくわからないわ。
まだ、人間さんのことばはよくわからないのよね。「ごはん」「かわいい」はおぼえたんだけど。
このおじいちゃん、あ、おじちゃんは「おっとり師匠」っていうんだって。
おっとり王国の王様なんだって。
やさしいおじちゃんなんだけど、あんまりかまってくれないの。
もっと、いっしょに遊んでくれればいいのになあ。
こないだも、しっぽにじゃれついたら、おこられちゃった・・・。おとなげないわよね。
あたちはもっと、ししょうのおじちゃんと仲良くなりたいんだけどなあ。
ここのおうちにきて、お外には出られなくなったし、
「びょういん」に連れていかれたり、ちょっとこわいこともあったけど
いつでもいっぱいごはんを食べられるし、あたちのことをいつもナデナデしてくれるし、
「ひめ」って呼んで、かわいいかわいいしてくれるから、まあずっとここにいてあげてもいいわね。
ししょうのおじちゃんとも、このくらいまでなら、近くにいてもだいじょうぶみたいよ。
あたち、「はる」って初めてなの。
きれいなお花がたくさん咲いて、あったかくなってくる「きせつ」なのね。
でも、ことしは、こわい病気がはやっていて、人間さんたちはたいへんそうだわ。
おうちにいなきゃいけないんだって。
おうち、いいところよ。あたち、このおうち、だいすきよ。
みんなも、だいすきなおうちにいてね。
きっと、だいじょうぶよ。
おっとりとこまこはきょうもしあわせ。
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